2010-07-27

蚋(ブヨ=ブユ)に咬まれてブイブイ

     Black_fly

 かなり悲惨な状態になるのが蚋に咬まれた後だ。瞬間的に皮膚の表面でしびれのような痒みに似た感じが広がる。1分もするとなんとなく違和感が強くなるので手などで「どうかしたのかな?」みたいに触ると血が付いてくる。と、ここで蚋に咬まれた経験があるとないでは対応が違う。
 一昨年から初めて畑なるものと付き合いだした私は、絹莢エンドウの収穫が楽しみで仕方なく、身支度もしていないというのに、通りすがりのついでに畑に入り、わずか10分ほど収穫をした時のことでした。
 七部のパンツ姿で、ノーソックス、スニーカー履き姿でした。膝から下の露出した部分一帯に両足で20箇所以上、蚋に咬まれたのだった。この時の悲惨さは語るも涙もので聞いてもらいたいのは山々だが、あまりにくだらないのでパス。
 そして、昨年は長雨による不作続きで、畑に行く日も少なく収穫する作物も大してなかったため蚋に遭遇することもなく終わった。そして今年、完全防備にもかかわらず衣服の上からでも咬まれるとは知る由もなく、一箇所咬まれた。その後、衣類の上からスプレーするタイプの虫除けを、スプレーしまくっても隙間から入ってきたのに二箇所咬まれた。さらに私は、ソックスの二重履きを整え、スプレーをしまくり、まず大丈夫だと踏んでいたにもかかわらず、昨日、唇の下と顎に二箇所ずつ、合計4箇所咬まれた。ここだけは、まったくの無防備。
 足であれば、痛みや痒み、腫れなどは我慢もできるが、顔面に4箇所ともなると、おそらく一週間は外に出られないほど恥ずかしい面立ちとなるのは分っていた。それにしても咬まれてからわずか一時間ほどで顔半分に痺れと腫れが襲ってきて、口を開けることも困難になってきた。医者の受付時間を調べて一番近い内科医を訪ねた。
 治療は、血管に静脈注射を一本だけ。内服の副腎皮質ホルモンのプレドニン5mgと、消炎剤の塗布薬ザルックスクリーム0.12%のみだった。咬まれてから3時間後に静脈注をうってもらい、その後約2時間後には腫れが引き、痺れがなくなった。残っているのは小さな咬み傷が赤く4個だけだ。
 お医者様は神様です。この時ほど医者に感謝したことはなかった。本当に救われた。
 ところで、蚋に咬まれた程度で医者に行くか?という古い昭和的な考え方があって、しかも我慢強い性格から、医者に飛び込むというのは二の次だった。まあ、それを美徳にしているわけではないが、最近は相当これが崩れてきている。何かと医者に飛び込んでいる感じがする、インフルエンザ、寒冷蕁麻疹、喉の違和感(癌を疑って)虫・・・。嗚呼。
 そういえば、医者の待合室で長く待っていた時、ふと思い出したのが極東ブログで教えてもらった英雄的医療時代の治療だった(参照)。医師サミュエル・ハーネマンがホメオパシーを見つけ出すきっかけとなった医療への疑問の本家本元だ。あの野蛮な、例の瀉血(しゃけつ)だ。

主要な治療法は瀉血である。もっとも効果的なのは、静脈を切り取る方法だ。一回に1パイント(0.47リットル)の血を捨てる。

 体内から毒を出すという方法だ。これを想像していた。
 蚋に咬まれたくらいで1パイントも血を抜かれるのを妄想するだけで鳥肌が立ち、そんな治療を受けるくらいなら行かない方がましだと、きっと医者嫌いになったに違いない。サミュエルが疑問を持つのも無理はないことだと妙に彼に加担した。私は現代医学時代に生まれていてよかったと思った。

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