選挙の三日前に起こっていること「まさに人事を尽くして天命を待つ」
日経の昨日の社説(参照)で少し気なった部分について一言。
自民党も首相のあいまいな論拠を責めるだけでなく、医療や年金を持続可能にする改革を巡り、突っ込んだ議論を民主党に挑むべきだ。
税収を上回る国債発行を強いられる財政の窮状を考えれば、消費税増税の議論は早く始めるべきだ。たちあがれ日本は2012年度の3%上げから段階的な増税、新党改革は20年度に10%以上と数字を出した。
この部分だが、「税収を上回る国債発行を強いられる財政の窮状を考えれば、消費税増税の議論は早く始めるべきだ。」というように、税収を増やすということは、歳出の一般歳出に当てることになる。会計で貸し方と借り方を左右に分けて書くと分かりやすい。
歳入 92.3 歳出92.3
新規国債 44.3 国債費20.6
税収 48 地方交付税17.5
一般歳出等54.2
(2010年度の予算より)
ここで消費税を増税するということは、一般歳出が増えるということを意味するので、それは、社会保障費や公共事業費として税金が広く国民のために還元されるということなのだと思うが、国債は国民の借金であるため、これにプラスして増税というのは、手痛いことになるだけだと思う。この社説では消費税増税に対して各党がどう取り組んでいるかを強調しているように感じるが、デフレで物価の安い時に増税しても大した税収にはならない上、国民生活を即効で苦しめることになると思う。増税が暮らしをよくすると思っているのだろうか、という疑問が湧いた。日経の話はナンセンスだと思う。それを言うなら、刷新による一般歳出を削ることには意味があるとは思う。
これに関連しているわけではないが、菅首相の発言が急に静かになったのかなと感じていた矢先に、Twitterのクリップ記事を見て吹き出してしまった。
☞参院選「人事を尽くして天命を待つ」7日の菅首相 - 政治 asahi.com(朝日新聞社)インタビュー
――54議席取れなかった場合の責任というのは。
「今ですから、その、精いっぱい頑張っているところですから、まさに人事を尽くして天命を待つという気持ちで。もう、今日を含めて4日間、がんばり抜きますから、その結果は天が決めてくれると、そういう思いです」
質問と回答が合致しないのが面白いという記事でもあるのですが、私が吹いたのは、「まさに人事を尽くして天命を待つ」と、菅首相が言ったことだ。人事を尽くしたって、何を?菅さんは、就任挨拶で言った消費税10%の発言が次第にブレ始めて、今ではギリシャの破綻の目に合わないように増税が必要だとか脅しをかけたり、日本は外国に信用があるから国債の金利が下がっているなどと根も葉もないことまで並べている。そもそも10%の消費税増税発言時は、マニフェストと思ってもらっていいとまで断言したと言うのにだ☞消費税10%は公約で構わない 菅首相(BIGLOBEニュース)
「まず私が申し上げたのは、早期にこの問題についてですね、超党派で議論を始めたい、その場合に参考にすべきこととして、自民党が提案されている10%というものを一つの参考にしたい、こう申し上げたわけであります。そういった意味で、そのこと自体は公約と受け止めていただいて結構ですが、それはあくまでこのマニフェストで申し上げたように、こういう方向での議論を始めたい、そのことについて、その努力は当然のこととして、参議院の選挙後にはやってまいります」
これが人事を尽くしたということなのでしょうか。可笑しくて吹いてしまったのはこのことです。
一方、大真面目にデータを揃えて今回の選挙への取り組みを説いているNHKブログ、おつかれ。
ただ、参議院選挙は、去年の政権交代以来の民主党政権のあり方が問われる「中間テスト」でもあります。単に、ねじれ国会になるのかどうか、与党の政権運営が安定するかどうかというだけでは、有権者も判断に迷うことになってしまいます。残された四日間に、どの党が無党派層だけでなく多くの有権者が判断を下す材料にできるような説得力のある政策や政治姿勢を訴えるのかが、最終的に選挙を制する最大の焦点になるのではないでしょうか。投稿者:城本 勝
この最後のまとめ部分は正論で納得できるのだが、既に判断に迷いが出てしまっている。この上、相手を罵倒するような選挙運動がヒートアップすると、結論が出せないで終りそうだ。人事を尽くしたのは国民もなんですが、果たして天命はあるのか?
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