2010-07-07

極東ブログ[書評]小倉昌男 経営学(小倉昌男)について

cover ヤマト運輸の元社長が最初に書いた自叙伝ということで紹介されている(参照)。私が小倉昌男氏の書いた本で読んだのは、「なんでだろう」から仕事は始まる!(小倉昌男)だった、この本も極東ブログでも紹介されている(参照)。この人の率直な語り口は大好きで、歯に衣着せないものの言い方には、心の強さというか魂のようなものが伝わってくる凄い人だと感じている。自叙伝で、しかもロングセラーになっていたとは知らなかった。早速読んでみようと思い、注文した。
 ヤマト運輸というと地方ではトラック便が多いのか、大型で重たい小麦粉などの荷物はヤマト運輸経由が多いと感じている。二年ほど前のことで、あるトラブルが起こり、ヤマト運輸の松本配送センターの管理者と話したことが思い出された。
 小麦粉が切れる前にと思い、数日余裕を見て発注し、発送元は手配を終えたところでその旨事前連絡をしてきてくれた。自分の中で「これなら間に合う大丈夫だ」と安心しきっていた。ところが一日置いて翌日の配達のはずだがと思いながら、その日は配達されず、北海道からの便では一日多く掛かる場合もあるので、翌日は配達されると思い込んでいた。その場合は、大概午前中に配達になるはずだ。ところが届かない。これで本来の配達予定日から数えて三日目になる。ここで始めて営業所に電話してみると、発送元の伝票番号から割り出して出てきた回答が、「昼に不在だった為。不在通知を置いているという報告が営業から入っている。」というのだ。だが、そのようなものはないと伝えると、調べて折り返し連絡をくれるということになった。そして、次に電話が入った時の回答が曖昧で、二度ほど同じ質問をした。「不在ではないのに、何故不在通知の扱いになっているのか。また、その通知がポストに投函されていないのは何故か」という質問だった。電話の向こうでは明らかにしどろもどろな様子で、何か核心が他にあるような勘繰りさえ持った。で、伝えてくることは「もう直ぐに伺いますから」と早々と電話を切りたがっている感じだった。そうこうするうちに当の営業が到着した。夕方の6時位だった。
 玄関から現れるや、いきなり「すみませんでした」と平謝りから始まった。何が起こったのかと聞くと、「午前中指定だった為配達時間が間に合わず、社内では不在の手配にし、配達は夕方ならよいと思いしょりした(確実に在宅のはずだと思った)。」という誤魔化しをやらかしたことを白状した。しかも二日間にわたってだった。これは、悪いにも程がある。呆れてものが言えないとはこのこと。私は怒りというよりも、職業倫理観のないこの会社に愛想をつかした。
 彼をどうするか、その場で頭がぐぐっと働いて、彼に質問した「会社に帰ったらあの電話の上司に相当やられるの?」彼は、叱られるだけでは済まないということを言って、私には平謝りだった。そこで、私の提案は、「直に営業を叱ったので事は済んだからこの件は終りにして欲しい」と彼の上司に話すと言って済ませたいという意向を伝えた。その代わり、先代の小倉昌男氏の本は必読だといって、彼に私の手持ちの本「「なんでだろう」から仕事は始まる!」を彼に渡し、読み終えたら返して欲しいと伝えて渡した。
 彼はその後読んで直ぐに返しにきた。そして、目に涙を溜めて、「俺は腐ってました。」と詫びた。小倉氏の魅力に尽きる話だと思った。本物が生き残るとは何がかと思えば、魂なのだろうかと改めて感動した。書評に触れて、小倉氏の本がどれほどのものかを語るのに重ねて書いておきたかったエピソードであった。
 ついでに言わせてもらうと、ペリカン便との合併でスタートしたばかりの郵便事業会社が配達の遅延で大騒ぎになっているようだが、この小倉昌男さんの本でも読んで、「心」と「職業倫理観」を洗い直したら如何なものだろうか。

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