極東ブログ「マクリスタル司令官辞任、後任はペトレイアス中央軍司令官」について
アフガニスタン駐留米軍マクリスタル司令官が辞任し、後任にはペトレイアス中央軍司令官が指名された件で、思いがけないことを極東ブログのエントリーで知った(参照)。軍人の生き方というか、男社会といったらよいのか、権力といったものが戦争を含めた政治には必ず幅を利かせるという印象を持った。男性が、こんな私の発言を知ったら「そんなこと、今頃知ったのか」と呆れられそうなことだと思う。私には駆け引きする経験があまりないので、ぺトレイアス氏の後任劇裏を量り知る術(すべ)もなかった。これだと何の話かわからないで終わってしまいそうだ。少しエントリーから引用を含めて、書いておくことにする。
昨日のエントリー「アフガニスタン情勢とアメリカオバマ政権」でも触れたが、アフガニスタンの情勢はかなり悪化の途を辿っている。アメリカ軍にとっては厳しい状況だ。前任のマクリスタル氏が指摘していたとおり、4万人の増派がなければ負けるというのは相当な意見なのだと思う。この状況で後任に当たるぺトレイアス氏は、事実上、負け戦(まけいくさ)の後始末的なものなのだということと、彼は共和党からかなりの支持を受けていて、時期米大統領の候補にも上がっていたというのだ。極東ブログでも、次のように言及している。
ざっくり言ってしまえば、現状のままではアフガン戦は負け戦になる。
ペトレイアス中央軍司令官はそれを承知で、お国のために引き受けたという形になっている。この話がお涙頂戴となるのは、ペトレイアス中央軍司令官がイラク戦争の英雄として時期大統領候補としての名声が高まっているからだ。その名声の可能性を捨ててまでお国に尽くすということである。明確にはされていないが、大統領候補としては共和党から立つとも見られていた(参照)。
何故ぺトレイアス氏がイラク戦争の英雄?(これは知らなかったこと)
ペトレイアスはイラク治安回復の功績が評価され、イラン攻撃の是非を巡ってディック・チェイニー副大統領と激しく対立し辞任したファロン中央軍司令官の後任に指名される。2007年7月10日、米国上院は95対2でペトレイアス指名を承認。アメリカ中央軍司令官は中東全域並びに東アフリカ、中央アジアなどを統括する要職である。
そして昨夜遅くに配信されたCNNのYahooニュースで、
➠ペトレイアス氏がアフガン撤退時期支持を明言6月25日11時33分配信 CNN.co.jp(Yahooニュース)
ワシントン(CNN) アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官の辞任を受け、後任に指名されたペトレイアス中央軍司令官は24日、CNNのインタビューに応じた。
同司令官は、雑誌での発言をめぐるマクリスタル司令官の辞任劇について、重要な任務をこのような形で自分が引き継ぐのは「非常に悲しい」状況だとコメント。アフガンへの米軍増派を主導した司令官の業績に「大いなる敬意と感謝」の意を示した。
何とも礼儀正しい挨拶から始まっている。失礼を承知で言うのだが、鳩山首相の辞任時、国民に一言の挨拶もなく、後任の菅首相も前任の功績を称えるような大人の大義名分もない日本の政治家とは訳が違うと感じた。
そして、これが事実上アメリカの敗北と敗戦を意味するのではないという表明が気になった。
ペトレイアス司令官が指名後に公の場で発言したのは、このインタビューが初めて。「大統領の政策を支持するとともに、軍事面のプロとして最高の助言を提供する」と語った。また、オバマ大統領が公約している2011年7月の米軍撤退開始を支持すると述べた。
負け戦を買って出たというのは正にそのとおりで、これを最初の公の場で言及するということは、そもそもオバマ大統領の公約が、正に終戦宣告(敗戦)だったという意味ではないのか。つまり、前任のマクリスタル司令官の「勝ち戦」戦略とは真っ向から対立するはずである。辞任する意味(事実上の解任)がそこにもあったのかと思うと、志の途中で断念せざるを得なかったのかもしれない。
問題は、今後のアフガニスタン情勢だ。アメリカが撤退すると、あの地は無法地帯と化するのか。しかし、30年間荒れたアフガニスタンを見てきただけに、アメリカの侵略があの地から消えてなくなるということにまだ想像が及ばない。アメリカが撤退するということは、これまでの30年は何だったのか。結局何を残すのだろうか。
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