2010-06-14

岩魚(いわな)の塩焼き:岩魚について

 岩魚(いわな)の養殖ものを食べたのは初めてです。極稀に魚屋で見かける岩魚に足を止めても、もっぱら見るだけでした。岩魚を最後に食べたのは高校生の頃、父がまだ渓流釣りをしていたころです。埼玉の名栗川の源流や秩父の山奥へ、毎週のように行って山ほど釣る時もありました。私もその影響で、男子の釣り友達がいて、よく数人で渓流釣りに出かけたものです。その懐かしさと一緒に、あの岩魚の味をもう一度と思いながら、天然ものとは色が違うので買う気になれませんでした。今回は、県内産ということもあって試しに買ってみたのです。

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 県内産といってもどこの養殖か知りませんが、一箇所だけ岩魚を養殖している池を南木曽で見たことがあります。水が常に動いているようにするためなのか、段差のある場所で上から下に3~4個の生け簀(いけす)を水が流れ、岩魚もそこで静かに泳いでいました。生け簀を暗くするためか猫防止のためか黒っぽいカバーがかかっていました。
 因みに、渓流で岩魚を釣る時は、生のいくらを針の先につけ、段差のある渓流の水のまたり場のようなところで糸を垂れます。獲物を見つけてからしばらく様子を伺って、狙いを定めたら一瞬で取りに来ます。それはわずかに瞬間なので、引きのタイミングが難しいといわれている釣りです。おまけに、何度も失敗を繰り返すと岩魚が警戒して釣れなくなるので、釣り人もどんどん上流へ登って釣り場を変えるわけです。山登りを兼ねた険しい沢を時には迂回しながら山道を登ることもある釣りですから、夢中になってしまいます。最後、折り返して下るときにはもう釣り場に立ち寄ることもなく、一気に帰路に着くわけです。登りのワクワクする気持ちではなく、時には空の魚籃(びく)を下げて下るのです。疲れて膝はがくがになります。
 このような経験から、岩魚の美味しさというのは格別なものとしての記憶というのか、思い出のような形があって、これを他のもので壊したくないという拘りがあったのです。が、何故か、この長野県の山に住んでみて、この山のどこかで育った岩魚なら食べてみたいと思えたのです。自然には大きな力があるものです。

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 さて、川魚の焼き方として特に注意する点はありませんが、内蔵は「壺抜き」をします。これは口から菜箸を一本ずつ腹に向かって差し込み、エラを二本の箸で挟み、ひねりながら引き抜く方法で、内蔵とエラを同時に取り除く方法です。内蔵をきれいに洗い流したら水気をふき取り、丁寧に両面に塩をまぶし、尾鰭は、焼け焦げてしまうので多めに塩を乗せます。腹を手前に頭は左が魚の盛り付け方向ですから、盛り付ける面から焼き、程よい焼き色がついたら裏返して完全に火を通します。手製の端噛み(☛レシピ))を添えて盛り付けました。

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 食べ方ですが、え、食べ方があるの?と驚くなかれ、岩魚や山女、鮎などの小さいな川魚を食べる時は、「通の食べ方」があります。頭に中骨をつけたまま引き抜いて身だけ残して食べます。方法は、箸を寝かして両面の身の部分を軽く押さえ、背と腹を箸で挟むようにして骨を身から離れやすくします。尻尾を切り、頭からゆっくり引き抜きます。10匹くらい食べるとこの食べ方が上手にできるようにまります。
 昔、父が自慢げに説明をしながらやって見せてくれたのがそのまま記憶に残っています。そして、このようなことを思い出している時は、私は若い娘のままで、父は昔の人にしては大柄で筋骨隆々のがっちりとした体つきのままなのです。これが30年以上も時空を飛び越えた話にはとても思えない何か不思議な感じがします。

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