アフガニスタン情勢とアメリカオバマ政権
アフガニスタンに駐留するアメリカ軍のトップの司令官スタンリー・マクリスタル氏が、オバマ政権の複数の幹部を名指しで批判したことで「民主主義の根幹である群の文民統制を傷つけた」という理由から更迭された(NHKニュース)。私はこの事を知った時、直ぐに思い出したのは民主党の生方幸夫副幹事長の解任問題だ。Twitterでは田母神俊雄元航空自衛官の更迭という人もいた。いずれにせよ、政府側の理由を相当とした上で解任したことが取り上げられていた。
鳩山政権下で生方氏は、小沢幹事長は政治家として国民に説明責任を果たすべきだ、と政治資金規正法で事情聴取を受けた小沢氏を批判した事で一旦解任された。この時、国民から非難を受け、物議を読んだが、結局直ぐに異例の取り消しとなった。これらに関して個人的な感情を含めずに客観視するのは非常に難しいと感じているが、政権の状態を客観的に見てみるという意味では、いろいろな事が窺える問題だと思う。スタンリー・マクリスタル司令官の更迭に至るまでの経緯について、クリップ程度に抑えておこうと思う。
オバマ政権になってアフガニスタンに増派を決めたのは2009年の3月に2万1000人、10月に1万3000人を増派した。だが、マクリスタル司令官の要請は4万人だった(参照)。また、オバマさんは、一年以内でアフガニスタンの治安に効果を上げると話してからそろそろ一年になる。これまでの経過は極東ブログが詳しい(参照)。
マクリスタル氏の更迭の引き金になった発言とオバマ氏の更迭の理由はこうだ。
マクリスタル司令官が、アメリカの雑誌「ローリング・ストーン」の取材に対して、オバマ大統領が当初、「アフガニスタン情勢をきちっと把握しておらず、がっかりした」と述べたほか、安全保障担当の大統領補佐官を「冷戦時代の道化師」と批判するなど、オバマ政権の複数の幹部を名指しで批判したものです。
「司令官としての立場を逸脱し、民主主義の根幹である軍の文民統制を傷つけた」と述べ、司令官を更迭したことを明らかにしました。そして、後任にマクリスタル司令官の上司に当たるペトレアス中央軍司令官を任命しました(参照)。
対テロ戦闘など特殊作戦の専門家である司令官は昨年6月、更迭されたデビッド・マキャナン司令官に代わり、ゲーツ国防長官らが「最適の人材」と強く推して就任した。ジョン・マケイン共和党上院議員ら、司令官の増派戦略を支持する勢力は、現時点で司令官が交代すれば夏以降に実施される南部カンダハル攻略作戦など、今後の戦略に悪影響が及ぶとして「更迭すべきでない」と主張するが、政権内では司令官を擁護する声は少ない(参照)。
マクリスタル司令官の不満は、オバマ大統領の対アフガニスタンの増派だけだったとは思えないが、現地の事情は想像以上に困難な状況ではあったのだと思う。
これまでいろいろなソースを辿って調べながら思うのは、アフガニスタンの情勢はあまり変わっていないということと、だから増派すれば解決するのか?という単純な疑問だ。この増派という点で「ブッシュ戦争」を引き継いだため「オバマ戦争」と言われているこのアフガニスタン問題は、30年も続いている。そして、平和解決を模索するアフガン政府にとってもマイナス要因として、タリバーンのナンバー2、アブドル・ガニ・バラダル師がアメリカとパキスタンの情報機関に拘束されたことだ(6月15日の朝日新聞参照)。これはタリバーンにとっては大きな打撃であると共に、バラダルがいなくなってタリバンとの和平の話し合いをするのが難しくなったようだ。
ますます深刻になるのか。そうならないことを祈りたい。
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