2010-05-07

冷たいピータン豆腐:風味豆鼓の威力:「麦茶を沸かす」という話

Toi

 すごーく前に買っておいたピータンのことをすっかり忘れていて、思い出した途端に、冷たい豆腐に乗せて「奴ピータン」で頂きました。夏の日中の暑さを思わせる日で、こういう日には何か喉越しの良い冷たいものを食べたくなるものです。サラダの感覚で、レタスと冷たいトマトも添えてみたので、一品でかなり栄養バランスがよいと思います。
 ピータンと言うのは説明するまでもないとは思いますが、中国の長期保存法である土の中で発酵させて作った卵です。白身の部分は、透明な黒色に変化し、黄身は、発酵によって年輪のようなおもしろい模様になっています。茹で卵よりも弾力があって、透明な部分は、硬いゼリーを食べているような食感です。主に食感を楽しむのですが、味も濃厚で、一緒に食べるものによってはまろやかな感じにもなります。特に、この食感が豆腐と対照的なので、その効果がはっきりします。

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 味付けは、野菜の吸収を助ける油分を加えて少し辛味を効かせ、醤油系の味と酸味があればよいと思います。私が好きなのは、「風味豆鼓」と胡麻油を少量ずつ混ぜて酢でさっぱりさせたものです。「風味豆鼓」は、中華街に行くと売っていますが、豆鼓と鷹の爪、その他の香辛料を脂に漬け込んだもので、非常に辛いです。使う量を加減しますが、どうしてもこの風味豆鼓を使いたい理由に、豆鼓の香りと味が、他の調味料では出せないのです。手持ちになければ、ラー油と胡麻油を組み合わせてみるのも一つですが、機会があったら一瓶あると重宝します。他の料理では、ラー油と同じような使い方ができます。

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 今回使用したザーサイも、水に浸して塩抜きしますが、あまり抜かずに濃い目に残して、全体の味付けにします。その加減で、醤油の量もバランスよく使います。途中味見が肝心です。

材料 

  • 木綿豆腐・・300g
  • ピータン・・1個
  • トマト・・2個
  • レタス・・適宜
  • ザーサイ・・15g
  • 玉葱・・20g
  • 醤油・・小さじ1
  • 酢・・大さじ1
  • 風味豆鼓・・小さじ1
  • 胡麻油・・小さじ1
  • オリーブオイル・・大さじ1

作り方

  1. 豆腐を適当な大きさに切って笊の上で水を切っておく。
  2. ザーサイをスライスし水に浸して好みの塩加減に塩抜きする。
  3. 2のザーサイをみじん切りにし、みじん切りの玉葱と一緒にボールで、醤油、酢、風味豆鼓、胡麻油で和えておく。
  4. ピータンの殻を剥き、荒みじん切りにする。
  5. レタスとトマトのスライスを皿に並べ、1の豆腐を盛りつけ、4のピータンをのせて3をトッピングし、オリーブオイルを回しかけて出来上がり♪

*** 
 直ぐに5月並みの天候に戻るらしいのですが、昨日は、実に暑い一日でした。県の北部で32度を記録したのは、この時期では初めてだそうです。先日、秋田へ桜の満開を追いかけるように北上した時も、確かに暑いと感じる陽気でした。
 さて、この暑さがやって来なくても、一年中と言って良いほど麦茶を切らさない我が家です。と言っても、息子が練習で帰宅するのを待っていた昨年の秋口位までで、あれ以来、なんとなく作っていませんでした。昨夜Twitterで「今日は麦茶を沸かした」 という一言が新鮮で、懐かしい香ばしさがとても恋しくなったのです。この「麦茶を沸かす」という言葉は、最近の人達にはあまりピンと来ないのじゃないかと思い、麦茶の事でも書いておこうかと思い立ったのです。
 私が子どもの頃は、ティーバッグというと、紅茶が最初の「便利な物」で、今でこそ何でも一回使いになっています。一般的には、「緑茶は切る」「紅茶は繋ぐ」「コーヒーは落とす」と言います。では麦茶はというと、麦茶はやかんで沸かします(煮出します)。水を注いだやかんに分量の麦茶を一緒に放り込んで、沸騰するまで待ちます(これ、そばに張り付いて見張っていないと大洪水になるのです)。白い泡と共に麦の粒がくゆくゆと膨らんで、吹きこぼれる寸前にきたら、火を少し弱めて最小の沸騰状態を保って5分ほど煮出すのです。蓋をとって、大きな洗い桶のようなところで水を細く出しながら冷ますとでき上がりです。花鰹の出汁を取るような感じです。この時、少しでも速く冷めるように、やかんの蓋をとって蒸気を逃がすのですが、この時の香ばしさが何とも言えない良い香りなのです。ヘタなお香やフレグランスはやめておくれ!これが、私をあの昭和の時代に引き戻してくれるのです。ゲゲゲの女房に出てくるような「流し」がそう言えば、九州から東京近郊に引越してきた直後の借家住まいにあったような・・・。何もないところが台所で、水道と流しがあるだけ。どこだったか記憶が定かではないのですが、麦茶を冷ますのは、そういう場所でした。
 さて、私が長年飲み続けている麦茶で、梶商店の「鉄釜砂炒り麦茶」が、やかんから湯気と共に懐かしい昭和の香りのする麦茶なのです。麦茶は千差万別で、好みの向きもあるかと思いますが、この麦茶に出会うまで、かなり長い旅をして辿り着いきました。途中、麦茶なんてまあどれも同じか、と、探さなくなった時期もありましたが、随分前の通販生活の紹介で取り寄せたのが最初でした。考えてみると、あの頃からお値段は同じでしたが、サイトを見ると値下がりになっているようです。

鉄釜砂炒り麦茶4,200円 → 3,400円(300g×10/税込・送料込)
昔ながらの焙煎方法で、色ムラができやすい面がありますが、色の濃い麦は香ばしさを、薄い麦は麦本来の甘みを出すため、香り、味のバランスの良い麦茶ができます。現在でも人気のある焙煎方法です。

  1. ヤカンに1〜2リットルの水と30〜50グラム(茶筒のフタ一杯程)の麦を入れて沸かし、沸騰したら火を弱め、4〜5分後に火を止めます
  2. ヤカンを水に浸けるなどして、5〜10分荒冷ましします
  3. 荒冷ましした麦茶を容器に移します(麦かすが気になる場合は、茶こし等でこしてください)
  4. 味の濃さは、お好みにより麦か水の量で加減してください
  5. 夏場は荒冷ましした後、冷蔵庫で冷やしていただきますと、一層美味しくお召し上がりいただけます。

 これだけの事なのですが、本当に味わい深くて美味しいのです。じっくりゆっくり時間をかけて作った麦茶のありがたさなんて物ともせず、子どもの頃は、味わいもへったくれもなかったはずの私が、飲めないとなると話は別。昔は普通に飲めた普通に美味しい物は、今はとても入手困難な時代です。反動で意識が強くなるのか、子どもには本物を教えたいと思っています。私のように麦茶の味わいを知る大人も減ってきていますし、梶商店の作る麦茶を分かる人も少ない時代になってしまったかもしれません。
 先日、息子達の住むマンションで、冷蔵庫に麦茶を冷やして置いてあるのを見つけたので飲んでみました。麦茶パックので、色は非常に濃いのですが、その色から連想される香りも味も全く無しで、少しがっかりしました。忙しい東京暮らしで、麦茶を入れる時間を惜しむのだろうとは思いますが、今度こちらに帰ってきた時には、美味しく冷たい麦茶を用意しておこうと思います。

 finalventさんのいつだったかの話の時に、「同じ麦茶を飲んでいる!」と思った記憶だけが残っていて、よもやと思いながら探してみたらありました。こちら➠「麦茶の話」何だかお茶の話が面白いです。お茶如きなのですが、侮るなかれ、特別に高級茶の蘊蓄を言っているのではなく、「ああ、これが本物」って、分かっている人には普通の美味しさの話なのです。これを説明するのは難しいし、んじゃー試飲してみて!と言いたいところですが、確かに、梶商店のは300g袋入りが10本単位なので、へたをするとひと夏では飲みきれない量です。が、残っても必ず翌年にまた飲みたくなるのは請け合いなしです。騙さないので、是非飲んでみてください。

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コメント

実家の母も麦茶沸かしてくれてました。当時の麦茶やかんは今でも磨かれ現役でいます。

娘の私はティーパックですが。

便利なものはひとの五感、いや六感を鈍らせていっちゃいますね、やっぱり。

うーん、この夏どうしよっかな~

投稿: みみこ | 2010-05-09 00:44

みみこさん。麦茶の美味しいのはなかなかないのですよ。母上にもお薦めします。この麦茶ならきっと、昔の麦茶の美味しかったことを思い出すでしょう。それに。300gで380円(送料込み)は、決してお高くないです。2リットルのやかんに6~7回分が一袋かな。と。

投稿: ゴッドマー | 2010-05-09 05:56

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