2010-04-07

肉じゃが:肉の下味が決め手:中国での日本人死刑執行で問われるもの

 これだけ料理を長年続けてきても、美味しさへの探求がやめられない料理が肉じゃがです。味付けはほとんどいつも同じなのですが、作る順番を変えたりちょっとした下ごしらえを心がけると微妙に変化します。同じ分量の調味料なのに、と思うのですがその辺が奥の深い部分です。

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 肉じゃがの何に納得がいかないかと言いますと、薄味を心がけると全体がボケた感じになることです。そうかと言ってあまり濃い味付けは好みません。肉じゃがの美味しさというのは、甘辛い醤油味に鰹の出汁がしっかり効いていることだと思います。このインパクトにするには、どのように料理したら良いかというのが今日の課題としてレシピが出来上がっています。
 関西風のすき焼きで思いついたのですが、あちらでは、肉を最初に焼いて直接砂糖や醤油を肉に乗せて食べます。アレはかなり味が濃いにも関わらず、牛肉と砂糖甘いコンビネーションは不思議と相性が良いです。次に、鍋底に残った肉汁や焼き残しを出汁に、野菜を加えて砂糖や醤油を加え、野菜から水を出して煮込みます。今日の肉じゃがはこれからヒントを得て、肉に砂糖をまぶしておき、最初に軽く焼き付けてから一度取り出します。続けて野菜を出汁で煮て味付けし、最後に肉を戻しました。
 結論から先に言いますと、この方法は大正解でした。砂糖をまぶした肉に後から醤油が染み込んで、かなりインパクトのある味が肉から感じられます。最初に醤油の味をつけない理由は、肉が硬くなるからというだけでしたが、これが功を奏したようです。 また、この効果は煮物全体にとっては大変食欲を増進させる働きもあります。
 肉だけがぐっと甘辛いので食べる順番も肉じゃが芋ご飯、肉人参ご飯、肉こんにゃくご飯といった具合です。肉の味がボケていると、煮物全体にそのボケ具合が行き渡っていけません。是非お試しあれ!

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 ところで、今日の肉は、特に上等の肉というわけでもなく、すき焼き用として赤身の多いスライスで買い求めました。多分内ももかロースの端の部分だと思います。最初に肉の色が八割変わる程度に炒め、最後に加えて仕上げる時まで置くことで、砂糖の味がぐっと入ります。最後は2~3分一緒に煮込むだけなので、肉が固くなることもなくとても良い感じにでき上がります。また、今日の肉じゃがは、鰹出汁がいつもより多いので、その分調味料も増やしています。

➠お弁当に

材料

  • 牛肉すき焼き用スライス・・200g
  • じゃが芋・・300g
  • 玉葱・・1.5個(250g)
  • 人参・・1本(140g)
  • こんにゃく・・1丁
  • 砂糖・・大さじ2
  • 鰹出汁・・300cc
  • 酒・・大さじ2
  • 醤油・・大さじ4

作り方

  1. こんにゃくはスプーンなどで一口大に千切る。
  2. じゃが芋は一口大に切って5分ほど水にさらして、笊に上げておく。
  3. 人参は乱切りにする。
  4. 玉葱は縦に串切りで、八等分する。
  5. 牛肉は3~4cmの幅に切りそろえる。
  6. 5の牛肉を小ボールで砂糖と和えておく。
  7. 鍋でこんにゃくの表面が白っぽくなるまで乾炒りして取り出す。
  8. 続けて、6の牛肉を軽く炒め、八割程度に火が通ったらボールにとる。
  9. 引き続き、肉以外の具材を全て、鰹出汁で煮て火を通す。
  10. 酒、醤油の順に加えて味が染み込んだら8の牛肉を戻し、2~3分煮たらでき上がり♪

***

「中国死刑執行見通しで首相「残念だがいかんともしがたい」 法相は刑事手続きに疑問」MSN産経ニュース2010.4.6 10:25

 このニュースで、気持ちの中でざわざわするものがあって、これはどういう事かと嘆かわしい。中国で起きた事件に、他国の法を以て人を裁くという問題を問うのか、日本との比較で刑罰の軽重を問うのか釈然としない気持ちですが、このざわめきは、鳩山さんの発言が何よりも冷血漢だと感じているからだというのが正直なところです。

鳩山由紀夫首相は6日朝、中国で麻薬密輸罪での死刑判決が確定した赤野光信死刑囚(65)の死刑が同日中にも執行される見通しになっていることについて、「司法制度の違いとはいえ、死刑の執行は日本から見れば残念なことだ。ただ、ある意味で、いかんともしがたいというところもある」と述べた。首相公邸前で記者団に答えた。

死刑の執行は、日本も存続させている国なので、中国の刑が日本より重いと言って批判するのは、五十歩百歩のナンセンスだと思います。そういった発言の根底には、死刑制度ありきの考え方に立っていると思います。私は、個人的には死刑には反対です。人が人を裁く権利に死刑が与えられる、ということ自体が理解できません。鳩山さんの発言の真意はよくわからないので、「ある意味で、いかんともしがたい」とは何だ!と文句をいっても始まらないですが、「死刑」を問い直すことはできないのだろうか? ということすら無いに等しい発言です。ただ、今直ぐにどうこうできないにしろ、「問う」事の意味は大きいです。
 昨年の暮れでしたが、中国で同じようにイギリス人の死刑執行があった時に、英国政府は27回も「寛大な措置」を求めたとあります。

「中国の英国人死刑執行、27回にのぼる英政府の嘆願を黙殺」MSN産経ニュース2009.12.29 19:06

イギリスもかつては死刑執行の国でしたが、1946年にその廃止への見直しが始まり、1969年に廃止が確定した国です。死刑を廃止するにはかなり長い年月がかかるものだと思いますが、日本ではその是非を問う動きもありません。鳩山さんの発言からは少なくとも、見直すという考えもなさそうです。
 これと直接関係はないのですが結びつけてしまうのが、沖縄の普天間基地移転問題などでの発言です。「命をかけても」と、説明会見するような場面を見ます。とても嘘っぽく聞こえてしまうのです。沖縄県民に向ける言葉と、中国での死刑に対するコメントの根底に、温かいものや「誠意」は感じられません。結局その出処は、

「司法制度が違う状況の中で(刑罰が)厳しすぎるという思いはあるが、このことで日中に亀裂が入らないように政府としても努力する」と述べた。

とあるように、中国が怖くて仕方がないと言ったふうです。人の命の話で、「日中関係に亀裂が入らないようにする」って何?100歩譲って、比較法学的な観点からの話だとしても、亀裂を懸念する程度の対話力しかないのかと思うとがっかりな話です。国の首相がこんなことなので、後に続く人も皆同じですね、これでは。

 ところで、日本では「名張毒ぶどう酒事件:審理差し戻し 一日も早く再審を/3年かけ農薬入手(その1) 」(毎日JP毎日新聞 2010年4月7日 東京朝刊) と、50年前に死刑判決が下った事件に関して、農薬の不一致が元で再審の可能性が出てきているそうです。死刑という判決との戦いの人生が、私がこれまで生きてきた年月と同等かと思うと感慨深いものを感じます。「死刑判決」の在り方もそうですが、日本の検察や裁判の在り方にも課題がある中で、鳩山さんの言う、「いかんともしがたい事柄」として終われせたくないです。 

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