2010-04-10

手製の焼き雁(がんも):「密約」への関与も虚しくどうなる日本とアメリカの辿る道は

 「雁擬き」って、鳥の雁(がん=カモ科の鳥)のような美味しさだからそのまま名前になったそうですよ。って、言われても雁を知らないとわかりませんね。要は、鳥類の肉のような味に似せて作ったといわれているらしいのですが、実際は肉を使いませんので精進料理でもあります。

Food1_41

 手製の雁擬きを食べたことのない人が多いと思いますが、揚げたそばから醤油で一度食べてご覧なさい。美味しくてやめられなくなります。本当に香ばしくて美味しい豆腐の揚げ物です。ただ、若い人やうちの息子達に揚げ物をしろと言ってもしませんし、逆に、「その手間、何とか省略できないの?」と言われるのがオチです。が、この美味しさを一度は味わって欲しいと願うので、今日はリクエストのとおり、揚げない雁擬きのレシピの発表です。

Img_0805 Img_0806_2

 人参と油揚げを入れたひじきの煮物が常備菜として作ってありましたので、このことも時間短縮に貢献してくれたのですが、「混ぜもの」はこれだけです。もし、ひじきの煮物がなかったら、人参や牛蒡、長葱などを炒め合わせて、やや甘辛い醤油味に仕上げたものを混ぜるとよいです。
 手順は、木綿豆腐を大きく千切って笊に並べ、笊よりもやや小さめのボールに水を張って豆腐に重石として乗せて水切りをします。お麩を綿棒などで叩いて粉々にし、豆腐と混ぜ合せてペースト状にします。ここにひじきの煮物を混ぜ合せてバットに張り付かせ、格子に切ります。バットがなかったら手に水をつけながら円形に整形します。これをフライパンに油を薄く引いて両面を焼くだけです。勿論、揚げてもよいです。

Food1_40

 表面はサクサクで中はふっくらした雁擬きができます。大根おろしとポン酢や、柚子胡椒で頂くとさらに美味しいです。

➠お弁当に

材料

  • 木綿豆腐・・200g
  • お麩・・10g
  • ひじきの煮物・・50g
  • オリーブオイル・・大さじ2

***
 昨日の午後テレビの速報で、「沖縄密約訴訟で原告全面勝訴 文書の全面開示命じる」というテロップが流れた時、密使として関与した故・若泉敬氏のことを思って気持ちが沈んでしまった。
 この人物は、1994年に沖縄県民と当時の県知事大田昌秀氏宛に、佐藤栄作首相の密使として核持ち込みに関わった事を告白し、「歴史に対して負っている私の重い『結果責任』を取り、国立戦没者墓苑において自裁(自決)します」と言った内容の遺書を残している。(自殺には至らず、二年後に膵臓癌で亡くなったそうです。)この人物は一体何をそんなに重く受け止めたのかですが、極東ブログにはこうあります。

米軍は、沖縄に現存する核兵器の貯蔵地をいつでも使用できる状態に維持し、さらに有事が想定される際は、日本政府と名目的な事前協議はするだろうが、核兵器を沖縄に再び持ち込めるとしたということだ。(沖縄本土復帰記念日2005.05.15

Screen

 このことは、昨日の日経新聞だけが「4密約」として詳細を書いていますが、沖縄返還交渉の際、公表されなかった密約に関する情報の公開を求める裁判で、原告が勝訴したというのが昨日のニューステロップのことです。1972年の沖縄返還後の22年後に当たる1994年に遺書が書かれたので、この密約のことに蓋をして生きたその歳月と若泉氏の生涯を思うと、この裁判の勝訴が、今頃何かの意味を成すのだろうかという虚しさのような悔しさにも似た気持ちなりました。
 このニュースの歴史的事実としての面だけでなく、関わった人物の内面や人生についてをもっと詳しく知りたいと思い、そのようなことに触れた記事はないかと昨日探したのですが、どの新聞にもコラムにも今は触れたものはなかったです。沖縄返還の記念日は5月15日で、あの日は日本中のテレビや新聞で沖縄の喜ぶ姿を目にし、一緒に嬉しかったのを思い出します。今回の裁判の結果を受けて、「密約」の上で合意したのだと明かされた今、当時のあの日本全国が喜んだ歓喜の声を思い出すと複雑な気持ちです。
 この件は、前から私の気持ちの中では気になっていたことでしたが、実際私が沖縄で肌で感じたことではなかったし、情報から間接的に感情移入しているような気がしていたので今まで書くに至りませんでした。ニュースを拾っても、それは単に事実という情報に過ぎません。人の心に残るものは、語り手のその心にあるものです。沖縄返還交渉の難しさは、敗戦国である日本に対するアメリカの姿勢にあったのでしょうから、私ごときが口を挟む余地が見いだせませんでした。
 何とも皮肉を感じてならないのは、つい先立って米ロ間で、核兵器の削減に向けた新たな軍縮条約に調印し、新条約発効後7年以内に戦略核弾頭の配備数上限を現行水準から30%削減すると決まったことです。また、今の日米同盟においても、アメリカの日本にとっての必要性は同盟国というお約束の元に抑止力という壁を作ることですが、ここでアメリカが核を持たない国への先制攻撃や核攻撃をしない宣言しました。「米国核態勢見直し(NPR)報告書」に見えない話でも触れたことです。若泉さんが生きている間に、このようにアメリカの姿勢が変わるとは想像も付かなかったことでしょう。

 そして、若泉さんの気持ちを無駄にしたくないと思うと、今度は日本の政府に何が問われるのだろうか、と考えを進めたくなります。また、私はこの今の政府に何を問うのかと思うと、さらに気持ちが沈むのですが。

参考文献:「核密約」遺書でわびる 密使として関与の故・若泉敬氏」(沖縄日報2005/05/14)

|

コメント

初めまして。set0mac02と申します。

がんもどきは大好物で、おでん屋や居酒屋にあると必ず食べるのですが、今回はご紹介あったレシピで自作に挑戦してみようと思います。

本件、つぶやこうと思っております。
ご了承下さい。

投稿: set0mac02 | 2010-04-10 16:19

set0mac02さん、がんもどき好きは、やはりお豆腐ファンということかもしれませんね。あの大豆の香ばしい香りは何とも言えません。

是非、自作に挑戦してください。料理心よりも何よりも食べたいという気持ちがあればなんとかなるものです。作るとわかると思いますが、これは、おでんには不向きですぉ!

「つぶやくと」聞いてTwitter検索かけてfollowさせてもらいました。ここからですが、よろしく☆(かくいう私は、忙しくてあまりつぶやいていませんが・・・。気長にね)

投稿: ゴッドマー | 2010-04-10 17:16

調理のレシピを参考にお邪魔させていただきました。
沖縄の田舎に住むアラカキです
雁擬き、はシンプルでナチュラルな印象です
昔ながらの健康食ですか
話は変わりまして
沖縄の記事が掲載されていましたので
私の昔の体験した、夢の話として書き込みます
日本復帰の年は私は那覇中学のピカピカの一年生でした
まず、買い物でドルから円に変わりました
為替レートは確か1ドル=360円
1セントで駄菓子を買えたのが、ある日の翌日から10円になりました。数か月はドルで商品を買えたので、最後までドルで買い物していました
その当時、那覇軍港で毒ガス漏れ事故が発生しました。運悪く那覇の町はその毒ガスに汚染されました。
私は実家の庭で遊んでいました
息苦しくて、眼がかすみ頭が痛く、異臭が地域全体を覆っていました。家の中に避難しても無駄!どこにも行けない状況で不安な日を過ごしました。おそらく数時間程度だったと記憶しています。
被害者は多く出ていて、救急車で病院に運ばれた人たちも多かったようでした。
軍事兵器は一瞬で多くの人の健康を奪います。
痛感した1日でした。
核兵器の密入国は沖縄だけではないと思います。
今回のこのような報道には政治的裏がありそうな・・・
最近私の田舎町の上空は戦闘機が訓練を毎日頻繁に行っています。
なにかきな臭いにおいを感じます。ただの訓練にとどまってくれることを祈ります。
せっかくなので、もうひとつ話題を
最近エコブームです。電力会社が太陽光パネル設置を推奨しています。数年前は個人発電所は認めない方針でしたのに何故?
おそらくオール電化の普及目的では?と考えすぎます。
太陽光発電は非常に良いのですが、コストが非常に高く一般家庭に導入は困難でしょう。しかしエコ電化製品は導入するための販売権は獲得した。
次に最も経費のかからない原XX力発Xに完全切り替え
従来の電力料金でオール電化はサービスできる体制が整い
一般庶民は泣く鳴く切り替え
事故が起こると・・・・
地球は異常気象と言う症状が出ています
それは回復してきている自然の摂理ではないかと
今世界的に不況なためエネルギー使用は非常に節約しています
気が付いたら熱くなりすぎました
ここで私の夢の話を終わります


投稿: arakaki | 2010-04-10 17:41

arakakiさん、興味深い話ですね。私も関東の米軍基地のそばで育っていますので、ある程度仰ることが分かります。が、返還されたと言っても問題が見え隠れするのでなんとなく政府のやることには余談を許せない感が残ります。

エネルギーのお話もいろいろな説があって、温暖化は人類のせいではないという説もあるそうで、素人の私達一般市民にまでわかりやすく問題が降りてきません。国の言いなりになるしかないのも何だか・・・先の言葉を失います。

投稿: ゴッドマー | 2010-04-10 18:00

ありがとうございます。
現在、挑戦中です。
ご指摘の通り、おでん種には向かない様子に焼きあがっております。
それ以前の問題(技量不足)かもしれませんが・・・。

ご推察の通り、豆腐好きです。
季節に関係なく、相当頻繁に食べています。

followありがとうございます。

投稿: set0mac02 | 2010-04-10 18:20

おはようございます。ピースです。
先日のピースご飯の出来をご報告しようと思いつつ、もう次に作りたかったがんもどきの記事も数日前のものになってしまいました;;
あまりコメントしたことないのですが、テーマが数日前のものでもこういう時は最新の記事にコメントしていくべきなのでしょうか? よくわかりませんが悩んでいるうちにまたどんどん新しいお料理がたまっていきそうなので、この場でがんもどきのご報告!
昨日、とうとう今回の健康診断で肥満度1になった夫(びっくりするほどの大食漢)のために、焼きがんもどきに挑戦しました。作り始めてすぐ「お麩」が見当たらないことに気づき、卵と片栗粉をつなぎに焼いてみました。かなりフワフワに焼けましたが、お麩だと食感は違うのでしょうか? お豆腐好きの夫は大喜びで食べてくれました。1つ残しておいたのは娘の今朝のお弁当のおかずになりました。いつも大変参考になってます!

投稿: ピース | 2010-04-15 10:58

ピースさん、卵と片栗粉のつなぎは想像できます。すごくふっくら膨らむと思います。美味しくできたらそれはそれでよいと思いますが、ご主人のお話を聞いて思うのは、お麩の方がカロリーも低く、栄養的にはタンパク質だけなので、お麩がお勧めです。小麦粉のでんぷんを除いた物がお麩ですから。それと食感は、やや劣るけどあっさりして美味しいかも。(好みの問題かな)

コメントの件は、あまり限定しませんが、例えばガンモのエントリーにガンモのこコメントがあれば、他の興味のある方がご覧になって参考になるのではないかと思います。強いて言えばそれくらいです。

ピースの話も聞きたかったなぁ。

投稿: ゴッドマー | 2010-04-15 11:19

さっそくありがとうございます。
そうですよね、お麩、がポイントですよね。夫は柔らかい厚揚げを表面カリカリに焼いて、ねぎや生姜・大葉・茗荷、といった薬味でいただくのが大好きなので、今回のガンモはかなり好みに近くて喜んでもらえたのですが、私の目指すものとはちょっと違ったような・・・。今度はお麩で作ってみます。

コメントについても、ありがとうございました。
では、ピースのコメントはピースのエントリーに改めてします。なぜか豆関係だとザワザワ出てくるんです・・・。

投稿: ピース | 2010-04-15 13:40

その後の焼きガンモについてのご報告です。

お豆腐によって味が違い、水の切り方で食感が変わることを学習しつつ、飽きずに作っています。簡単で経済的なのに焼きたてはご馳走感じゅうぶんで、皆大好きです。
最初はけっこうたっぷりの油で揚げ焼きしていましたが、今はかなりしっかり水を切ったお豆腐に荒い粉ふるいでふるったお麩を混ぜ、別に煮ておいたひじきと人参を混ぜたタネを、ごく少量のオリーブオイルで焼いています。娘は朝、焼いたものを食べ、お弁当にも入れて持って行ってます。
以上、少しは精進しているというご報告でした(ペコリ)。

投稿: ピース | 2010-05-18 10:21

ピースさん、仰る通りご馳走感ありますね。私もホントに良く作ります。手頃な材料でできて、経済的で栄養満点ですものね。だんだんピースさんのレシピになって行っている様子で嬉しく思います。油も、あまり使わずに出来るというのがまた魅力ですし。

投稿: ゴッドマー | 2010-05-18 11:44

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 手製の焼き雁(がんも):「密約」への関与も虚しくどうなる日本とアメリカの辿る道は: