鶏胸肉のリエットと煮汁の活用でパプリカライス(スロークッカー編):肉のパサつきは脂との関係だけではないらしい
今日はリエット(rillettes)とその副産物で作るパプリカご飯のレシピです。
まずリエットからですが、これを本格的に作ろうと思ったらそれはもう大変な騒ぎです。ラードで肉の塊を低温で煮るコンフィをまず作って、加熱が終わった肉を細かくほぐしたものと、オイル煮に使ったラードを混ぜ合せて冷やし固めたもののことです。見た目にはレバーペーストのようですが、もっと繊維質な感じのものです。そんな面倒な工程を踏まないとできないのかいって、言われそうですが。ええ、本格派はこちらのコンフィの作り方を見に行って来て下さい➠こっち。食べられるようになるのに軽く三日はかかりますが、超、超美味しいのです(合鴨コンフィのオレンジソース☛レシピ)。
さて、こんなに時間をかけない工程でリエットを作ってみようと試作を繰り返し、結局手抜き合理的な作り方発明名人のブログを検索してヒットしたレシピを参考にしました。というか、スロークッカーを使用すれば、これ以外に合理的で美味しいリエットの作り方はないと思うのです。本格的に作る意味がありませんので早速紹介します。
私の方法は、肉を一口大に切って、バターで軽くソテーします。ここに塩と胡椒で味付けし、ローリエを一枚入れてスローックカーの「強」で6時間煮込みます。バターの優しい香りが漂い始めると、いよいよ肉に火が通るのも間近に迫ったと感じるでしょう。スイッチが切れたら直ぐに肉を取り出すのも良いですが、スイッチを切って(保温モードを切るため)、そのままあら熱を取った方が肉に水分が残ります(後で煮汁を足すこともできます)。また、煮汁は冷ましてからご飯を炊きますので、加熱を始める時間を考慮するとよいです。
取り出した肉はボールに取ってスプーンの腹で潰します。このとき味見をして、基本は塩を足します。リエットは塩味が基本で、その辺はペーストと少し違うのですが、好みでガーリックパウダーなどを加えるとバゲットなどにも合います。
リエットのパサつきが気になるときは、オリーブオイルを少し加えてしっとりさせると食べやすくなります。丁度シーチキンのような感じなので、油の量は加減するとよいです。
今日は肉を煮た煮汁をキッチンペーパーで漉して、みじん切りのパプリカとスイートコーンを加えた炊き込みご飯を作り、リエットと一緒にキャベツのコールスロー(レシピ☛)と、新玉葱をバターで炒めて白ワインで蒸したコンフィ(レシピ☛)をセルクル型(って何?➠)で押し固めたサラダにしました。パンは、低温圧力長時間発酵で作ったフルーツブレッド(ドライトマト)にしました。レシピは、長時間圧力冷蔵発酵の角パン➠と同じ分量で、焼き方はこちら➠です。
リエットの材料
- 鶏皮なし胸肉・・2枚(450g)
- バター・・20g
- ローリエ・・1枚
- 塩・・小さじ2
- 水・・1000cc
- アク取りシート・・1枚
- オリーブオイル・・大さじ2
パプリカご飯
- 米・・2.5カップ
- カラーピーマン・・赤・黄各半分
- 冷凍スイートコーン・・大さじ3
- 鶏肉の茹で汁・・2.5カップ
リエットサラダ材料
- 玉葱のコンフィ・・適宜
- 新キャベツのコールスロー・・適宜➠ レシピ
- リエット・・適宜
- セルクル(直径7.5mm)
作り方
- 皮なし胸肉を一口大に切り、軽く塩を振って肉の色が変わる変わるまでバターでソテーする。
- スロークッカーの内鍋で分量の水と1の肉を一緒にし、アク取りシートを乗せて「強」で6時間にセットして加熱。
- 出来上がった肉を掬い出し、残りの煮汁はクッキングペーパーで漉して冷ます。
- 分量の米を洗い、カラーピーマンをみじん切りにし、スイートコーンと一緒に3の煮汁から炊飯する分を取り分けご飯を炊く。
- 3の肉はボールなどで好みの大きさにつぶし、塩と胡椒で味付けし、オリーブオイルを加えてしっとりさせる。
- 皿にセルクルを置き、コールスロー、玉葱のコンフィ、リエットの順に軽く押しながら詰め、型を抜く。
- 炊きあがった4のパプリカご飯を同じようにセルクルに詰めて型抜きする。
- パンを薄くスライスしてカリッとなるように焼き、リエットや野菜を乗せて頂く♪
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リエットについて語ろうとすると、いろいろな事が一度に出てきてあまりまとまらないのですが、試作などを経て今回の方法に一応落ち着いた感じがあるので書いておくことにします。
リエットは鶏肉に限らず、牛肉や豚肉でも作るので、その繊維質な部分をどの程度でよしとするかが私の問題でした。これは、好みの問題だということと、肉にはある程度食感が残った方が旨味を味わえるというのはありますが、繊維をソフトな触感にするというのはおいそれと簡単にはできることではなく、なかなか難しいものです。肉を煮込みながら、このパサつく感じを何とかしたいと思っていたのですが、肉の繊維の存在感がはっきりあるくらいの硬さの時は、後で油を足してもそのパサつく感じはなめらかになりませんでした。途中、弁ちゃんから「脂をたしたら」とアドバイスをもらったのですが、この時点では何が問題なのかあまりはっきりしていませんでした。そこで、極東ブログで以前扱っていたのを思い出し、スロークッカー使用が前提のアドバイスだったのかもしれないと思い、やり直してみた結果、スロークッカーで作れば脂を足さなくても、パサつきの問題は解決に至りました。
ここで解説するのも何ですが、あちらでは「スロークッカーで水炊きするだけ」とあるのですが、その肉はローストされています。つまり、味付けされて焼いてある肉です。しかも、ローストチキンの残り物としてではなく、「リエットにするならローストチキンで作る」というニュアンスです。ここがミソで、スロークッカーで水煮するにしても、肉の旨味も一緒に煮込まれるのだと想像できます。
元々リエットは、ラードをかなり大量に加えて煮込み、潰した後冷やして締めるので、脂が固まって整形されているのです。この脂もバゲットなどには相性がよいのですが、私は、脂は少なくあっさりとしたのを好むので、繊維のパサつきの問題が浮上したというわけです。
途中で閃いた事なのですが、日本の魚で作った「田麩(でんぶ)」が、今回私が作った胸肉のリエットとそっくりなのです。田麩の作り方は、鱈などの白身魚を茹でて、身だけをこそげとってすり潰して味付けします。中国にも肉田麩があって、昔叔父が作ってくれたのを思い出したのですが、ふんわりとしたすり身の肉です。何処も似ていますね。フランスのリエットはバゲットに乗せ、日本の田麩は寿司やご飯に使い、中国ではお粥の具だったりするわけです。何か繋がりがありそうなので、調べたい衝動が起こります。いずれにしてもタンパク源としての肉や魚の保存方法として、このような料理が誕生したというのは間違いないようです。
肉を炒めた後に長時間茹でる作業は、いずれにせよつきものですが、スロークッカーの利点は、繊維に水分が残っているので他の料理方法では得られないほどパサつきのない仕上がりです。そして、丹念に潰せば、田麩(でんぶ)にもなる程柔らかく煮上がるという点が、他の方法との違いだと思います。スロークッカーがなければできないじゃん。って言われそうですが、あればこんなに美味しいリエットができるのです。
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