2010-03-13

薬研(やげん=鶏の軟骨)のクミンシード炒め 塩とナンプラー味の二種:[書評]ツイッターノミクス TwitterNomicsに触れて

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 今日は、久々の薬研(やげん)料理です。料理と言ってもほんの数行で終わりそうな簡単さなので、なんとなく今までここに紹介するのを忘れていたというような始末です。
 そして、実は残念なことに昔ほど見かけなくなったのです。今日のやげんはたまたま国産ですが、昔は中国産で、加工肉や部位別の肉などと一緒に軟骨も多く輸入され、業務用として卸していたと聞いています。中国産の鶏肉に残留する物質の問題で2002年に輸入をストップして以来、とんと見かけなくなったこのやげんですから、店先で見かけるというのは非常に珍しく、しかも国産なので私はラッキーでした。
 やげんの料理法で思い浮かぶのは、串さしで焼いたり揚げたりするか、そのまま油で炒めたり、刻んで挽肉などに加えてつくねにするなど、挙げてみるとなるほどビールのおつまみ系ですね。とはいえ、コラーゲンの塊ですから、優れた栄養として意識的に食べたい食品でもあります。

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 今日は、クミンシードの香りを移したオリーブオイルで炒めます。カレーではないのにカレーの香りを思わせるのは、クミンシードです。インドのカレー作りには欠かせない香辛料ですが、この種を低温でオリーブオイルで炒めるとピョンピョン飛び出してきます。これが美味しさの秘訣で、香りが充分オリーブオイルに移ってからソテーします。

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 味付けは、でき上がりに塩を振ったりナンプラーを最後に鍋肌から入れるなど、表面に濃い目の味をつけて仕上げます。忘れて欲しくないのが、レモン汁をかけて食べることです。いずれにしても勝負の早い料理です。
 ポイントは、柔らかく、コリコリした食感に仕上げるために、小麦粉をほんの少しまぶしておきます。これで、余分に水分が蒸発することもなく、硬く焼けてしまうこともありません。因みに、上から二枚の画像がナンプラーで、ボトムは塩味です。

材料

  • やげん・・300g
  • クミンシード(ホール)・・小さじ1
  • 塩・・少々
  • ナンプラー・・小さじ2
  • 鷹の爪・・1個
  • 小麦粉・・小さじ1
  • オリーブオイル・・大さじ2
  • レモンスライス・・適宜

作り方

  1. やげんに軽く塩を振って分量の小麦粉を全体にまぶす。
  2. フライパンにオリーブオイルとクミンシードを入れて弱火にかけ、クミンシードが跳ねるまで炒めてオイルに香りを移す。(焦げないように)
  3. 1のやげんを広げるように並べて、しばらくそのままソテーし、半分くらい火が通ったところで菜箸で動かしながら炒めて火を通す。
  4. やげんの色が全体に白くなって火が通ったら、半分は取り出して塩を振り掛ける。
  5. 残ったやげんの周囲にナンプラーを回しかけ、味を絡める。
  6. レモン汁をかけて召し上がれ♪

***
 「ツイッターノミクス TwitterNomics(タラ・ハント著、村井章子訳、津田大介解説)が発売されたばかりだというのに、昨日、もう書評が公開されたのでありがたいことです(参照)。そもそも、この「TwitterNomics」の意味が良く分かりません。初っ端からがっくり。と思ったら、どうも和製英語らしいです。ともあれ、私もTwitterにアカウントを持つ一人として、また、ブログの運営者として、今時の流行ものをやっているということで多少興味があった本です。
 読んでないので、読んだ人の書評でこの本を評価するつもりはまったくないのですが、文末の、個人的なブロガーとしての意見の

数値化されうるようなウッフィーやあるいは既存メディアの名声の転写的な人気に対して、個というものがどのように確立された見解を持つか、その細い連帯のなかで、衆を頼むような傾向に本質的に対抗していくことにこそ、このメディアの本来的な意義があるように思う。

に反応して、少し思うことを書いておきます。
 「ブログの知名度が高ければビジネスチャンスがあるか」という辺りが、電子書籍化を計画中の私が以前、一旦は区切りをつけた部分なので、なんとなく彼の考えに納得したのです。
 書籍化の話が持ち上がった時に私が感じたことですが、出版社は、本を売るのが商売ですから人が欲しがる情報を本にすれば売れて、読者獲得になるのです。編集者と書き手は、そこで一つになって、その売れ筋の路線に乗せるべく、どのような内容に肉付けするかが問われるのだと思いました。書き手の私は、歩み寄るのが必須で、これは、何を書いても売れる売れっ子作家とわけが違いますから、求められていることに応じた内容を書く(提供)するのが役目です。実は、これが、私がイマイチ乗れない路線なのでした。
 既に話した通り、ブログ発の料理本の市場は飽和状態だと聞いています。「簡単・速い・美味しい」に的を絞って書いている若手のブロガーの本は当初は売れたと思いますし、世の中がそういう料理を求めているというのも事実だとは思います。出版の適期ではなかったかと思うのです。それが今、飽和状態だというのは、何が飽和になったかを知らないでは話になりません。後に続く出版が同じ路線だったからか、又は当初のものよりもさらに料理を解体したような食べ物の紹介的なハンドブックのような本だったからか、人は何故このような本を買わなくなったのでしょう。
 私の拘りでもあり、それが偏見だと言われるかもしれませんが、出版される新しい料理本に触れて、嘆かわしい思いもしました。食べ物そのものや料理が、その素材や季節感などから遠ざかってしまい、もはや食べられれば何でも良いというような無味乾燥としたものを感じました。現代人にはついて行かれないなあと少し落胆したものです。
 ビジネスチャンスの話に戻して、さて、ブロガーとして知名度を上げるために本を出版するのではないのですから、既に知名度が高いことが条件だというのは自明です。日本のネット人口は現在8000万人と言われています。全体の6割が何らかの形でネットに関わっている事になります。大きな市場だとは思いますが、このうち、何割くらいの人に名前が知れ渡ると、「有名人」だというのでしょうか。また、インターネットの環境にいない人でブロガーの使っているハンドルネームがどれほど知られているかといったら、圧倒的に知らない人の方が多いのです。おそらく、そういう人が書店で売れ筋本の積み上げの帯を見て、「ああ、これが噂のブログ発の料理の本ね」と手に取る時に初めて知るようなことでしょう。長くネットに繋がっていると、ブロガーとして人気があると錯覚しやすいのも事実ですが、世間での知名度は低く、スポーツ界や音楽界、役者、アナウンサーの知名度と比べたら月と鼈(すっぽん)です。そこに夢が持てるのか?ということです。
 では、ネット上の自分の知名度は、何で知ることができるのでしょうか。編集者は、訪問者数だと言っていました。それもあって、ポータルサイトに登録せよみたいなこともあったそうです。ブログにポータルサイトのバナーを貼り付けて「クリックしてね!」みたいなのを見かけますが、アレです。ネット上で多くの人の目にとまりたいのは、自分の書いていることを知らせたいという意思の表れとして理解できますが、あれを見ると、私は興醒めします。
 あれはランキングに参加しているということを示すからです。ランキングが果たして自分のブログの評価になるかというと、ならないと思うからです。でも、ランクが上がると有名になったような気持になるのでしょうか。私って、しらけたものですね。評価はされたいけれど、クリックでランキングが上がったことが人の評価とは思えません。はてなのブックマークと同じです。ブックマークする人の意味は、その人にあるので、ブックマーク数が自分の書いたものに対する評価とは一概に言えません。良し悪しに関係なく、ブックマーク数が多いと言うのは、それだけ何らかの意味で人が見たという数ではあると思いますが。
 「Twitterやブログを生かしたビジネス」を描くのは、遠い遠い所の話で、書籍化なんてとてもリスクが高いと思います。そのような方法を取らなくても、自分の発することは届けられるのだし、なんとなくこじんまりと分相応に振舞うのがよろしいような気がします。
 発売された本を腐すつもりは毛頭ありませんが、ビジネスチャンスその物が私にとっては非現実的な妄想のような話なのです。昔アメリカンドリームという言葉がありましたが、トレンドにはどうも乗れません。

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コメント

やげんという呼び方を初めて聞きました。
やげんと言えばやげん堀という七味しか頭に無く。

お肉とクミンは、中華街で牛肉のクミンシード炒めを出す店がありました。
あちらは大量のクミンでそのまま炒める感じで、汁っ気は無く、駄菓子系というかお酒のつまみという感じでした。

今日のコレはまた美味しいと思います。
今日も写真を拝見し、ゴッドマーさんの加熱に対する感性には感心するばかりです。

こちらは継続が進化と蓄積とが、魅力のひとつなのだと思います。
それを写真を撮るように切り取りその時の形に留め、魅力的であるのはフォトグラファー=編集者の力量もとても重要でしょう。

投稿: ふ゛り | 2010-03-13 08:33

ぶりさん、素材に恵まれると、その嬉しさを料理で表現しないといられないという流れでした。中華街なら薬研の入手は簡単かもしれませんよ。中国産という意味ではなく、食べ物やさんが多い場所では、大きな肉屋さんがあるという意味で。
おそらくこの味付けは、ぶりさん好みだと思いますので、問題は、軟骨の入手ですね!

画像と言えば、確かにどうせ載せるなら美味しそうでなくては意味がありませんよね。そして、カメラもそこそこのものを・・・と、デジタル一眼レフが欲しいと思って3年くらいになります。急に思い出す程度なのですが、一時は熱がでましたよ><再考します。

投稿: ゴッドマー | 2010-03-13 08:59

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