2010-03-24

海老と蕗の薹の葉の生湯葉卵丼:どうして湯葉なんてものが食べたいかなぁ 脱脂粉乳の膜から早45年ですよ

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 毎日どんどん伸びる蕗の薹の葉欲しさに、連日畑の土手に足を運んでいます。花が咲いている先端の硬くない部分は、刻んで蕗味噌にし、我が子の好物なので冷凍保存しています。むしり取った葉は、今日は、生湯葉と海老と一緒に卵とじにして、春の贅沢をさせてもらいました。このところ作っている白和え(レシピ☛) とならんで、蕗の薹の香りと苦味が玉子丼に新鮮さを齎してくれました。蕗の薹が入手できない方にはとても申し訳ないレシピになりますが、チャンスを狙っていれば、いつか必ず食べられる日が訪れるものです。

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 また、生湯葉ですが、これも最近ではスーパーの豆腐売場で良く見かけます。今回使用したのは、棒状に巻いて冷凍したものでした。そのまま切って刺身でもよいと書いてあったのですが、湯葉は、温めると食感がつるんとしますので、卵とじに加えてみたのです。卵の半熟と、海老にまぶした片栗粉のとろみになかなかよく馴染んでいます。蕗の薹の葉は非常に薄く、他の食材の干渉をしないので、噛んでみて初めてそれと気づきます。代用する場合は、三つ葉や水菜などが優しい感じに仕上がると思います。

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 作り方は、材料を切り揃え、海老は、背に浅く包丁を入れて背わたを抜き、下味調味料に10分ほど浸けておきます。味醂のコクを生かしたいので、2~3分味醂だけ煮切ります。ここで一緒にアルコールも飛びます。ここに調味料を加え、煮立っているところに海老を入れて火を通します。続けて生湯葉と蕗の薹の葉を加えたら、軽く溶いた卵の白身だけを「の」の字に回し掛け、火が通ったら残っている黄身を「の」の字に回し掛けます。くれぐれも注意したいのは、卵の溶き方です。白身と黄身が混ざる合うほど溶いてしまうと卵のコシがなくなり、でき上がりがダラっとしてしまいます。ご飯の上でプルンとコシのある卵に仕上げるには、10回程度の混ぜ方で充分です(これっていつも言っていますが)。玉子丼の出来不出来は、これで決まると言っても過言ではありません。
 今回の作り方は、三人分を一回で作るので、材料が収まるフライパンやフッ素加工の浅鍋などを使用します。

➠お弁当に

材料(3人分)

  • 海老(ブラックタイガー)無頭8cm・・6尾
  • 生湯葉・・80g
  • 蕗の薹の葉・・40g
  • 生卵・・3個

海老の下味調味料

  • 塩・・ひとつまみ
  • 酒・・小さじ1
  • 片栗粉・・小さじ1

調味料

  • 味醂・・50cc
  • 鰹出汁・・180cc
  • 砂糖・・小さじ1
  • 醤油・・20cc

作り方

  1. 海老の殻を取り除き、背に包丁を浅く入れて背わたを引き抜く。
  2. 1を下味調味料に浸けておく。
  3. 蕗の薹の葉をむしり取り、生湯葉を1cmの幅に切る。
  4. フライパンで味醂を2~3分煮立ててから他の調味料を加え、煮立ったら1の海老を加えて火を通す(表面が赤くなるまで)。
  5. 続けて蕗の薹の葉と生湯葉を加える。
  6. 手早く卵を溶いて白身だけ「の」の字に回し掛け、火が通ったら黄身を「の」の字に回し掛ける。
  7. 30秒程加熱したら温かいご飯にかけてでき上がり♪
 

 白身は硬く、黄身は半熟ですが、これは好みです。

***
 そもそも湯葉は何か?ですが、豆乳を温めた時に表面にできるタンパク質の膜のことです。似たものでは、牛乳の膜もそうです。年寄りは何故あんな物を珍重するのだろうと、とても不思議で、昔は食べたいとも思わなかった食品です。しかも高価です。これには、昔の給食の後遺症のようなものがあって、軽くアレルギー(拒否)でした。
 昔の給食のミルクとは「脱脂粉乳」で、これが必ず出され、教室で給食当番が銘々の器に注ぎ終わる頃には適度に冷めていました。この「適度」というのがミソ。綺麗に膜が張って、窓から差す午後一番の太陽の光を反射している光景までもが思い出されます。
 膜の張った器のどこから飲むのがこの膜を回避して、膜だけを器に残せるかと、とても工夫したのを覚えています。それが面白かったので、私は飲めたのかもしれません。この牛乳脱脂粉乳が飲めない級友もいて、先生に強制的に飲まされていたのですが、さて、あの子達は毎日残さずに飲めていたのだろうかと変なことが気になります。
 あの膜が嫌いで、綺麗に器に張り付かせて残す手法を得意とする私でしたから、まさかに豆乳の膜を美味しいと言うほどに味覚が変化するとは思いもよりませんでした。大人は変なものを美味しいといって食べるものだなあ、と思っていた子どもの私が大人になって、本当に変な物を食すものです。
 湯葉を自分で作ってみたら、これが如何に大変な作業の賜物かが分かったのと、それを大昔の人達は、いろいろに工夫して食べてきたという歴史を知れば、食べないではいられなくなるのです。競争心などではないのですが、好奇心を擽られるのです。味は特にないと思ったら、それはちょっと違います。豆乳の味というか、大豆の甘味のようなものはあります。未だに湯葉が美味しいものだとは思いませんが、これを珍重して作って売る人がいるのだと思うと、昔からある日本の食材として、絶やしたくないという思いはあります。
 そう言えば、欧米人は、日本の歴史ある食べ物を嫌う人が圧倒的に多いと思います。納豆、甘納豆、海苔、干物などですが、湯葉が美味しいとは絶対に言わないでしょう。
 私は、お吸い物に入れたり、今日のレシピのようなつるつる同士と一緒に料理したりします。蒸し物の餡に加えるのも好きです。料理に湯葉が使ってあると、その心遣いが憎いと言いますか、お茶の湯で、亭主が客人をもてなすような奥深さを料理から感じるとすれば、湯葉がそうです。
 給食のミルクの後遺症からとんでもない展開があったのものですが、いろいろなことを知り、学ぶ機会と言うものは大切にしたいと思います。何が自分にとって好機となるか分からないものです。人生には無駄はない、とつくづく思います。

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コメント

こんにちは、吉野と言います。

ひゃー、とにかく写真がキレイで
美味しそうです。

すごく詳細に説明してくれて
分かりやすかったです。

素晴らしい記事で大変
参考になりました。

ありがとうございました。

また遊びに来ますね。

投稿: タンパク質で若返り◆吉野ゆう | 2011-12-06 11:37

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