蕗の薹でパスタ(塩味と醤油バター味):ハートフルな長野の人達
長い冬の終わりに、春のしらべが聞こえてくるようなぽかぽか陽気に乗って山を歩いてみると、あった!蕗の薹。なんて早い春の訪れかと驚きました。霜に当たった所が茶色くなっているのは、人間の霜焼けとまるで同じです。
長野県のこの山奥だからって、威張るようなこともないのですが、ここに住んでいてよかったと思うのは、四季折々に、自然からのプレゼントが貰えることです。
一昨日の朝風呂で「もう蕗の薹がでているらしよ。」と教えてもらったので、日が照ってきたと同時に霜柱の解けぬ間に山へ入ってみたのです。家の前の小高い山なのですが、蕗の薹は毎年ゲットしている場所です。ここで10個、調子に乗って家の畑まで足を伸ばして10個と、なかなか成績はよかったです。まだ蕾なので、ここかという場所に当たりを付けて枯れ草の下を覗くんです。きっともっと時間をかければもっと採れたかに思いました。20回もの発見に喜び勇んで、戻ったところでTwitterに画像を流したところ、パスタにすると美味しいという情報が直ぐに返ってきて、早速夕食に作りました。
実は、これだけ楽しみにしている蕗の薹の初物は、天ぷらと決まっているたのです。それが蕗の薹への感謝の気持ちというか、蕗の薹が一番喜ばれる食べ方が蕗の薹にとってもよいと思ってきたのですが、このパスタを食べたら意識が変りました。 形は消えてしまって蕗だか何だか分からなくなってしまうのがイマイチですが、にんにくと炒めて茹で汁を少し加える頃には、蕗の香りで部屋が満ちるのです。一気に気持ちも春めいて、なんでしょう、嬉しくなって顔がほころんでしまうのです。こんな風に春を感じることができたら、それは、立派な天ぷらに劣らずとも勝らない春のしらべを齎してくれてる証拠です。
作り方は至って簡単で、しかも、蕗に敬意を表して、あまりゴタゴタ加えない方がシンプルに蕗の味と香りを堪能できると思います。レシピを教えて頂いたn_maruyamaさんからは、オリーブオイルでにんにくとアンチョビーと一緒に蕗の薹の刻んだものを炒め、パスタの茹で汁でのばしたソースを絡めるだけだと聞いていますが、私は、シンプルにオリーブオイルでにんにくと蕗の薹のみじん切りを炒めて茹で汁を加えるという、茹で汁の塩味だけのパスタと、オリーブオイルをバターに変えて、醤油を少し加えてみたのと二種類作ってみました。
オリーブオイルとにんにくだけだと蕗の薹の香りのインパクトが強く、それに比べてバター醤油の方は、まろやかでバターの風味が大変蕗の薹と合うので、美味しくできました。どちらもお勧めです。
材料
- 蕗の薹・・80g
- パスタ・・400g
- にんにく・・2片
- オリーブオイル・・大さじ1
- 鷹の爪・・2個
- バター・・20g
- 醤油・・小さじ2
作り方
- パスタを茹でるお湯をたっぷり沸かし、沸騰したら麺を茹で始める。茹で上がる3分前にお湯1%の塩(分量外)を加える。
- お湯を沸かしている間に蕗の董をよく洗い、適当な大きさにぶつ切りにする。
- にんにくをみじん切りにする。
- パスタの茹で上がる頃合を見て、フライパンにオリーブオイルを引き、種を抜いた鷹の爪とみじん切りのにんにくの半分をソテーしてオイルに香りを移し、蕗の薹を軽く炒めて塩と胡椒で味付けする。
- 茹で上がったパスタを笊に上げ、茹で汁をお玉で一杯救って4に加えてソースをのばす。
- パスタの半分を5に絡めて皿に移す(塩味バスタ完成)。
- 醤油味パスタは、同じフライパンにバターを溶かし、パスタが茹で上がる段階になったら5で醤油を鍋肌にかけ回して香りをつけ、6と同様にパスタを絡めてでき上がり♪
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どうでもいいようなことだと思いながら、いつも迷った上で地域のことってここに書いておきたいなあと思うのです。その事にちょっと触れて置くと、書いておこうと思う理由は、残すことで誰かが後で読んで参考になるようなことでもあるかと、もしもの必要性を思うからです。残す価値は、私にとっては無いかなぁ、よくよく考えると。
私は、この家に嫁いできて大変苦労しました。知らない土地の、しかも新興住宅地ではなく、先住民が多く住む古いしきたりの残っている地区なので、兎に角いろいろが煩いのです。都会から来て、何も知らない私に教えてくれる人がまったくいなかったのです。義母は半身不随で会話はできず、義父は何処も同じように男というのは無頓着で、特にこの地区では威張っていられるし、何もできなくても私の表現で言えば「慇懃無礼(いんぎんぶれい参照)」なのです。聞いても私が必要なことは知らないことが多いというのが男の人の持つ情報です。夫は、それ以上に何も知らない人で、この土地の冠婚葬祭には疎いのです。誰でも若い頃は知らなくて当たり前ですが、事あるごとに傍で教えてもらえないので、経験する度にそれは周囲から色々言われるのです。お姑さんの助けがなかったことと、このような土地柄に来たのが重なって苦労したのです。
他所から来ている人だからということは、できなくてもよいという理由にならないのです。失敗も多々あるので、その経験から学んだことも多くありますが、そういことを煩く言う世代がもういないのです。せっかく苦労して覚えたことだけど。
で、今この辺で持ち上げておかないとマズイ世代は団塊世代です。この世代の人達は、人に煩く言わないですが、影で言います。だから上手く立ち回らないと大火傷します。
とか言って、それほど大切な特別な事が遺したいことにあるかというと、こういう事は突然思い出すのでその都度書くことにします。もうこうなると遺書めいた感じですが、そういうつもりで書いても意味合いとしては同じです。
本題は割と短くなりそうです。
ご近所から物をもらった時に、貰いっぱなしで良いかという問題です。答えはブーです。この辺は、お葬式に出向くことを「お義理ができた」と言いますが、その意味ではなく、「お返し文化」とでも言ったらよいのか、義理堅いところが昭和風味で残っています。
で、どこで切ったらよいのか私にもよく分からないことで今直面しています。そろそろ終結を迎えているので書きますが、先日突然お風呂でいつも会うお婆様(71歳)から越冬の自家製大根を頂きました。「食べてね」って。その大根がまたズッシリ重くて、鶏肉と一緒にミルク煮にしたら案の定、大変甘くて美味しい大根でした。レシピは後日アップしますが、この大根の御礼に何をするかです。私の息子が、引越しのご挨拶に2000円の菓子折りを持って行ったような頓珍漢ぢゃダメダメっ!畑で育てた大根のお返しに、買って来たような物じゃ駄目なのです。何か手作り品です。頂いた大根で作ったお惣菜でもよいのです。が、ミルク煮を差し上げるにも、ご夫婦に一口ずつ差し上げても、大根二本分には足りませんから何か他のものです。かと言って、わざわざお返しのために作るような気遣いはやり過ぎです。こういうのが難しいです。
例えば、お菓子を作った時のついでとか、この辺だとお茶請けになるような食べ物は喜ばれます。特に年配の方になら、海苔巻きとか山菜の煮物だとかです。で、私は癖の無い誰が食べてもよいような食パンを焼いて持って行ったのです。はい、ここでありがとう、ちゃんちゃん。ぢゃなかった○| ̄|_手ぶらでは帰しませんよとばかりに、昨日アップした「高野豆腐の揚げ出し」が、できたばかりだからと言ってタッパーに5~6個詰めて渡されたのです。あらら、また、頂いちゃった。
さて、お返しのお返しを頂いたのでこのお返しをどうするかと悩み、結局、パンに付けて食べてもらったらよいかと、冷凍保存してあるルバーブのジャムを凍ったまま朝のお風呂の時間に合わせて持って行ったのです。へへ、これで手ぶらで帰ればちゃらになると思ったのです。ところがどっこい、そうは問屋が卸さなかった。
その日、玄関にピンポーンとやってきたのは、自家製の野沢菜漬けです。で、ここでおみやげを持たせればちゃらになると思ったのですが、持たせるお返しになる物が思いつかないと来ている。ドジドジ!で、朝風呂に何かを持って行かねばと思いつつ、朝になっても思いつくものがない。と言うか、蕗の董味噌でも作ればよかったのに、パスタで食べちゃったし、と半分後悔しつつ手ぶらで温泉に行くと、野沢菜の炒め物と手製のらっきょ漬けをまたっ、頂いてしまった。もう、冷蔵庫に漬物だらけ!どうしてこんなにもらえるのかとちょっと聞いたら、私からもらったパンとジャムが美味しくて、自分があげた物だけじゃ足りないと思ったのだとか。へー、これってフェイントだわwwこんなことは始めてです。貰い物をしたらお返しを一回すればお終いなのですが、もう何往復もしちゃっています。っていうか、貰いっぱなしになっているのは私の方ですが。どこで止まるんだろうこのスパイラルは、と。
多分、このお婆様は私に儀礼的な形をとっているわけではなさそうなので有り難く頂戴しておくのが納まるのかもしれません。このような例外もあるのです。
※画像は、諏訪湖からひと山裏手に超えた角間新田の「くるみ台・谷間の家」付近の里山風景。画像の上部にうっすら霞んで見えるのが諏訪湖の周辺「豊田」地区。
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コメント
蕗の薹でパスタ(塩味と醤油バター味)
香りが素晴らしいパスタ料理 嬉しいです
美味しそうです
素敵なレシピ有り難うございます
投稿: ryuji_s1 | 2010-03-04 09:00
ryujiさんもお近くで蕗の薹が見つかるとよろしいですね。山からの春の芽吹きは大変元気が良く、そのパワーをもらえる料理です。
投稿: ゴッドマー | 2010-03-05 05:34
ゴッドマーさん
コメント有り難うございます
今後もよろしくお願いいたします
ふきのとう 近所のがけで 取れます、
投稿: ryuji_s1 | 2010-03-10 08:43
ryuji_s1さん、それは良かった。
是非このパスタで春を満喫してください。そういっている間に、私はもう3回も蕗の薹を頂きましたよ。
野山を走る時は、きっと童心に戻っていますよ!
投稿: ゴッドマー | 2010-03-10 15:42
GWに新潟に行き蕗の薹を採ってきたので、さっそくパスタを作ってみました。
かなりイケますね
あとは全てふき味噌にしました。
今年は雪が多く、まだまだ蕗の薹が採れますね。
投稿: トモ | 2011-05-07 12:28
トモさん、気に入られて良かったです。
こちらは既に蕗の薹は姿を消して長い茎のさきから種が飛んでいます。新潟で取れたのはラッキーでしたね。
投稿: ゴッドマー | 2011-05-08 12:03