大根と手羽中と凍み豆腐の出汁煮:決め手は出汁が下味な煮物:おもひでぽろぽろ「The Rose」
我が家の畑の大根が凍ったまま畑にひっそり植えっぱなしなのは、ここを読んでいる方なら耳にタコの話ですが、その大根の甘さが生きるように、ほんの僅かな酒と醤油、味醂だけの味付けの煮物を作りました。そして、上等の出汁を使ってしっかり下煮をしたので、「出汁煮」と言ってもよいくらいの煮物になりました。
秋山千代さんの話にもありますが、甘い野菜の味付けには砂糖は使わず、できるだけ酒を使うとそれだけで案外いいお味になるとか。私は、この本を読んでから、かなり忠実にそのような味付けを心がけています。そして、半分凍らせた大根は甘味がぐっと増すので、本当にわずかなお酒で充分です。また、醤油は、深い味のある淡口を使うことにしました。
作り方は、手羽中と大根を下茹でするのに時間をかけるので、暇をみて分業にすると効率がよいと思います。味付け調理の時間は15~20分ほどです。
一緒に煮る手羽中は、いつものようにたっぷりの水から弱火で沸騰させないように40分下茹でしてスープも取ります。茹で上がった手羽中は、皮がつるっと剥けてしまいそうなくらいほろほろの状態になっていますから、そっと掬って取り出します。米の研ぎ汁で軽るく下茹でした大根と一緒に出汁だけで5~6分煮て、出汁の味をしっかり入れます。下茹でした材料同士を煮るときは、全て同時に煮始める事が出来るので、出来上がるのも速いです。また、凍み豆腐も加工途中の凍ったままですから、ゆっくり解凍すればそのまま下茹でした状態と同じになりますので、最初から一緒に煮込みます。
脂が抜けてさっぱりとした手羽中と、大根や凍み豆腐に鰹の出汁がしっかり染みこんで、それでいてそれぞれの味の個性がはっきりとするというのも「出汁」の魅力でしょうか。
今回の鰹出汁は、沸騰前の80度くらいのお湯で5分ほど加熱後、そのまま冷まして鰹から旨味を取った出汁で、まろやかな味と香りが特徴です。たっぷり鰹節を使って、美味しい出汁を取ることが煮物の第一歩だと思いました。
材料
- 大根・・500g(2/3本)
- 鶏手羽中・・10本
- 生凍み豆腐・・8cm×8cm4枚
- 水・・2リットル
- 鰹出汁・・300cc
- 淡口醤油・・大さじ2
- 酒・・50cc
- 味醂・・大さじ2
作り方
- 鍋にお湯を沸かし、沸騰前の(80度)お湯にたっぷり花鰹を加え、温度をそのままに保って5分加熱後火からおろして冷ます。
- 大根の皮を剥き、乱切りの要領で包丁を半分ほど入れ、ひねって切り落とす(断面をごつごつさせて表面積を広げ、味のしみ込みをよくする)。
- 米の研ぎ汁で2の大根を茹で、沸騰後火からおろして蓋をして冷ます(余熱で火を通す)。
- 手羽中は洗って2リットルの水から弱中火で茹で始め、80度の温度をキープしながら40分下茹でする。
- 凍み豆腐は室温で解凍し、半部に切ってさらに三角に切る。
- 鍋に1の出汁から300㏄をとり、洗った3の大根と4の手羽中、5の凍み豆腐を一緒に中火で5分ほど煮る。
- 酒を加えてさらにひと煮して味醂を加え、しばらくしてから醤油を加えて、調味料の味を順々に入れて行く。
- 煮汁を残すか煮切るかは、味見をしながら好みの味を作る♪
【お弁当に】
***
昨日、Twitterでこんな一言が目に留まった。
「ツイッタとかでヘロヘロつぶやいててもヒトの孤独みたいのは変わらないから、恋愛も変わらんのかもしれない。」
それを言うなら
「遠い人にクタクタ恋愛すのはもっと孤独かもしれない。」
と、反射的な反応を覚えた。
私が19歳のころだったか、好きなヒトとつきあっていた頃のことを思い出した。三才年上だったその彼は独占欲の強い人で(若かったというのもある)、好きだということよりも束縛のきつさに耐え切れずに別れた時、その別れが私が本当に望んだことだったのかどうなのか、蹉跌の思いと共にある本をむさぼるように読んだことがあって、初めてこの時、「愛」ということを考えたと記憶している。今思うと、「青春の門」ですね、あれは。ひたすら自分のものにしたいと苦しみ悩む時、それが恋愛と思ってしまうのはなんとなく違うかな。いや、それもあるのだけど、そもそも「恋愛」という文字は何コレ?という疑問から入る。
若い頃には理解できなかったことでもあるけど、「相手を思う気持」がどうであれ、現実には手の届かないところにいる自分の思う人が、そのままの姿でいつも同じようにそこにいてくれることが何よりも救い。例えて言うと、諏訪湖から見える山々が毎日同じ場所に見えて、空気や温度、そのときの風が違うということに触れるというだけというような。そういう存在として「恋愛」があるとしたら、きっと苦しみを伴う恋愛は、貪欲な自我ではないのかと思うようになった。
瀬戸内晴海のペンネームで書いた頃の著書は、ファンだからということではなく、その当時読みあさった書籍の一部でしたが、世間で言う人気のあるような人物として慕っているわけではないが、最近、あのおばさんがいう「愛」とか、「恋愛」という言葉が素直に入ってくるのが不思議だ。そのことを極めて行くと、行き着くのはきっと自分を含めた「ヒト」を愛するということになるのか。瀬戸内寂聴と私の年齢差は何年たっても縮まることはないのだけど、私の歳が寂聴さんのあの頃の歳に近づいてきているからか、大昔に読んだ訳の分からない大人の世界の話とは思わなくなった。かといってまた読み直したいとも思わず、それは、過ぎ去った感覚を取り戻したいと思わなくなったから。
苦い思いとして忘れられないのは、独占されたいという私の思いと相手のいう「独占」が違うのではないかと疑問を持ち、その疑問が解けないままの別離の後、あることで、その違いが浮き彫りになった。その時、もっと早くそのことに気づいていたらこれほど傷つかずに済んだのではないかと、相手を疑いもしないで真っ直ぐだった自分の馬鹿さが嫌でたまらなくなったことがある。二度と会うことは無くなった相手だからなのか、私の意気消沈した気持をどうやって平常に戻せたのか、今もどう這い上がったのか覚えていない。
随分前に、その分かれた彼と私の共通の友人と偶然会うことがあって、昔話といえば当然その当時の私と分かれた彼のことだった。初っ端に「あいつはその後結婚して二度離婚したよ」というのである。然もありなんと、友人も見抜いていた。男の目から見ても「あれじゃいかんだろう」と、サラッと話したその彼の一言が、大昔に味わった記憶の中での「痛手」を癒してくれた。別に他人の不幸を喜ぶという意味ではない。その時点で傷いついていたわけでもないのに、何故か昔の「私」をその時点まで連れ戻して癒してくれた。だからって感動があったわけでもなくその一連の話は、「昔話」に総括された大きな袋の中の事なのだ。
何故、昔味わった痛手は痛手としてそのまま残るのか。何かの拍子に、その痛い感覚だけが蘇るということがあって、いつか機会があったらこのことに「けり」をつけたいと思ってきた。「遠い昔の話になりにけり」の「けり」をつけるわけだ。
「痛み」として置いておく事は、それ以上の痛みを受けないための私だけの「砦」だったのかと思う。それは、幼稚な思考で、私がこの歳になっても成長していない部分だと気づいた。
***
前段の部分を昨日の午後に書いて置いてよかった。先に極東ブログを読んでいたら書かなかった気がする。というか、なんとなく納得して書かなかったかもしれない。でも、湧き上がる気持ちを書くと書かないでは、書いた方が、その事と引換のように何がが自分に残る。
後で言うのも気が引けるのですが、都はるみが日本語でカバーしている「The Rose」という曲の訳詩は、私にもしっくり来ていませんでした。直訳的であるのに意味が分からないというチグハグな感覚でしたが、今回掘り起こしてもらって、歌とその背景、詩人の感情がぴったり重なりました。感謝します。「極東ブログ」➠「愛は花、君はその種子」と「The Rose」
堅い殻に包まれた種子がいつか潤いを得て花を咲かせるように、人の心とは、いつかほぐれる時がくるものです。種に芽を出すのを教えてあげなくても、花が咲く時を知って自ら花を咲かせるのと同じように。
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コメント
godmotherさん、おはようございます、
相手を「支配する」ことが愛だと思っている人と一緒にいるのは大変苦痛ですよね。しかも、そういう人は自分が相手を支配することが正当であることを相手の身体にたたき込むことから始めますから、自分の価値観から破壊されてしまいがちです。多分、解放されても自由であることが罪悪であるかのように感じてしまう奴隷のような精神状態になってしまうのでしょう。
人を愛するとは、その人が成長するにはどうしたらいいか、いや、ただ素直に相手の幸せを祈れることなのだと私は思います。ただ愛おしいと思う気持ちを、愛の種としたいです。私はひといちばい自分の相手への想いを表すのが下手です。それでも芝居する愛の悪にだけは陥りたくありません。
ありがとうございます。
あ、ちなみに「シッダールタ」を読みました。これもまた愛について語られた本だと思いました。
投稿: ひでき | 2010-02-06 10:23
ひできさん、ご経験がおありのようで、、、。
シッダールタって、文学的なテクニックとかあまり感じさせない率直な書き方で、読みやすいのですが、言葉の含みからなかなか読ませる作品ですね。何ど読んでも深みにはまります。
投稿: ゴッドマー | 2010-02-06 12:52
godmotherさん、おはようございます、
訂正!
> 私はひといちばい自分の相手への想いを表すのが下手です。それでも芝居する愛の悪にだけは陥りたくありません。
↓
> 私は人一倍相手への想いを表現するのが下手です。それでも支配する愛の悪にだけは陥りたくありません。
それはさておき、やっぱりヘッセはすでにお読みなのですね。私なりの感想です。
http://d.hatena.ne.jp/hihi01/20100202/1265119411
投稿: ひでき | 2010-02-07 01:14
ひできさん、了解です。
因みに私の感想はこちら☛ http://godmothers.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-c0bd.html
訳者が二人いるので、両方読んでいます。
投稿: ゴッドマー | 2010-02-07 06:37