2010-01-08

「たった2つ!の生地で作れるパン」で、もっと速く焼く「低温圧力長時間発酵パン」:朝焼きのパンへの道のり:ピストール

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 ドライイーストによる「低温圧力長時間発酵」(参照)を知ってからまだ日が浅いのですが、いとも容易くパンが焼けたことは言うまでもなく、パンが美味しいことと、私の誤解や思い込みが分かったのは収穫でした。

たった2つ!の生地で作れるパン―発酵は冷蔵庫におまかせ

 「天然酵母だから美味しい。イースト菌のパンは、旨味や風味がないパン」と言い切るのは間違いで、言葉を補足すると、イースト菌は発酵が速い為、小麦粉の熟成が追いつかないのがパンの味に深い関係があるという事です。天然酵母もイースト菌も生地の中で発酵して、発生したガスを生地に含ませる役目をしますが、味への関与がどうなのかがまだわかりません。「たった2つ!の生地で作れるパン」では、

発酵でいちばん大事なことは時間の早さではなく、いかに「熟成したいい生地にする」かです。

と、サラッと書かれてあります。ただ、発酵という現象は簡単に言うと「腐敗」ですから、本書でいうところの小麦粉の「熟成」とは、「腐敗」に近づくことではないのかとすると、パンがいい匂いに焼けるように生地を腐らせるというのも風味には関係するのかと思います。(変な言い方ですが、腐敗にも色々匂いがあるので。)
 これだけでも嬉しい情報を知ったと喜んだのですが、「 焼きが簡単にできればもっと普及してよさそうな技法(オーブンを使わず、また二次発酵に時間がかからない」という意見を聞いて、二次発酵に改良を加えれば、つまり、成形から焼き上げまでがもっと短時間でできれば、目標に近づくと思えました。
 電子レンジでパンを焼くというのは、私にとっては飛躍的ですが(発酵を早める手段としては可能「45分で電子レンジパン」村上 祥子)、温度調節付きのオーブントースターなら実現可能かもしれません。2~3個だけ焼きたてのパンが朝食で食べられるという理想のスタイルです。余熱も短時間でできるので、オーブントースターというのはかなり有力な候補だと思います。
 一次発酵後、生地から使用する分だけ切り出し、残りは冷蔵庫でさらに2~3日低温圧力発酵を継続させられるので、捏ねる生地の量を最初から配慮する必要もありません。

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 早速、色々実験を始めてみているところですが、二次発酵にかかる時間の短縮は、ぬるま湯を使うのが良案だと思いました。
 方法は、一次発酵が終了したあとにガスを抜いて(袋の上から押さえて)平ベったくなった袋の口をもう一度紐でしっかり縛り直し、40度のぬるま湯に20分浸け、生地の温度を上げました。途中、お湯がぬるくなったので、少し熱いお湯を足して、最終的には生地の温度は23度まで上げてみました。

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 温度を強制的に上げない生地との比較では、焼き上がりまで二倍速の時間差でした。今回は室温21度、生地の温度23度でしたが、イーストの発酵が盛んになる30度位まで温度を上げると、もっと速く成形発酵(二次発酵)が進むと思います。
 この温度を上げることに躊躇したのは、お湯の温度が35度以上になると、国産小麦粉の場合、グルテンが破壊されてしまうので膨らまないパンになってしまうのです。お湯の温度と生地の温度差の関係で、最短で最高の温度が見つかれば、もっと短縮出来るかもしれません。

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 ここで、オーブントースターを使うか使わないかという問題は、ちょっと置きました。機種や庫内の温度のムラなど、様々な要素の検証が必要になるため、家庭環境で実験するのは些か無理もあると思ったのですが、予想では可能だと思っています。但し、熱源がパン生地に大変近いので焦げやすいと思います。ですから、いきなり高温で焼くのではなく中温から温度を次第に上げて行くような方法だと出来ると思います。(いつかやってみましょう)

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 以上のように簡単に感想を書きましたが、生地を温め始めてから焼き上がるまでの所要時間は一時間半で、12個のピストールができました。二次発酵は40分くらいでしたから、イースト発酵としては順当だと思います。パンの味はもちろんグッド!旨みのある大変美味しいパンが焼けましたよ。

材料(生地)

  • 国産強力粉・・400g
  • ドライイースト・・4g
  • 塩・・4g

その他の材料

  • 人肌のぬるま湯・・240㏄
  • レジ袋・・1枚(本書には三重とありますが、厚手のを1枚使用)
  • 紐・・20㎝×2本
  • 上新粉・・大さじ2(成形時に生地の表面にまぶす)

作り方(一次発酵まで)

  1. 材料を混ぜてしばらく捏ね、表面が滑らかになったらレジ袋の底を紐で結び、丸めた生地を入れる。
  2. きっちりと上部を紐で結んで冷蔵庫に12時間以上置いて一次発酵させる。

ここまでは「角パン三種」と同じレシピです(レシピ☛

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コメント

先日からの「たった2つの!」シリーズ。
これは私の何かが変わる!と思うほどの魔力があるエントリーです。
只今少々ゴタゴタしており、年末から斜め読みばかりですが、(今回のエントリーが実体験を伴っていることもあり)よく噛締めて読み、試してみたいと思います。

起業ですか?
この言葉を聞くと胡散臭く感じることもあるのですが、ゴッドマーさんに言われると考えてみたりみなかったり(笑。

投稿: ふ゛り | 2010-01-08 08:43

ぶりさん、ええ、何かが変わると思いますよ。パンを焼いたことのない方が最初に出会う方法としては手ぬるさが今ひとつですが。と、苦労を重ねて天然酵母発酵を10年近く積み上げてきた苦労が「泡」になるとは思いませんが、かなりヤヴァイと痛感氏ています。

起業で、ぶりさん何か隠し駒でもお持ち?ドキッとしますが。

投稿: ゴッドマー | 2010-01-08 10:15

はじめまして。記事の量と質が素晴らしいので良く利用させていただいています。この記事を元にして低温圧力発酵パンを作ってみましたが、まだまだ練習が必要です。

投稿: 草食旦那 | 2010-03-06 15:41

草食旦那さん、こんにちは。
質どころの話ではなく、量の方も友人からは長文だと笑われています。久々にお褒めをいただき嬉しく思います。

リンク先のエントリーを拝見しました。反省点で言及されている通り、水が多いと扱いが悪く、成形の時点で引っ張って張りを出す手法が使えないと思います。よって、見た目ですが、生地の弾力の無さをを見受けます。なんとなく形にはなっているけれど、おとなしいパンというか。はちきれそうな感じに焼きあがるときは、内側の生地も繊維が縦伸びになるので(窯伸びがよいという意味)元気なパンの印象になります。どちらも間違えではないですが、弾力の点では後者です。つまり、こういっては何ですが、画像のようなパンが理想です。このようにいつも焼ける人はプロなので、そのへんは特に問題?ありませんが。
チャレンジャーですね☆

投稿: ゴッドマー | 2010-03-06 16:03

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