2010-01-18

豚ロースのピッカータ:厚手の肉を上手に焼くコツ:「汝の隣人を愛せよ」が通じない社会に思う

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 豚カツ用の厚手のロースが買い置きにあって、順当なら豚カツへ回るのですが、このところ油の多い料理が続くので揚げ物以外で考えたのがポークピッカータです。
 この料理をすることで気を置いた方がよいことは、衣の卵と肉は、熱の入り方が違うという事です。肉が薄ければそれなりに卵の加熱と変りなく割と焼きやすいのですが、肉が厚くなるほど火が通るまで時間がかかりますので、チーズの入った卵の衣を焦げやすくなります。その結果、ピッカータは、薄いスライスで作るものだと思い込んでいました。
 さて、手持ちに厚手の肉しかない。しかも揚げ物は勘弁な今日は、今まで試さなかった厚手の肉で如何にポークピッカータを焦がさないで美味しく焼くかの実験です。
 直ぐに気を置くのが火加減だということは言うまでもないです。卵の衣が早く焼けると、中を蒸し焼くのに丁度よいとは思うのですが、そのために火が強いと、肉に火が通る前に卵が焦げ付いてしまいます。で、今回は、卵の衣と肉を別物と考えずに、一体のものとして考えてみたら、低温で片面ずつじっくり焼くことで肉の中心に肉汁を閉じ込めるという「ジューシーライン」(➠godmotherのHint&Skill)を意識した、低温長時間加熱で試しました。もちろん蓋はしないで、眺めながら弱火で焼く方法です。

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 今までにこんなにジューシーで柔らかいロースの厚焼きはできたことがありません(って、よく言っているような)。何故この方法を思い付かなかったと悔やまれます。肉の断面を見れば一目瞭然です。
 兎に角、注意するのは火加減です。今回使用したのはフッ素加工の28cmのフライパンで、最初にバターを置いて点火し、バターが溶けてフライパンの表面で滑り出したら肉を並べていきます。肉片は、一枚のロースを四等分に小さく切りましたので、この内の8枚を隙間を作って並べました。裏返す目安は、肉の表面に赤い色の肉汁が滲み出て、水溜りのようにこんもりと盛り上がったら裏返します。同時に周囲P1070002 の肉の色も変わって、横からみると色の変化が確認できます。裏返してからの焼き時間は、最初の面を焼く半分くらいですが、不安な時は肉に火が通りにく中央部分に包丁を入れて確認するとよいです。焼けた肉を引き上げ、その隙間に新たに肉を足して合理的に焼きます。卵が残るようならば、最後に肉の表面にかけて残さないようにします。
 このピッカータには低温圧力長時間発酵のピストールと一緒に頂きました(参考☛
参考
豚もも肉(6mmスライス)のピッカータ➠レシピ

材料

  • 豚ロース肉(4枚)・・400g(周囲の脂を少し落した)
  • 塩・胡椒・・適宜
  • 小麦粉・・大さじ1.5
  • バター・・20g
  • レモン・・適宜
  • 付け合せ野菜・・キャベツの千切り・スナップエンドウ・蕪の米のとぎ汁茹で

卵衣

  • 生卵・・1個半~2個
  • 粉チーズ・・大さじ2
  • パセリのみじん切り・・大さじ1

作り方

  1. 蕪は米のとぎ汁で茹で、沸騰してから5分茹でたら蓋をして余熱で柔らかくする(放置後焼く15分で完了)。
  2. 肉の周囲の脂身を少し削り取る。
  3. キャベツを千切りにし、水に浸して笊に上げて水を切って置く。
  4. スナップエンドウの筋を取り、塩茹でして冷ましておく。
  5. 脂身の境目や肉の中にある筋が切れるように包丁の先端でトントン叩く。または竹串で手製の肉たたきを作るのもあり(作り方☛)
  6. 肉を四等分にし塩・胡椒し、小麦粉をまぶして余分な粉を叩く。
  7. バットに卵を割りほぐしたところへ粉チーズと刻みパセリを加えてよく混ぜ合せる。
  8. 4の卵液に3の肉を浸して両面に卵液を絡める。
  9. フライパンにバターを置いて弱中火にかけ、バターを溶け始めたら8の肉を間隔を開けて並べる。
  10. 付け合せの野菜を皿に盛り付ける。
  11. 肉の表面から赤い肉汁がにじみ出て、少し盛り上がった溜になったら裏返す(7~8分でゆっくり火が通るようにできるだけ弱火で、焼ける音はしない)。
  12. 肉の中央までにが通ったら(包丁で切ってチェックあり)、さらに盛り付け、間隙間に8の残りの肉を追加し、それぞれの肉の焼け具合を見ながら全部焼く。
  13. レモンをスライスしてレモン汁をかけて召し上がれ♪

***
 子どもの食べ物に対する好き嫌いの話というと、もうそのことは通り過ぎたかに思う年齢の子ども達です。だって、末の息子が今年大学生ですからね。でも、このブログでも時々その息子の好き嫌いに、中学三年くらいまでは取り組んでいた描写が残っています。また、家に泊まりにくる他所のお子様たちも、と言っても20歳過ぎの方も含めて、好き嫌いを気にして料理を作ることはしばしばあります。
 ここで何が気になるかといいますと、昨日大学院生の知っている人が、Twitterで子どもの好き嫌いに対する親の在り方のような内容を話ていて、それは、親の身勝手な食べさせ方のような話でした。ある程度取り組んでいる子どもが、どうしても食べられないという時に「好き嫌いは絶対ダメのように教義みたいになっているのはダメ」というような内容でした。
 この話にまともにレスするといろいろ意見というのは広がりを見せるのですが、私が関心を寄せたのは、今時の親御さんのどれくらいの人がこのような「躾」に関して熱心に取り組んでいるのか、という疑問です。
 私の世代は小うるさく言われた最後の時代かもしれません。理由は、親が戦争を挟んで食べ物に苦労してきているということと、今のように食品加工技術のなさや品種改良などの研究が進んでいなかった時代なので、兎に角食べ物を粗末にしないというのが基本でした。その影響で我が子の子育ては割りと順調括弧疑問で、食への拘りから躾も確立されていたと思います。ところが、平成四年生まれの末の息子辺りから、急に食に対する親の考えも変化してしていきていると戸惑った記憶が何度もあります。つまり、私の当たり前と思ってきた食への考えとは価値観の相当違う新人類的な親の出現に遭遇したのです。
 例えば、残った食べ物を平気で捨てる。温めるだけの冷凍や冷蔵、チルドなどの食品を買う比率が大きい。コンビニの食品で済ませる。料理をしない。などでしょうか。これらの情報は全て、同級生のお子さんのお弁当や、持ち寄りで見かけた食品です。当時はかなり戸惑いました。まずは批判的な目から入り、それを元に議論することや意見することはタブーだと知り、最後は人は人、私は私という個人主義にならざるを得ない諦め的な境地に立っていました。「汝の隣人を愛せよ」の精神が通じない世代と共に子育てをするのはしんどかったです。意見を交わすことがそもそも困難ですし、その交流意識の元にあるものは、「同じ穴の狢(むじな)」としての親愛の情でしかないないのですが、それがまず通じないのです。微妙な切り替わりの世代なので、世代感覚の違う異年齢が混在している狭い小さな社会ですが、これが日本の現状なのです。
 当時は、目の前の子どもをどう育てるのか、子どもの養育方針についての考えを確立したくても、色々なことに影響されて自分自身に自信はないくせに焦る気持や孤独を味わいながら、ひたすら子どもの姿を見ては我が振り直すというかんじです。
 話は長くなりますが、このようにギャップを感じる対象の親の特徴からも、親のやることとは思えない身勝手な人達も多いので、いろいろな事件も起こっているようです。それは一部でしかないのでしょうけど、親が子どもを叱るというのも、ちょっと違うなと思って見ていたりします。本人は躾けているつもりでも実際は暴力や押し付けだったりするのが駄目だというのが、昨夜の院生の言っているレベルの話なのかと思います。見ているのは今の親の子育てなのでしょう。そこを理屈で考えなくてはならないというのがまた、なんとも寂しい思いがします。
 前に手作りの家庭料理で育った子どもは、ある意味不幸なことではないかという思いを書いたことがあります(参照☛)。こんなこと今の人たちには殆ど受け入れられない戯言にしか聞こえないのかもしれません。でも、これこそが「汝の隣人を愛せよ」が通じなくなる時代だという示唆だったのです。ひたすら人を思っている自分自身であるということしか確実で確かなことはなく、人はどう感じどうしたいのかということは一切係わり合いの中から見出すことが出来ないのかなとも思います。
 食の好き嫌いの話が、世代間の違いの中での人間同士の生かし合いの話に飛びましたが、好き嫌いという問題は、それが生み出される家庭の問題でもあるので、人の一生という所から見ると、家庭単位だけでは解決しにくい問題だと思います。今という時代を作る社会の在り方から紐解くことにもなるのでしょうか。とても難しい問題です。

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コメント

栄養失調による性格の歪みが現代にはあるようですよ。親子ともども貧血の家庭が多いようです。それから、世を憂うようになるのも貧血でしょうね。貧血としては、みな共通ではあるのですが、人をバラバラにします。

さて、キリスト教では、ワインを飲んだり料理に使うことを奨励しています。お酒の中で、一番、鉄分があります。隣人を愛することができるのは、ワインにあるのかもしれません。

あと、鉄分豊富な料理は、翌日に残すと、たいてい黒くなって見栄えが悪くなるものです。こうならない料理が現代日本にいかに多いことでしょう。そうそう、ご飯も鉄分が多かったり炊飯時に鉄分を吸収するらしいのですが、冷や飯になっても最近の米はほとどん色が変わりませんよね。大問題だと思うのですが。

投稿: 安藤 | 2010-01-18 17:17

安藤さん、栄養と人の心の問題は専門家の研究の話で聴くことがあります。鉄分も、私はそのつながりは存じませんが、伝え聞く話として心にとどめておきます。また、何かの機会にそのことに触れる話などありましたら参考に考えていきたいと思います。

健康が一番といいますが、食は大切ですから微力ながらここでは料理で伝え続けたいと考えます。

投稿: ゴッドマー | 2010-01-18 19:00

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