2010-01-11

鯛の両褄折り焼き:何をもらえるかは、受けとめ方次第

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 なんだか、いつもの魚屋さんは大判振舞したのか、成人の日に因んでいるのか、鯛がずらりと店頭に並んでいました。我が家には該当者はいませんが、あの鯛を見たら他の魚に目が行きません。ちょっと大きかったので、三枚に卸してもらい、頭や骨などのアラも持ち帰りました。
 アラは言わずもがな、牛蒡と一緒に煮つけて「鯛牛蒡」として一品。卸した身の二枚は、血合いのところで縦半分に切り分けて4本の柵にしました。この時点で、背側の厚みのある身は皮をつけたまま湯引きにしてお刺身にする、というのは決まっていたのですが、腹側の方は内蔵を包み込んでいるため脂が多く、骨もそぎ取るので身が薄くなります。さて、何を作ろうか。相当考えました。あの気持ちだけなのですが、人間が古いせいか、鯛を料理するのは結構力が入ります。いい意味の緊張で、鯛はおめでたい時にこそ頂くお魚というのは簡単に安価に入手できても関係ないのです。鯛は鯛なのです。鯛の品格を落とすことなく、それに相応しい料理にするという気持ちが輝くのです。

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 そこで思い出したのが、両端を内側に折りたたんで串を刺て塩焼きにする「両褄折り焼き」です。この方法は、もう何度も色々な魚で試しているのでどのように出来上がるかは想像の範囲です。
 くどいようですが、この焼き方は細長い魚の切り身を塩焼きにするための方法で、「片妻折り焼き」の片方だけを折り込んだ焼き方と同様に、今までにもここで色々と紹介してきています。カマス(レシピ☛)やサワラ(レシピ☛)の両褄折り焼きやホッケ(レシピ☛)、アイナメ(レシピ☛)などで試してきましたが、どの魚もふっくらと美味しく変身します。
 「褄」という漢字は着物の「端」のことで、魚の両端を内側に折り込む事を着物に例えた、粋な日本語の言い回しですね。

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 魚の皮で周囲を包み込むようになるので、内側の身が蒸し焼き状態になるので、もっちりとした食感は感動的です。おまけに水分も十分残るので、塩焼きなのに魚の身から汁が滴るという感じに焼けます。そして、てかてかの艶がいかにも美味しそうでしょ。塩焼きなのに照りを付けるのです。作り置きの割り下(レシピ☛)を焼き上がりに刷毛で塗り、1分火に入れてもう一度塗って仕上げます。既に塩が効いているのでお醤油の甘辛さが表面についていると香ばしく、旨味が深まります。
 ここだけの話。3月のお雛祭りまで色々なお祝い事が途切れるので、これから先はしばらく鯛などは格安になると思います。ぅっししですね。
 ちょうど今日は成人の日でもありますし、鯛づくしで若者の門出をお祝いします。

材料

  • 鯛・・腹側の柵2本
  • 塩・・適宜
  • 割り下・・適宜(レシピ☛
  • 刷毛
  • 金串・・2本

作り方

  1. 鯛を三枚に卸し、血合いの部分で縦にそれぞれ二枚に分け、両面に軽く塩をふって10分ほど置く。
  2. 表面ににじみ出た水分をキッチンペーパーで吸い取り、両端を内側に折り曲げたら、金串を手前から向こう側に突き刺す。
  3. グリルでやや弱めの強火で表にする方を先に焼き、中央まで火が通ったら裏返して完全に中まで火を通し、面の面に戻して焼き色を付ける。
  4. 刷毛で割り下を塗り、1分焼いて照りをつけ、もう一度塗ってから金串を引き抜く。
  5. 皿に盛りつけてでき上がり♪

***

 普段の生活には少し贅沢かなというような食材の時、私の料理の楽しみ方として、緊張感の中で集中することを減り張りとしています。
  「減り張り」について少し書きますと、例えば今日のエントリーのような鯛の時です。鯛を目前にしたら、まず、出刃包丁と牛刀(刺身包丁の代わり)をよく研ぎます。そして、調理台の上の不要な物を片付けます。これだけでもうびしっと気 が引き締まります。料理が終わったら、まな板にサンドペーパーをかけて、木目の間の薄汚れを洗い流します。まな板は木曽の木工店で手作りした檜の合わせ板で、丸型で、も う既に10年くらい使っていますが、次回使う時の為に手入れをします。
 これだけで、鯛を頂く価値はあると思いませんか。私は装飾品の類はあまり欲しくないですけど、料理の道具は気に入ったものを買いますので、皆愛着があるのですが、品格のある食材の時は特に手入れをすると気持ちがよいです。
 鯛は、今ではいつでも入手できますが、養殖技術のなかった昔は、おめでたい席なら必ず出されたという訳でもなく、希少で、高級でもあったのです。最近、このような感覚を味わったのはハタ(ミーバイ)を頂いた時でした。魚に対して何か思い入れがあるのですけど、それが心地よい緊張として走るのです。たまたま私にそのような魚を頂くチャンスが廻ってきた、ということに感謝する嬉しい気持ちなので、ぞんざいな扱いはできないのです。
 ね、本当にこんなことを思っているので、気持ちのままを書くと、時代錯誤の話のようになってしまいますね。きっとすごくそういう部分が古いのだと思います。
 食材の持つ豊かさは、人をいろいろな気持ちにさせてくれます。食べるということは、本当に生きることの基本なのだということをつくづく思います。

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コメント

毎度美しい仕上がりに関心です。
願わくば2枚目のお写真、ちょっと木の芽や熊笹の葉でも添えれば上出来な焼き物が更に引き立ちますね。

などと好き勝手に言いましたが、日常の食卓をそこまで演出するなんて、なかなか難しいですよね。

アイナメで思い出しました。
以前酢豚の豚をアイナメに置き換えた料理をいただいたことがあります。
割と胴が丸い魚ですから肉厚があり、豚肉同様一度下揚げされたアイナメの身の存在感がしっかりとあり、美味しかった覚えがあります。

投稿: ふ゛り | 2010-01-11 09:59

ぶりさん、鋭いツッコミ、あんがと。おっしぃですね。奥の手に手製のガリ君が添えてあるのですが、あまりにも演出がお粗末なので、アングルに入れるのを忘れたもようです。

アイナメも高級魚ですね。鱈にも似ていますが、あの食感は他に例えるのが難しいです。アイナメは唐揚げにしたのをタレをつけて食べますけど、酢豚もよろしいですね。最近は、大きくなってきているので、今度気を置いて、作ってみます。

投稿: ゴッドマー | 2010-01-11 10:23

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