こんにゃくの刺身:普通の生産物を誰もが食べられる時代は到来するのか
友人の酒蔵・真澄酒造で、11月21日売り出される新酒、吟醸「あらばしり」は、日本酒のヌーボー。題して、Suwa-Masumi Noubeauと私が勝手に名づけています。この新酒の発売イベントにお誘いを受けて行って参りました。お酒はそっちのけで、新蕎麦粉で作ったガレットや玄米100%の柔らかいお餅などの生産者から出店があり、そこで試食をたんと頂き、15分ほどで散財してきました。鴨が葱を背負ってというのは、正にこのことです。
30歳代のご夫婦やもっと若い乙女達が、長野県は安曇野地方で育てた農産物を元に、地産地消としての製品を展開していました。長野県の「真澄」と言えば知らない人はいないブランド名だと思いますが、その真澄さんが、このような駆け出しの無名生産者を応援しているのは、企業姿勢がうかがえるところでした。私もかげながら応援できればと思います。
早速、買い求めたこんにゃくをお刺身でいただきました。お刺身の場合は、22日までに消費するよう書いてあり、こんにゃくのお刺身に消費期限があったとは初耳でした。どれほど美味しいのかと封を切ると、こんにゃく独特の匂いが全くしません。そして、ぷるんぷるんの状態は例えようもないほどで、その透明感に絶句。包丁で薄くスライスするとヒタッと張り付くようなかんじです。説明が難しいのですが、兎に角、わくわくしながら頂いてみると、食感はコシの強いゼリーのようで、グミのような弾力はなく、ジェリービーンズのような粘りがややあって、水のように無味無臭です。だったら食う意味ねぇーじゃんとか、そこの若い人達言わないように。絶品です!世の中に本物に出会うことが少なくなった昨今で、このこんにゃくにここで出会えて、普通に作るこんにゃくがこんな味なのだと知ったことが嬉しいです。そして、マジ美味しい、この普通が。講釈つきの秀逸ではなく、普通が美味しいとはこのことです。
実は、私はこんにゃくの素朴な手作り品を食べたことが無く、しかも今まで食べたこんにゃくの刺身に感動などした事がありません。ですから、わざわざこんにゃくが買いたいというほどでもなかったのですが、最初に友人から声をかけてもらっていたので、食べてみる気になっただけだったのです。しかし、今回は驚きました。
大豆から手作りした豆腐や、もち米を蒸して杵でついたお餅の普通の美味しさなどに出会えるのは嬉しいけれど、その美味しさに味を締めてしまうのは、ある意味不幸かもしれません。再び食べたいと思っても、そうそう食べられるものではありませんからね。
現に、近所の普通の豆腐屋さんも、店主が高齢のため店じまいしてしまいましたし、後継者が育たない理由に、作業効率の悪い昔ながらの製法では単価的に他の工場生産品と太刀打ちできないからでしょう。
でも、日本の高度成長期と今は違います。少子化問題を抱え、生産畑も些か飽和状態です。若い人達は最近、そんな都会の暮らしからスローライフを求めて田舎の生活に何かを見出し始めている気配を感じます。
今日は、レシピというよりは、安曇野の美味しいこんにゃくの話で終わりですが、「安曇野」て、格好良い名前ですね!その字からして、私は、長野県の地名で安曇野というのが大好きなのです。それで贔屓目に言っているのではないのですが、訪れたことのない方、信州を旅をするなら安曇野です。里山の風景、川の水の美味しいところですよ(参照➠) 。
因みに市販であるかどうか分かりませんが、発売元を見つけたのでリンクを貼っておきます。➠玄の里
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