2009-10-27

ハタ(ミーバイ)の煮つけ:念願は叶えないのが大人の恋

Mibai

 遂にチャンスがやってきました。やっとチャンスが到来したというのはその通りで、長い間この魚を食べてみたくて、長野の田舎の魚屋さんでまさかにお出ましするとは期待もしていませんでしたが、一応、陳列を見渡す時に必ずチェックしていまし た。どこで釣れたのか聞いてくるのを忘れたのですが、名札の「ハタ」を見た時は、その姿に釘付けになったまましばらく動きませんでした。こ、こ、これがミー バイっ!
 「ミーバイはうまい魚」だと散々聞かされて(参照☛)、食べてないなんて残念だと三回同じ人に同じ魚で言われ、それってどれほどの魚よ、と本当に食べてみたかった魚です。この感動をその人に知らせるよりも、兎に角食べてからだと心を落ち着かせて一尾購入。

Mibai_2

 ハタ(ミーバイ)という魚にはいくつかの種類はあるようです(参照☛)。沖縄や九州沖など、熱帯で釣れる魚で、なんとなくどの種類も愛嬌のある間抜け面という感じです。美味しい魚というのは大体こんな風に不恰好が多いのも確かです。表面がぬるぬるしているのは、サンゴ礁などで身のこなしをよくするためなのでしょうか、鱗も細かくて、あるかないかよく見分 けがつかない感じです。
 包丁が滑って下ごしらえしにくいからと言うので、丸ごと煮つけるように処理してもらいました。と言っても鱗を卸して、腹部に少し包丁を入れて内蔵とエラを取り出してもらっただけです。刺身も美味しいと聞いていましたが、残念です。今回のは全長が30cm程で、大きな頭を落としてしまうと残る身はわずかになってしまうので煮付けにしました。せっかくなので、豪快に丸ごとどーんと煮付けて、箸でそれこそ隈なく突いていただこうという訳です。
 この魚がどんなに美味しいかを表現するというのは難しいです。白身の魚に多いほろほろとかふっくらしたという表現ではちっと違 う感じ。身が締まっていてコシがあるにもかかわらず柔らかい食感で、甘味のあるのが特徴的です。これがお刺身だったらと想像すると、もはや気持ちはそっちの方へと作らなかったことへの未練が誘います。

Mibai3

 うーん、これは絶品です。ここでは入手も困難な魚であると共に、お値段もちょっと上のランクです。美味しい魚なら値段を気になしないという前提なら、いくらでも食べたい魚の筆頭です。

材料

  • ミーバイ(ハタ)・・一尾(30cm)
  • 酒・・300cc
  • 醤油・・50cc
  • 味醂・・50cc
  • 生姜・・1片
  • 長葱・・1本
  • 竹の皮・・1枚

作り方

  1. 鱗を落として内蔵とエラを取り出し、皮目に隠し包丁を入れる。
  2. 竹の皮を水に浸して柔らかくし、水気を拭いてミーバイを載せる。
  3. 鍋に調味料と生姜のスライスを入れて中火にかけ、沸騰したら2のミーバイをそっと入れ、そのまま落とし蓋をして煮る。
  4. 途中何度か煮汁を回しかけ、全体で15分くらい煮たら竹の皮ごと取り出す。
  5. 残った煮汁で大きめに切って隠し包丁を入れた葱を柔らかく煮て、残った煮汁を少量回しかける♪

※ 残った煮汁は薩摩揚げや野菜を一緒に煮ると、とても美味しいです。

***
 ところが、食べてみてちょっと寂しさを感じました。
 「念願」を叶えてしまうよりは、叶わない思いがどこかにいつも存在していて、その瞬間を待ち続けてい るというのが大人の恋のようで、私は好きです。二つのうち一つは叶えられても、欲張って二つとも欲しくなると、それは「浦島太郎」や「すずめのお宿」のよ うに、罰当たりなことなのだと昔の人は教えてくれました。物への贅沢に対する戒めをそのように教わってきた私なので、若い世代の人達には理解されにくい価値観があります。自分を戒めるという意味ではなく、我慢するということは心豊かなことなのだ、と認識できる価値観が備わったということです。
 存分に満足し て思い残すことが無くなるということは、一見よいことのようですが、叶わない夢や希望があるということは、心の贅沢として豊かだということです。 「アカ ジンミーバイ」は、私の心にそういう意味を残してくれた魚です。

|

コメント

seoツールで検索してみたら、この記事にたどり着きました。はてなにブックマークしようとしましたが失敗しました。
とてもうれしい記事なので、コメント送ります。
ミーバイは小笠原のものも品質良いです。
1週間かけて送ってきたものが、生き生きとしていて品質良かったです。お勧めします。
ミーバイは刺身も非常に美味しいです。お試しを
写真に写っているものはおそらく和名ひとみハタで、沖縄名称アカミーバイと思います。体長25センチ止まりで小型の種ですが、味覚は最上級です。
類似する種にアカジンミーバイがあり和名スジアラ沖縄では最上級レベルです。大きさはメーターオーバーもあり、通常3から5キロクラス。沖縄で旬に入るのは9月後半ごろからです。
沖縄ではよほどのお祝いがないと家庭では使用しません。
料理のレシピ時々参照に伺います。
それではまた!
沖縄の田舎で皆に笑われている研究者より

投稿: arakaki | 2010-04-07 19:41

沖縄のアラカキともうします。
コメント送りましたが、何かエラーが生じたみたいなので、テスト送信いたします
私は沖縄南部東海岸でマグロの超音波検査の研究を行っている馬鹿な研究者です。ちなみに、写真に写っているミーバイは和名ひとみハタで非常に美味しい種類です。生臭さは軽微なので、日本酒は少なめが本来の風味が生きてくると思います。調理はプロですね、時々レシピの参考にさせていただきます。

投稿: arakaki | 2010-04-07 19:52

arakakiさん、コメントありがとうございます。ミーバイの美味しさを私に教えてくれた方は、8年ほど沖縄に住んだことのある方で、多分沖縄での生活で魚が美味しかった印象が強いのだと思います。
 
私がこのミーバイと目が合った時は、値段も見ずに即座に買い求めましたが、長野県という海のない土地柄か大変高価でした。でも、一生に一度は食べておくものだと思いました。次に機会が訪れたら、こんどこそ是非刺身でいたくつもりです。

まぐろの研究、頑張ってください!

投稿: ゴッドマー | 2010-04-08 03:34

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/516876/46594420

この記事へのトラックバック一覧です: ハタ(ミーバイ)の煮つけ:念願は叶えないのが大人の恋: