2009-08-18

ピーマンのファルシ:騙さずに嫌いなものを食べさせる方法:本に出会うということ

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 盛夏がいまひとつだった分、残暑でそれらしさの挽回でしょうか、日中はひどく強い日差しが戻ってきました。朝夕は大変涼しく、日中の暑さを凌ぐのも夕涼みまでだからと言い聞かせています。
 夏場はよほどの用事がない限り東京へは行きませんし、もちろん実家へも帰りませんが、いつ行っても東京は暑いと、早く退散したがる私に娘が「その気持ち今回よくわかった」と話していました。あのクーラー嫌いな娘が、東京へ戻ったら電気屋さんへ直行かもしれないとつぶやいていました。信州の夏には救われます。
 さて、昔を思い出して作ったピーマンのファルシです。ピーマン嫌いな子どもから拒否されるお料理の筆頭ではないかしらと思います。

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 東京オリンピックの年、夏の食卓でこの料理に激しく拒否反応を呈した私に母は、何と言ったと思います?「ピーマンが食べられな人は、オリンピックは出られませんよ。」と言ったのです。これは私のツボに覿面(てきめん)な言葉だったので、母もずるい人でした。当時水泳で学校の先生から相当な期待をされていた私でしたから、オリンピックに夢を馳せて水泳の選手になりたいと密かに思っていたのは、傍目(はため)にはバレバレだったのでしょう。だから、苦手なことを克服したいという願望が心の奥に潜在していたのです。お陰で、ピーマン嫌いはいつの間にかなくなりましたが、我慢して頑張って食べたと言う印象が残っていて、しかも母のプレッシャーが心地よくないときています。あまりファンタジーな世界ではありませんでしたが。
 そのピーマンを自らの意思で率先して食べたくなる方法について、豆知識的なことを少し書いておきますね。
 「苦味」はどのように料理したら消えるのかですが、熱によってずいぶんと軽減されます。炒めるにしても焼くにしてもさっと下茹でしてから料理すると、ダブルに過熱することになります。これも方法の一つです。でも、私はそこまではしませんし、形も大きなままで料理します。形がわからなくなるほど小さく切る人がいますが、それでピーマンを食べたとしても、それは、ピーマンだと認識してのことではないので苦手が克服できたことにはならないと思います。
 私が子どもたちに使った手は、大人じゃないから食べられないだけで、大きくなるうちに食べられるようになると話して、「今食べられる量」に減らすという方法です。量を減らすと俄然元気になって食べましたし、たとえ少量でも、食べた事というのは子どもにしたらそれだけでも誇らしいのです。それが次へのステップになるのだと思います。嫌いでも「これならできる」と思う量からのチャレンジ精神は、ほかのことでも同様に言えることが沢山あります。食欲と意欲は正比例の関係にあると思います。

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 さて、そのファルシの作り方です。いたって簡単。原理は、ピーマンに詰め物をしてソテーした料理のことですから、何を詰めても基本、オーケーです。今回は、ひき肉にしっかり漬かったきゅうりのピクルスを刻んで加え、それが肉の味付けになるように他のインパクトは加えません。つなぎは卵と少量の片栗粉で、片栗粉は肉汁を吸収して閉じ込めますので旨味へと転じます。
 ピーマンに詰める前にピーマンに片栗粉をまぶす方法もありますが、私の焼き方ではその必要はありません。肉を下にフライパンに並べてから中火よりやや弱めの火加減にして焼き始めます。そう、これはジューシーライン(Hint&Skill☛)を意識します。また、肉にピーマンの蓋をかぶせて焼いているようなものですから、フライパンには蓋はしませんし、焼き色も悪くなります。適度な焼き色がついたら裏返してゆっくり焼きます。肉汁が周囲に見えてきたら火が通ったサインです。その肉汁をこぼさないように皿に盛り付けます。

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 一度しかひっくり返さない理由は、肉汁をうまく残すためです。ピーマンを焼いている時に、肉汁が徐々にしみだして来て、ピーマンの内部が蒸し焼きのような状態になるので、この時に苦味は随分消えてしまう筈です。種類にもよりますが、肉厚の方がくせがないように感じます。

材料(ピーマン1個分)

  • ピーマン・・大1個
  • ひき肉・・80g
  • ピクルス・・5cm
  • 溶き卵・・大さじ1
  • 片栗粉・・小さじ1
  • 水・・大さじ1
  • 塩・・少々
  • 胡椒・・少々

作り方

  1. ピーマンを縦に二つに切り、種を取り出す。
  2. ピクルスをみじん切りにする。
  3. ボールでひき肉を練り水を加えてさらに練り、溶き卵、片栗粉、塩、胡椒を混ぜ合わせる。
  4. 最後にピクルスを混ぜ合わせ、半分ずつ1のピーマンに詰め込む。
  5. フライパンに油を塗って肉の方を下にして並べ、中火より弱めの火にかける。
  6. 適度な焼き色がついたら裏返し、ピーマンと肉の間に肉汁が染み出してきたら出来上がり♪

***
AmazonNetShop そういえば昨日、本を注文しました。「シッダールタ」ヘルマン ヘッセです。
 ヘッセといえば哲学的な思考を感じ取ると言うまでもなく、その世界に引き込まれてゆく、深い心の奥の世界に出会うためのような読み応えを感じる本が多いのですが、finalventさんのお薦めの意図は「哲学的なところじゃなくて、女、子どもという文脈の含蓄から。」とあったので早速読んでみることにしました。
 ヘッセの面白さは後期にあるそうですが、私はそれよりも少し前の年代の作品を随分前に読んだだけなので、久しぶりです。読む年齢が違うと味わいも変わるのが本読みの面白さなので、届くのが待ち遠しいです。AmazonNetShop
 思えば私の人生で、いろいろな本から沢山のことを学びました。読むことで救われたと感じたことは多々あります。今は違うのかもしれませんが、私の年代層は、知識を得るためと言うよりは、著者をやその作風を通して人生観を学んだように思います。リンク先にもそのように書かれていて、はっとすることがありました。
 最近の私のような不安を抱えて、まるで怯えているような女にとっては、というか女の私はなぜこのような生き方しかできないのだろうかという不自由感が付きまとう自分を感じますので、中年男のダメダメさをじっくり読んでみたいと思います。

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コメント

 コレをファルシというのですね。
ピーマンの肉詰めというより、お洒落っぽいですね!
(ピクルスがないので、らっきょで代用したら、ちょっと田舎くさくなってましたけど)
いつも、ピーマンとお肉の間にスキマが空いて(肉が縮んで)、結局はハンバーグとピーマンというお粗末な状態だったのですが、godmotherさんのレシピどおりに丁寧に焼いたら、幾分かは解消しました♪
 こういうのは、教室とかに行かないと教えてもらえないコトだと思うので、本当に助かってます。

投稿: あん | 2009-08-19 16:43

あんさん、こんにちは。

ピーマンと縮んだ肉の間の絶妙な隙間に溜まるスープの事を強調したかったのが伝わったようですね。良かったです!

らっきょもいいと思います。味付けのための一工夫ですからいろいろと試してみたらいい部分で、オリジナリティー発揮ですよ!

投稿: ゴッドマー | 2009-08-19 17:11

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