2009-07-05

梅(又は杏梅)の甘酢漬け:秋田・湯沢の家庭から漬け物伝授:徒労をやめて孤独に徹するか

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 もう梅の季節は終わってしまったところもあると思いますが、諏訪ではもうしばらく収獲できます。このレシピがお役に立つかどうか分かりませんが、木で熟して黄色くなった梅の実で、種類は良く分かりませんがちょっと変わった漬け方です。素人でも失敗なくできると聞いたので挑戦しました。(少し緑色のも混じっていますが、この際、このまま漬けてみます。他は黄色かやや赤味を帯びています。)
 実は、この梅漬けは、秋田の湯沢に住む友人から教えてもらった方法です。彼女は毎年自家用に手作りするので、昨年は彼女に頼んで漬けてもらったのですが、今年は、彼女からもらったレシピを頼りに熟した梅を代用して、似せて作ってみたというわけです。本来は、杏梅という通常の梅の三倍くらいの大きさの梅で漬ける方法で、出来上がりの色はほぼ黄色です。

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 それが、信じられないくらい簡単なんです。洗ってヘタを取った梅の水分をきれいに拭き取り、分量の塩、ザラメ(粗目)、酢を加えてそのまま一ヶ月半ほど涼しい場所に置いておくだけです。仕上げは、天気の良い日をみて三日間天日干しするのだそうです。P9180004念のため、漬け方の確認をしたところ、彼女はまだ仕込んでもいなくて、8月に入ってから漬け込むのだそうです。普通に梅干を作る場合は6月に梅の収獲ができますから、仕込んで約一ヵ月後の7月下旬には土用干しをして仕上げます。比較してみると、梅干し作りと言っても一ヶ月以上の開きがあります。気候の違いもかなり影響するので「一般的」というのが全く通用しないのだと思いました。
 それと、「杏梅」に興味があるのですが、東北にしかないと聞きます。梅も熟せば杏のような物ですが、大きさが違います。おむすびに入れるにしても、4個分くらいは優にあります。この杏梅のように漬かると嬉しいのですが、一応3日目にもなると水が上がって、梅の水分がどんどん抜けてきていますのでこのまま様子をみることにします。P9180006
 昨年始めて送ってもらった彼女の杏梅漬けで頂いたうどんは格別でした(レシピ☛)。私の梅漬けが成功するといいのですが。

材料

  • 熟して黄色くなった梅・・2kg
  • 塩・・1.5合
  • ザラメ・・500g
  • 酢・・250cc
  • 梅漬け用の容器(できれば陶製)

作り方

  1. 洗って水分を良く拭き取り、楊枝の先でヘタ取りをする。
  2. 容器に梅、塩、ザラメ、酢の順に入れて蓋をしてそのまま冷暗所に一ヶ月半置く。

今はここまでの作業とします。このあと、天気の良い日に三日間日向で干して仕上げる。 完成への続きは☛

***                【二年前の7月の湯沢の田園風景

f:id:godmother:20070703035556j:image:w300:right 一年を通して秋田の気候は諏訪とも似ていますが、海に面した場所と、内陸の山間部の気候の違いを極端に感じるところでもあります。
 息子が御世話になった高校のある能代市は、港のある町で、特に冬場は肌を刺すような冷たい強い風が吹くところです。そのせいか、雪が積もる暇がない所ですが、湯沢は内陸の山間の気候で、山形県と宮城県に隣接していて、雪が深く積もるところです。
  湯沢を訪れた時に驚いたのが、普通の家庭で作る漬け物の種類の多いことです。寒い地方で絶える事のない漬け物の習慣は、それぞれの家庭から「文化」として、一 番身近に感じます。冬場の貴重な野菜という点で、長期保存のできる漬け物がどこの家庭でも大切にされ、長い年月をかけて文化として定着してきたのだと思います。
 今回、杏梅という漬け物の存在をここで紹介できてよかったと思います。この漬け物の美味しさに感動して、自分で作れないものかと願って三年目にし てやっと通常の梅、と言ってもかなり大きめなので期待していますが、自分で漬けてみるまでに至りました。また、息子が御世話になっていた三年間で、私はどれだけ秋田の食べ物に出会えたか。この梅漬けに限らず、大根の鉈漬け(なたづけ☛レシピ)も美味しく作れるようになって嬉しく思っています。
 私にとって、漬け物がこんなに身近な楽しみになるとは、昔の私からは想像もつかなかったことです。田舎の料理というもの自体をまったく知らずに育ったので、私には下地がないのです。残念なことに、両親には「故郷」と呼べる田舎がなく、母にも実家と呼べる場所がないのです。戦争を境に土地をなくした父の実家もなくなってしまい、中国暮らしが長かったので、結局当時としては田舎者っぽくない家の育ちが私です。その私のこの変貌ぶりに一番驚いているのは、母かもしれません。 息子には、秋田という故里もできて、この先歳を重ねるごとに、自分の中の秋田が身近になる事は間違いないことです。娘には、「田舎の実家」がこうしてここにあって、田舎暮らしの母がこうしてここにいるので、いつかそのことをよかったと思うかもしれません。

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 本当のところ、帰着するのは「田舎の実家」ではなく、「心の基地」に帰着することなのだと思っています。ですが、その基地がしっかりしたものではないから、こうやって探すのですね。結局、深いところで孤独なのです。その孤独を埋めてくれる物は何もなく、もしも埋められるとすれば、それは生まれ変わるか、タイムスリップして昔のその場面に戻ってやり直してくるしかないのです。できるはずもない事をそんなことでもできたらなぁと想像してみるだけ、絶望的に現実のことにはならないのです。他に求めても埋まらないと分かれば、徒労はやめてそろそろ性根を据えて孤独に徹するというものか。なんだか漬け物というのは哀愁も漂うものです。

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