2009-06-30

チキンカツレツ(衣をつけたポワレ):やっぱりこれだけは手製でね:今時のしつけ「傘がない」が懐かしくなる訳

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 お惣菜のコーナーに必ずあるフライ。その中でも定番中の定番であるチキンフライのレシピです。息子から以前聞いたことですが、「お惣菜で肉類があるのは嬉しいし、チキンカツは安いからいいけど臭みが気になる上硬いからあまり買わない」と言うのです。私は買ったことがないのでなんとも言えませんが、想像するに、スーパーマーケットなどの売り方の順番として、生肉→惣菜→調理品の順に加工して販売して行きますから、臭いの付きやすい鶏肉などは、けして腐っていると言う意味ではなく、味が劣化するという程度の変質は避けられないと思います。それが冷めると同時に肉に回ってしまうという可能性はあると思います。また、フライだと肉全体から水分が抜けて冷めると同時に硬くなるということだと思います。
 いろいろ考慮するとカツレツは自分で作ったらどうかというので、レシピを掲げることにしました。しかも、露骨に言うと市販品離れの為にですから、市販品の問題点をクリアーするような調理方法ということで試しに作りました。
 まず臭いの点ですが、鶏肉の皮は臭いがつきやすいので料理の前に洗うのをお勧めです。ぬめりなどを良く洗い流してからキッチンペーパーなどで水分を良く吸い取ります。酒や生姜汁などを少量まぶして臭い消しのような効果も望めます。又は、皮は取り除いてしまって、使わないで料理をするかです。
 硬さの点ですが、揚げ物の温度にもよりますが、私は掲げるのは勧めません。最近いろいろな食材で試していますが、パン粉を付けてフライにするなら、油を最小限に控える揚げ焼きの方法が、肉から余分に水分が抜けずにふっくらとジューシーなでき上がりになると思います。(ポワレレシピ参考☛牡蛎ホッケ牛肉ささ身豚ロース

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 片側ずつ火を通して行くので中心で出合ったラインに水分と旨味が集まるという理屈です。そして、肉厚の胸肉などは火を通すのに時間が掛かりますから、観音開きか厚みの真ん中に包丁を入れて、例えばキュウリのピクルスやチーズなどの他の食材を挟んだりして火の通りを半減させます。
 油の吸い込みですが、パン粉は細かいほど油の吸い込みが少なく、使用する量もかなり軽減できます。その分材料に満遍なく薄い衣としてつきますし、まぶす作業も早くできます。食感の好みもありますが、未経験でしたら是非一度お試しあれ。
 実際に作ってみました。間に挟んだのはラクレットチーズとキュウリのピクルスのスライスです。塩、胡椒をして薄く小麦粉をつけたら刷毛で余分な粉を落とし、卵液をくぐらせて細かく挽いたパン粉をまぶします。ここで冷蔵庫で最低15分ほど休ませて、パン粉を馴染ませてから揚げ焼きします。料理にかける時間を切るとしたら、ここでひと段落置いて後半は食べる直前で仕上げます(hatahataさんは、ここまでを一次作業とします)。

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 フライパンの底が隠れるくらいの油を引いて、中火で皮目から焼きます。焼き色がついて、周囲に火が通ってきたら裏返し、全体がこんもりとしたら焼けたサインです。肉を引き上げて一度フライパンの油を払ってからもう一度肉を戻し、バターを溶かして風味をつけたらでき上がりです。

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 肉の焼き加減の見極めに慣れないうちは、肉の中央に包丁を入れて、中ほどまで火が通っているかチェックするとよいです。肉がどのような状態になったら中心まで火が通っているのか、その時の状態を観察して覚える習慣が大切で、「料理の勘」を養う訓練です。切り目を入れなくても第六感が働くようになりますよ。これは理屈ではない部分なので、料理で説明のできない分野です。たまたまですが、今回はラクレットチーズを挟んでいるので、チーズが溶け出した頃が中まで火が通ったサインです。
 それから衣付けの手順に合わせた手の使い方と、それぞれの置き場所にも大いに頭を使います。面倒臭いという理由で料理を放り出す人に多いのですが、作業性のよい配置や手順をより良くするための工夫に頭を使っていると、自ずと結果がついてきます。それが楽しめることで、料理は自分のものになるものです。そういうことに喜こぶ自分に出会えるのも新しい発見です。

材料

  • 鶏胸肉(地鶏)・・2枚(730g)
  • 溶き卵・・大さじ2(同量の水)
  • 小麦粉・・大さじ2
  • パン粉・・カップ3/4
  • ラクレットチーズ・・60g
  • キュウリのピクルス・・2個
  • 揚げ油・・適宜
  • バター・・30g
  • レモン汁・・適宜
  • 付け合せ野菜・・トマト、オリーブオイルで和えた千切りキャベツ、アスパラガス

作り方

  1. 鶏肉の表面のぬめりの部分から臭うようなら水洗いして水気を吸い取る。
  2. 肉を縦長に大きさを1/2に切り4枚にして、厚みの真ん中に包丁で切り込みを入れる。一枚はお弁当用
  3. チーズとピクルスをスライスする。
  4. 2の切り込みの間に3を挟んで閉じ、小麦粉をまぶして余分な粉を刷毛で落とす。
  5. 溶き卵と水を合わせて繋ぎ液を作り、左手で4の肉をくぐらせてから右手で細かく砕いたパン粉をまぶす。
  6. パン粉をまぶした肉をバットに並べて、冷蔵庫で最低15分は寝かしてパン粉を落ち着かせる。
  7. フライパンが隠れる位の油を引いて中火にかけ、パン粉を落としてみて直ぐにぱっと広がるくらいに予熱したら肉の皮目を下に並べて焼く。※蓋はしない
  8. 焼き色がついて周囲の色が変わって、肉が少し縮んでこんもりしたら裏返す。
  9. 肉全体が丸みを帯びて盛り上がり、一回り縮んだら一度引き上げて油を切る。
  10. フライパンの油を払ってバターを溶かし、肉を戻して両面にバターの風味をつけたら皿に盛り付ける。
  11. 付け合せの野菜を盛り付け、レモン汁をかけていただく♪

***

朝雨が降ると息子は傘をさして学校に向かう
下校時、雨が止んでいる
傘を部室に置き忘れて帰宅する

翌朝雨が降る
途中まで傘なしでダッシュ
どこまでダッシュ?
コンビにまで

 コンビニが日本で展開されたのは1970年前後だと言われている(参照)恩恵の方が多く、正にconvenienceの語彙が伝わろうがどうだろうが、今や幼い子どもまでが何でもコンビニ。若いママがお昼ご飯の調達や、営業系の仕事中の人達でお昼時はお弁当が大賑わいしている。良し悪しは別として、現在の生活に無くてはならない存在として、携帯電話と並んで人々の暮らしを支えている。
 一方、使い捨ての文化を増長させているというのも然りで、人の頭脳からスケージュールの読みという縦の計画性の排除を簡単にやってのけている。気づかぬうちに今日の天気を気にしなくなった。雨が降ったらコンビニで傘を買って帰り、傘のない友人には簡単にあげてしまい、返却にも拘らない気楽さ。そのような光景は梅雨時の店先で良く見かける。
 段々私も感化されつつ、自分の気づかないところで先を読むような脳を使わなくなってきている。小学生の頃から梅雨時は、朝の出掛けに空を見て、母にも相談の上長靴を履くか傘を持って行くかを自分で決めたものだった。その習慣からか、コンビニ時代の育ちの息子に傘の世話を焼く自分。息子にしたら、雨が降ったら安い傘を買うからいいと言うだけの単純なことを、母は何故執拗にその傘に拘るのか不思議な世界なのかもしれない。
 物を大切にする気持ちはどうやったら躾けできるのか、というかできない時代なのかもしれない。自分のしていることは無駄な抵抗なのかもしれない。

井上揚水の「傘がない」は1972年にリリースされているが(参照)、タイミングがずれていたらこの歌は生まれなかっただろう。

「だけども問題は今日の雨 コンビニが傍にない♪」

とはならなかっただろうし・・・・・・。

都会では自殺する若者が増えている
今朝来た新聞の片隅に書いていた
だけども問題は今日の雨  傘がない
  行かなくちゃ  君に逢いに行かなくちゃ
  君の街に行かなくちゃ  雨にぬれ
    つめたい雨が今日は心に浸みる
    君の事以外は考えられなくなる
    それはいい事だろ?

テレビでは我が国の将来の問題を
誰かが深刻な顔をしてしゃべってる
だけども問題は今日の雨  傘がない
  行かなくちゃ  君に逢いに行かなくちゃ
  君の家(うち)に行かなくちゃ  雨にぬれ
    つめたい雨が僕の目の中に降る
    君の事以外は何も見えなくなる
    それはいい事だろ?

  行かなくちゃ  君に逢いに行かなくちゃ
  君の街に行かなくちゃ  雨にぬれ

  行かなくちゃ  君に逢いに行かなくちゃ
  君の家(うち)に行かなくちゃ  雨の中を

  行かなくちゃ  君に逢いに行かなくちゃ
  雨に濡れて行かなくちゃ  傘がない 

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コメント

こんにちはhatahataです。
レシピ中に私の名前が!! ありがとうございます。
この段階で冷蔵庫に入れておけばいいんですね。
衣がべっちゃりするのはダメなことだと思っていました。

ところで「傘」。
うちでは夫が「買えばいい」傾向で、もったいないし玄関にはビニール傘が増えるし、
その風景はとてもだらしない感じがします。
そのことを夫に伝えると納得はしてくれるのですが、私が天気予報の降水確率をチェックして、
折り畳み傘を持っていこうかどうしようか悩むのを感心しながら見ていることに変わりはありません。
「100円ショップが近くになくてさー、今日はコンビニで買っちゃったよ」
もったいないのニュアンスが違うような気が・・・。

あっ、人様のブログコメントに長々と書いてしまいました。すみません。
ちなみに「傘がない」とても好きな曲です。

投稿: hatahata | 2009-07-01 09:44

hatataさん、こんにちは。

衣がしっとりしていると油と水の反発が起こるので、かえってカリッとなることの方が多いと思います。他のレシピですが、わざわざ霧吹きするほどです。

あのご主人、ひょうきんですね^^;
all or nothingの世界ではないのですね。make a little bit less の段階から徐々にですね。ところで、やはりコンビニの依存度高い方でしょうか。

コメントに関してですが、お気遣い無くお好きなように書いてくださいね。

投稿: ゴッドマー | 2009-07-01 10:24

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