土鍋で茸の炊き込みご飯:途中で具を入れるコツ
昨日は、ヒューヒュー音を立てて時折突風が吹くような天気でした。畑のエンドウやトマトが先日の雨でかなり育っているのは分かっていたので、添え木をして、伸びた軸を紐で結んであげないと折れてしまう恐れがあります。
早速畑に行って道から崖の階段を昇ろうとした時、隣の畑の主のお婆様が杖をつきながら歩いてきました。挨拶をすると、にこやかな顔で「今年は私は、足を怪我したものだから、ダメだわ。畑どころじゃないわ。」と、お年も八十歳は越えた感じですが、とても元気な方で耳も遠くない様子です。続けて「子ども達が、そんな足じゃやめるようにってゆうんで、今年は畑はできない。」きっと娘さんや息子さんに労わってもらっているのだろうと、「あら、それは良かったですね。ゆっくり休んでね」と言い終わるくらいに丁度通り過ぎて、会話もなんとなくそれで限が良かったのです。しばらく後姿を見送っていたら、その背中はいかにも寂しそうに丸く小さく、首は垂れて元気なく歩いているのです。もしかしたらとんでもないことを言ったのではなかと思ったと同時に「早く治してまた畑のこと教えてねぇ」と大きな声で言ったのでした。振り向いてまた笑顔で手を振って行ってしまったのです。
このあと畑で作業をしながら、あの時のお婆様の気持ちを全く理解していなかった自分が情けなくて仕方が無かった。あのお婆様が、今までどれ程畑を楽しんでいたか知っている私だったはずが、子ども達に止められて切ない思いをしていると、何故そのことに気づかなかったのか。畑ができないことがお婆様にとって良い訳がないというのに、気落ちしているところに追い討ちをかけるような事を言って申し訳なかったです。早く足を治してカムバックして欲しいです。
ちょっと涼しくなるとすぐに和食の温かいご飯が食べたくなります。買い物で見つけた北海道産の「たもぎ茸」ですが、真ん中がくぼんで鮮やかな黄色の可愛い茸です。大臣賞が付いて、なんだか格が上のような感じですが、お値段はそうでもなく、普通にブナシメジなどと一緒です。ただ、小さい茸に期待するのは、香りと食感です。ブナシメジと一緒ではどうかと思ったのですが、小さくて繊維も細いのに、シャキシャキしていて、ブナシメジよりも香りが強いです。パックを開けた途端にそう感じるはずです。
一緒に加えた具は油揚げをバーミックスで粉々にしたものです、土鍋の表面に散らばっていますが、蒸らしが終わったら空気を含ませるように上下をさっくりと大きく返します。これが土鍋ご飯が美味しくなる最後の仕上げです。
茸を炊き込む時の注意は、最初から一緒に炊いてしまうと火が通り過ぎて崩れてしまい、食感も残りませんから、途中で加えます。ご飯を炊いている時に蓋は絶対に開けないと言われていますが、この場合は例外です。
余談ですが、こんなの知っている人います?「始めちょろちょろ中ぱっぱ赤子(あかご)泣くとも蓋(ふた)取るな」これは、釜炊きの炊飯レシピを言い伝えるのに覚え易くした昔からの言葉です。見たことがあるかもしれませんが、昔の飯炊き釜の蓋は木製で重たくずっしりとしていました。この言葉の通りだと初めはちょろちょろ弱火で、沸騰したら強火にし、たとえ赤ん坊が泣こうが蓋を取ってはいけないよ。という調子で、かまどでご飯を炊いたのでしょうね。
さらに話は逸れますが、父の仕事の都合で、九州から今の実家のあるところへ越してきた時(同時五歳)、最初は借家で、その大家さんが大きな農家でした。その台所はコンクリートの打ちっ放しの土間で、入り口を入るとすぐ右側にかまどがあってその続きの奥には広く長細い流しがありました。いつもご飯はお櫃(ひつ)で、大きなお鍋に当時7~8人家族が朝、昼、晩食べられるだけのお味噌汁が作ってありました。土足のまま土間の奥の木製の大きなテーブルについて食事をしていました。終わると、しばらくお昼寝をするという光景が焼きついています。私は誰かに言われた訳ではないけど、ここのうちの長女、当時三歳くらいの子の子守でした。というか、この子がいつもくっ付いてきていただけだったような。とても懐かしい光景です。
土鍋でご飯を炊くことに緊張することはないです。ここに書いてある時間内でしたら、まず失敗なく炊けます。少し焦がして、わざとおこげを作って食べたいくらいです。炊けたご飯をそっくりお櫃に移す場合は、混ぜる必要はありません。移している時に充分空気に触れることと、水分は適当に桶が吸ってくれてべちゃつかず、驚くほど甘味がのるのです。そして、お櫃の蓋を開けると木の香りがして、風情のある食事になります。ああ、今年こそは、木曾のお店で買いたいなぁ。
さて、土鍋で炊くのは、昔の釜のたき方とはちょっと違います。
<炊き方> 1)始めの7~8分はちょろちょろ弱火で、2)次に強火にして穴から勢い良く吹いてきたら吹きこぼれない位の弱火にして、7分ほど炊いた時点で具を乗せます。3)この時には、水分は既になくなっています。このあと弱火のまま7分ほど加熱したら火を止めて、4)10分蒸らします。
土鍋の厚みや火加減によって差はありますが、少しずつ温度を上げていって、後半強火にしてから吹きこぼれそうになったら火を弱め、10~15分弱火でじっくり炊いて火を止めます。後は10分~15分の間で蒸らすと出来上がりです。慣れればどんな鍋でもご飯がたけるようになります。アルミのうすっぺらな飯盒(はんごう)だって、ちゃんとご飯はが炊けるの覚えていますか(参照)。
材料
- 白米・・4合
- たもぎ茸・・1パック
- ブナシメジ・・1パック
- 油揚げ・・2枚
- 鰹出汁・・3.5合(630cc)
- 淡口醤油・・大さじ2(30cc)
- 酒・・大さじ4(60cc)
- 塩・・一つまみ
作り方
- 米を洗って笊に上げ、水気を切っておく。
- 茸は石突を取ってほぐしておく。
- 油揚げは、バーミックス(又はフードプロセッサーなど)で細かくし、笊で熱湯をかけて油抜きする。
- 分量の鰹出汁から1カップと淡口醤油、酒を合わせて茸と油揚げを一煮し、笊に上げて煮汁はとっておく。
- 土鍋に1の米と同量になるように4の煮汁に鰹出汁を足して弱火にかけ、<炊き方>に沿って、弱火で7~8分炊き、強火にして勢い良く吹きてきたら吹きこぼれない程度の弱火にし、7分ほど炊く。
- ここで4の具をご飯の上に均一に乗せて蓋をし、7分弱火で炊いたら火を止めて10分蒸らす。
- ご飯の下から大きく上下を返すように掬って空気にできるだけ触れるように混ぜ合わせる♪
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コメント
お久しぶりです。
最近、携帯でコメントすることが多くなったのですが、なぜかココログのブログには投稿できませんので、コメントを出せずに失礼しました。
久しぶりにパソコンからの投稿になります。
土鍋の炊き込みご飯、良いですね~。
しかも、油揚げをフードプロセッサーで回してから入れるとは!
今度、是非やってみたいとおもいます!
投稿: 虫の音 料理長 | 2009-06-07 00:31
虫の音 料理長さん、お久しぶりです。
油揚げの撹拌は、ご飯との食感との違和感が無くていい感じです。ちょっと前にも筍ご飯で試しています。 http://godmothers.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-cc4f.html
それと、携帯からのコメント投稿できないとのこと。すみませんね。気になったので試しにログアウトしてテスト投稿してみましたが、私はできます。このコメントの一つ前のがそうです。ココログのヘルプや障害情報をチェックしたのですが、特に問題ないようです。なにか、エラーメッセージなど入りましたか?何度かコメント投稿をやり直すとスパムと判断されてしまう場合もあるそうですが、そんなことはないですよね?どうしたのでしょうね。
投稿: ゴッドマー | 2009-06-07 03:20