2009-05-06

穴子で柳川風鍋の丼物

 これを書いている今、待望の雨が降っています。昨日の午後ポツリと来てからはっきりしない感じでしたが、雨音で目が覚める程の本降りとなって、畑が喜んでいる事でしょう。
 最近は、魚屋さんで穴子をよく見かけます。もちろん近海物です。ただ、穴子の旬は入梅入りから夏にかけてといわれているので、少し早いと感じています。こげ茶色っぽい色をしていてぬめりがキラキラと光り輝くような艶を持っていて、できれば頭の部分から血抜きをしてあるものがベストです。開いて売っているものは鮮度の見分けがつけにくいですが、身が透き通るように見えるもの、プーんと強い生臭みを感じなければ大丈夫でしょう。

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 実は、ちゃんと鰌(どじょう)を入れた柳川鍋が食べたかったのですが、タイミングがいつも上手く行きません。お店に出るのを待っている人も多いのか、すぐに鰌は無くなります。10cm程の5~6匹で柳川鍋を作っても如何なものかと思いますので、取り止めになります。
 その昔、江戸時代くらいから精がつく食材と言われて柳川鍋が好まれたとありますが(参照☛)、土用の丑の日に鰻を食べるのと同じ頃、暑気払いとして柳川鍋を母が作っていました。年に一回のことなので、だからか良く覚えています。鰻は脂が乗っていれば串焼きにして醤油タレをたっぷりと付けて鰻のお重がやはり定番ですが、

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鰌も穴子も脂が少なくあっさりとしていますから、卵とじにしてご飯の上にかけて頂くのがよろしいかと思います。もっとも、穴子ならみたらしのタレをかけて握り寿司にもします。
 丼物を家で作る時は、銘々に作らずに大き目の土鍋に4~5人分作ります。余っても普通におかずになるので多めに作りますが、大概、皆お代わりをして一回で無くなります。逆に言うと、食べ盛りの子どもがいるうちは、一人分を特定することなく、何回でもお代わりをして食べてもらいたいと思っています。

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 穴子の下ごしらえのポイントは、臭みの元になるぬめりを良く落とすことです(参照☛)。簡単に言いますと開いた穴子の皮目を上にまな板に置きキッチンペパーを覆いかぶせます。まな板を斜めにして熱湯を回し掛けてから冷水にとって身を〆ます。再び皮目を上に左右に横に置いて包丁の背でしごいて、ぬめりをこそげ取ります。洗い流して下ごしらえは終わりです。大きな穴子は、骨も太くなっていますので3mm間隔で浅く包丁目を入れてからグリルで白焼きします。料理人さんが良く串を打って焼いていますが、家庭では金串なども揃いませんのでそのまま焼きます。以前実験的に串を打たずに焼いたのですが、気になるほど丸まったりしませんでしたので、串は打たずに焼きます。実は縮んで小さくなりますが、白焼する事で旨味が凝縮され香ばしくなります。5cm幅に切ってから笹がきの牛蒡と豆腐、お麩(ふ)と一緒に鰹出汁一煮してから味付けて卵で閉じます。麩は加えなくてもいいのですが、美味しい出汁を吸ったお麩をツルンと頂くのが楽しみの一つというか、お麩の食べ方といいますか、大好きなので入れます。種類は沢山ありますが、出汁を吸ってふっくらと柔らかくなるタイプが良いと思います。

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 卵とじを上手に作る方法ですが、卵は軽くほぐれる程度に5~6回菜箸で卵を切るようにかき混ぜ、最初は白身を鍋の具全体に回しかけます。九割かた白濁して火が通ってから最後に残りの黄身を「の」の字に回し掛けて火を止め、30秒後がベストの食べごろです。白身と黄身では火の通る時間が違うので、一緒に全部加えると黄身が硬くなって白身が透明のままになったりします。カツ丼なども同様です。

材料(26cmの土鍋で約4~5人分)

  • 穴子・・1本(50cm強)開きで200g
  • 木綿豆腐・・1丁(450g)
  • 牛蒡・・1本
  • すだれ麩・・4個
  • 卵・・3個
  • 三つ葉・・適宜

下地

  • 鰹出汁・・400cc
  • 醤油・・35cc
  • 味醂・・35cc
  • 砂糖・・大さじ1

作り方

  1. 1リットルのお湯を沸かします。
  2. お麩を水に浸して戻しておく。
  3. 穴子をまな板の上皮目を上に横に置き、キッチンペーパーを一枚を半分に切ってそれぞれを穴子に覆いかぶせる。
  4. お湯がたぎったら、まな板を斜めにして熱湯を掛け、すぐに冷水に入れて〆る。
  5. 皮目に包丁の背を当ててしごいてぬめりをこそげ取ったら洗い流して水気を吸い取る。
  6. 強めの火加減で両面を手早く焼き色がつくまで焼き、少し冷まして5cm幅に切る。
  7. 焼いている間に牛蒡を洗って笹がきにする(皮は束子で洗い流す程度にし、水にさらしてアクを取らない=旨味を残すため)。
  8. 土鍋に鰹出汁で最初に5分ほど牛蒡だけ煮て火を通し、続けて穴子、豆腐、水気を絞ったお麩の順に加え、味付けする。
  9. 卵を軽く溶いて(コシをのこし)、白身だけ回し掛けて蓋をし、白身が九分通り白濁したら黄身を「の」の字にまわしかける。
  10. 蓋をして火を消し、三つ葉を散らして30秒後召し上がれ♪

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コメント

 おお、穴子の下処理までなさるとは・・・。
 今更ながら、godmotherさんの腕前に感心しております。

 私の住んでいる滋賀県は、比較的川魚を食べる習慣を持つ県だと思うのですが、川魚が普通のスーパーに並ぶことはほとんどありません。他所からの入り人が多いせいでしょうか?

 それはともかく、コイの切り身は見かけることがありますが、ドジョウは今まで見たことがありません。


 ドジョウを扱っているお店が近くにあるのはうらやましいです。ドジョウは好きですので・・・。

投稿: 虫の音 料理長 | 2009-05-06 22:40

虫の音料理長さん、おはようございます。

滋賀県でしたか。琵琶湖の関係から確かに川魚の佃煮などが有名ですね。昔の友人に佃煮屋さんを営む家がありましたよ。かくいうこちらも諏訪湖という立派な(ワースト№1)湖がありましてね、やはり地元産の公魚は今一・・・。鯉の飴煮もお祝い事には欠かさす頂く習慣もあります。似ていますね。

交通事情が良くなって、東京、静岡、名古屋、新潟、富山へと諏訪から同じ位の時間で車で出られますので、魚も方々から届くみたいです。昔は陸の孤島と呼ばれて、どこへ行くにも山を越え谷を越えの旅だったようです。

鰌で思い出したのですが、金沢に鰌の串焼きがありますよ。知っています?串に螺旋状に巻きつけた様な恰好をしています。あれ、美味しいですよ。すぐに売り切れる名物です。機会があったら是非に。

遅れましたが、先日トラックバック頂いた貴殿の画像をこちらで紹介させていただきました。確認してみてもらえますか。

投稿: ゴッドマー | 2009-05-07 03:10

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