2009-05-10

春鰹(はるがつお)のたたき:母の日の白いラベンダー

P5090003  娘が東京での暮らしを始めたのは四年前です。ずっと親がかかりの生活から一転して、ついこの間、社会人として自分の選んだ道を歩み始めたばかりだというのに、少しずつ逞しさが備わってきたように感じます。自分の力で仕事をこなし、その対価としてお金を手にするということは、人が育つということですね。徐々に自信を付けて行くというのはわかっていることですが、今の段階としては社会人として一番勢いが良く何でも吸収し、そして、失敗も寛大に許されるといういい時期なのだと思います。息子の分の生活費も娘が払って行くと言い出して、なんとも頼もしい限りです。
 私もその昔のことを思い出していました。母の日や父の日には、親が自分では買わないだろうというようなものを選んで、プレゼントしたものです。
 私の両親は、父は大正十五年(昭和元年に当たる年)、母は昭和三年生まれで、昔の物のない時代に育っていますから、贅沢をしません。無駄のない質素でいながら、価値を認めたものに対してはドーンと盛大なお金の使い方をするような親で、しかもそのように買い求めた物はとても大切にしていました。俗に言う「物持ちがいい」親でした。ですから、プレゼントを決めるのは簡単でした。
 今の子ども達って、迷うようですね。それもその筈です。今は物は溢れんばかりにありますし、誰も我慢するような必要も無く、何でも持っていますからね。
 娘から届いたのは「白雪姫」という名前の白い花が咲くラベンダーでした。箱が届くや否や、香りが部屋中に立ち込めて直ぐにラベンダーだとわかりました。白は珍しいそうで、北海道で丈夫に育てられたそうです。長野県ですから北海道よりは少し寒さが和らぐとは言え、植え替えた時にこの土地に慣れてくれるといいのですが。
 早速娘にお礼の電話をして話しているうちに、何かの拍子にラベンダーの価格を娘が明かしたのです。悪夢はここから。信州で見慣れているラベンダーの鉢植えの相場というのを知っている私のことですから、いくら珍しい白とは言え、見た目からはとてもその価格が信じられなかったのです。このような時に(とても反省はしているのですが)、親はよからぬ心配をするもので、もしかしたら娘はお店からぼられたのではないか?と思ったのです。丁度、私も自分の母に鉢植えを考えていたので、Netでそのお店を調べたら、娘が話していた価格よりずっと安価な物が「売り切れ」で掲載されていました。私に届いた物とそれがどういう関係なのかなど、比べようも調べようも無いのですが、Netでのプレゼント注文というのは、贈り主が購入した物ではないものを送り先に届けるような、詐欺まがいのことも簡単にできますし、ありうることです。そのことを心配して、調べた事を娘にメールしたのが間違いの元。なので、さぞ気分が悪かったでしょう。でもね、こんなことは嫌な感じだろうけど、けして値段を調べたんじゃなく、本当に注文した物が届いていて、良心的なお店ならいいのです。こんなことまでしないと黙っていられないほど猜疑心も強くなってしまった母です。自分でもうんざりしました。
 今までいろいろ騙されたり、裏切られたりして悔しい思いを何度もしてきたせいで、人をそのまま信用できなくなってきているのは間違いありません。そう言う訳だったので、気を悪くしないでください。と、ブログ上で娘に謝るというこれも変なことですが、娘には直ぐにメールしておきました。これに懲りずに、また来年の「母の日」にもよろしくね。記念すべき母の日のプレゼントに、ケチがついた記念日になってしまいました。

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 今日は、千葉沖の春鰹(はるがつお)のたたきです。鰹の出始めはややパサつた感じで、夏から秋に向けて脂が乗って「戻り鰹」と呼ばれようになると、とても美味しいです。今の時期は、少し注意しないとまだ若い感じがします。
 今日の鰹は、しっとりとした綺麗なピンク色の身で、背側の柵です。魚屋さんのお勧めは、この背の方です。腹側はまだ身が薄くどの道切り落とす部分ですから、均一な味を楽しめるという理由で背の方がお勧めです。鰹には独特の血のような匂いがあって、これがあの鰹節作りで醗酵させると旨味に転じてそれは美味しいのです。新鮮なのに、この匂いが苦手だという人も多いのだそうですね。

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 「たたき」というのは、火で炙って表面を焼き、タレを染み込ませる方法の事です。鰹でしたら藁(わら)を燃やしながら串を打った鰹を炙り、藁の燃える匂いや灰が鰹につくのが、これがまた美味しく、たたきの本道です。が、今はそんな事をしていられませんので(まず、藁がないし)、私は、園芸用のバーナーで焼を入れます。バットに置いた鰹を換気扇の下で炙ります。鰹は皮が硬いので、多少炭化するまで焼くと、脂が乗っている鰹なら澄んだ油が染み出てきます。これくらいに焼を入れると、臭みは感じなくなります。赤身の方は、軽くバーナーを当てるだけで白濁します。全体を炙ったら、ボールに作った氷水で良く冷まし、キッチンペーパーで水気を吸い取ってからタレを染み込ませます。バーナーが無ければ、鰹に串を打って直接ガスコンロの上で左右に振りながら焼を入れます。
20070811052609_2 魚屋さんでたたきにして売っている切り身はどうやって焼を入れているのか聞きましたら、料理用のバーナーだそうです。(あらま!)「結構高価だけどあると便利だよね」と言うので値段を聞いたら、私が持っているのの軽く倍でした。私のは、先端が平らに広くなっているので、その分効率が良いのだと思います(Do-Ga参照☛)。魚屋さんの直ぐ傍のホームセンターで買ったのだと話したら、早速買いに行ってくると話していました。なんだか傍で聞いている人が、大きく頷いていたので、凄い宣伝効果だったかも。

材料

  • 鰹柵・・2本(背側)
  • 細葱・・適宜
  • にんにく、生姜は好みでみじん切り
  • バーナー(無ければガスコンロ)

タレ

  • レモン汁・・半個分
  • 酢昆布醤油・・レモン汁と同量

 酢昆布醤油のレシピ☛ 
ポン酢等の代用にとてもまろやかなタレ:漬け込んで冷蔵庫に保存するだけ。

作り方

  1. ボールに氷を入れて氷水を作る。
  2. バットに鰹を並べて換気扇の下に置き皮目からバーナーの火を当てながら炭化するくらいまで焼く。
  3. 場所を変えて、身の部分が白く色が変わるまで焼いて全体を満遍なく焼く。
  4. 直ぐに1の氷水にしばらく浸けて冷ます。
  5. キチンペーパーで水分を吸い取り、ラップの上に並べる。
  6. タレを全体に回し掛けてラップできっちり包んだら冷蔵庫で10分程馴染ませてから好みの厚さに削ぎ切りにする。
  7. 細葱を細かい小口に切って散らす。
  8. にんにくと生姜のみじん切りは、銘々がとり皿に取れるように別の皿に取る♪

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コメント

こんにちわ。
頼もしいお母様で、この先娘さんも安心ですね。
何だか、羨ましいです。
というのも、うちは、こういう心配が逆転していますから。
  
 GWに作る予定だった、チャーシュウ、この土曜でやっと作りました。 というのも、GWに風邪をひいてしまい、寝込んでしまったので、何の予定もこなせませんでした。
まぁまぁ、うまく出来た気がします。
さすがgodmotherさんレシピ&スロークッカー!

 久しぶりに食べる豚肉は、弱った体に栄養がどんどんと吸収されるようで、体力が回復しました。
 おかげで、昨日は、主人の実家に行く事もできて、おかあさんも喜んでくれてました(^-^v
 

 

投稿: あん | 2009-05-11 11:03

あんさん、こんにちは。
せっかくのお休みに風邪をひかれたのは、何かお休みしなさいという啓示かもですよ。

時々コメント頂く内容からは、あんさんも頼もしい娘さんという感じが拭えませんよ。大丈夫。ちゃんと必要なことは備わっているはずですからね。

チャーシュウができたら、次は「男がまいるチャーハン」の番ですよ!

頑張らずにのんびりと、進みましょう。

投稿: ゴッドマー | 2009-05-11 12:06

 頑張らずに。のんびりと。進む。
そういうのが、一番楽しいですよね。

 ここにお邪魔した時、すっごく焦っていました。
その時に、godmotherさんから叱咤激励をうけて、
気持ちが、すっと替わりました。

 今の環境は、私が「頑張る」というコトを求めていないんだなぁ、とその時に悟りました。
 今と、前とでは、状況は何も変わっていないけれど。
自分が満足そうにしていれば、周りは安心してくれるんだなぁと感じています。

 おお、また、堅苦しいコメントになってしまいました。
のんびりと、ですね~。

 
 
 

投稿: あん | 2009-05-11 13:30

あんさん、こんにちは。

自分で気づくことが大切ですね。
周囲に合わせるのも大事なテーマですが、一般的な言い方だけど、仕事とというのは「分担」だと思うので、自分の位置を自分が決められる時もあれば、人が決める時もありますよね。その時に、全体観に立てていると、自分の不満はあっても人と歩調を合わせたり、調和したりする事で孤立しない自分の存在というのは確保できることだと思うんですね。自分ばかりを見がちな時に、周囲に目が配れたら、それ位の余裕は欲しいと思います。

これって何にでも通じる事で、そうですね、料理をする自分にも結びつきます。

まあ、方法に走るといけませんけど、老婆心ながら言ってしまうと、ね。

投稿: ゴッドマー | 2009-05-11 15:31

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