2009-05-03

筍の姫皮とささ身のお吸い物(お澄まし):ゆったりとした今年の連休

 特にすることが無い、こんなに暇な連休は何年ぶりでしょうか。今まで子ども達の行事や親として参加すべき所用で、お金と暇を悉く費やしていたというものです。
 長男が卒業した高校の部活の父母会のお仲間と一緒に、在校生の試合の応援がてらまた杯を酌み交わそうという手配はしていたものの、東京の娘達のところでちょっとした集まりをするような話も出たりして、この度の秋田行きはキャンセルしたため、変に間の空いた連休となりました。
 何も無いような日常の中で、それでも毎日何かを思ってこうして文章を書いている自分の事を少し思っていました。実は、書くということに対してトラウマになっていた時期があって、あれは小学校の四年生の時でした。
 担任の先生は小説家で、純文学に類する小説を何冊も書いていらした国語の先生でした。授業で生徒が書いた作文をピックアップして「毎日小学生新聞」に投稿し、新聞で発表されるとその新聞を学校に持ってきて、嬉しそうに該当の生徒にプレゼントしてくれるのです。これがたまらなく羨ましくて、よーし、私も一度は新聞で発表されてみる!と頑張って書くのですが、いざ原稿用紙を前にすると、小学生ながら「上手く書くには」「どんな事を書いたら投稿してもらえるのか」の方へ知恵が行ってちっとも書けないのです。そうです、書く目的がいつの間にかそんな風になってしまって、書く楽しさは何処かへすっ飛んでしまったのです。そのうち書くことが苦痛になり始め、取り組む気持ちが萎えたのを今でもはっきりと覚えています。かなりのプレッシャーが続いたせいで投げてしまったのだと思います。
 そんな事が続いたある日、「そうだ、この書けない苦しい気持ちを思いっきり書いてやれ」とばかりに書いたら、それは、ある日の親の参観日に突然名指しされて、大勢が聞いている前で読んで発表する羽目になったのです。物凄い恥ずかしさの中でいやいや読み、後味が悪かったのだけは覚えています。「全然良い文章でもなんでもないのに、何故私のを読むように先生は言ったのだろう?」という疑問は未だに残ったままです。それとなく、それは先生の愛情だった事は充分伝わってきていますが、はっきりとその時の意図はわからず仕舞い。そして、先生は、小学生新聞に投稿するのをぴったり止めたのです。一度だけ「先生どうして作文出さないの?」と聞いたことがありますが、その時、先生を困らせる質問をしたのだという空気がすぐに走り、困ると眉が八時二十分になってしまうその先生の顔をそれ以上見られなくなったのを覚えています。
 それ以後、自然に魔法が解けた感じで、書く事に対するトラウマを感じなくなったのも不思議です。
 昨日、何となく暇つぶしにNetで調べたら、その後先生は何冊も本を書いて出版され、そのうちの一冊も読んでいない私がちょっと恥ずかしいです。でも、今だにお元気な様子なので一度訪ねてみたいと思っています。こうして毎日書いて遊んでいることを話したら、きっと驚かれるれる事でしょう。

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 今日は、筍の姫皮とささ身のお吸い物です。
 姫皮というのは、筍の先端の柔らかい皮のことです。市販の筍にはついていることはありません。皮を剥いて自分で茹でた時にだけ食べられるものです。この部分を少しずつ取り置いて、備蓄しておいたのをまとめてお吸い物にしました。非常に繊細な部分ですが、食感はやはり筍らしくしゃきっとしています。その感じを壊したくないので柔らかいささ身を一緒にしました。つぶして平らにして薄く片栗粉をまぶしたので、お澄ましと言っても少しとろみがついたお吸い物です。

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 お出汁が決まっていないと話しになりませんね。お澄ましというのは味を決めるのが難しいです。鰹出汁が甘味を含んでいるので味醂を入れませんので、塩、酒、醤油のバランスだけです。これを味見しながら作るのは非常に難しいです。微妙な味加減なので、何度も味見するうちに段々濃くなってしまうものです。少し薄いかなと思うくらいがお澄ましとしては上品にできます。レシピは私の黄金比ですが、この繊細なお澄ましをぴったり計量したとしてもお醤油の濃さや塩自体の味も微妙に関係してきますので、これこそ目安としてです。

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 昨日は、畑の下の崖(参照☛)に自生する三つ葉がちょぼちょぼ葉を広げ始めていたので、少しだけ摘んできました。自然の三つ葉の香りはとてもいい香りです。一雨降ればにょきにょき伸びて、育つのが早くなります。それを30cmくらいになるまで待っていると、茎や葉がしっかりして炒め物や卵とじにするがおいしいのです。待ち遠しくなりました。この調子だと、今年は幸先がいいかもしれません。

材料

  • 筍の姫皮・・50g
  • 鶏のささ身・・2本
  • 片栗粉・・小さじ2
  • 三つ葉・・適宜

澄まし汁の黄金比

  • 鰹出汁・・600cc(レシピ☛
  • 塩・・3g
  • 淡口醤油・・2cc
  • 酒・・3cc

作り方

  1. 鰹出汁(昆布の水出汁を加えると更にグー:レシピ参照のこと)を取る。
  2. ささ身は筋を包丁で抑えながら引き抜いて一口大に切り(一人三切れが目安)、軽く塩を振って(分量外)肉叩きで(無ければコップの底など)薄くのばして片栗粉をまぶす。
  3. 鍋に鰹出汁600ccをたぎらせ、2のささ身を一枚ずつ加えて1~2分火を通し、姫皮を加えて再沸騰したら調味料を加えて味を調える。
  4. お椀に注ぎ分けて三つ葉を散らして出来上がり♪

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