2009-05-15

山蕗の油揚げと高野豆腐の含め煮:畑に学ぶ

P5130009  畑でのお話し、まだ続きます。
 山の中腹の細長い畑を丁度二つに分けるように、真ん中に大きな柿の木があって、その柿の木の真下にも一段、細長い畑もうちの畑です。柿の木の下には上手い具合に木陰ができるので、時々ここで昼寝などするのですが、今年はこの木陰に沢山の山蕗が育ちました。毎年同じ場所に自生しますが、蕗の薹があまり出なかった年は、蕗も育ちが悪い年に当たるようなので、去年よりは今年の方が豊作という印象です。その蕗が沢山生える時、蕗の大きな葉の下に、その木陰で、湿り気のある場所を選んでいるかのように三つ葉が自生します。いい連鎖をしているのだとすぐにわかります。今年蕗が沢山生えて、だから三つ葉も良く生えるということです。柿の枝は随分切り落としたのですがね。
 昼間の日差しは強いので、朝早めにこの崖に行って蕗を沢山採ってきました。あの長くて大きな水蕗と違ってずっとアクが強く、根元にナイフを入れると蕗の香りが直ぐに漂ってきます。できるだけ長さを揃えて大き目のから採るのは、小さめのが育ってまた次の楽しみのためです。それと、長さがそろっていた方が料理しやすいというのもあります。山蕗は大きくなっても40cmくらいまでですから、この辺の人達は、短く切り揃えて伽羅蕗(きゃらぶき=佃煮)にすることが多いようです。(私のレシピ☛

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 家に持ち帰ったら直ぐに水に放って、アクによる変色を避けます。大きな鍋に水を張って沸かしながら、まな板の上で塩で板擦り(いたずり)します。何本かまな板の上に置いて全体に粗塩をかけまわして、両手の平で蕗を押さえつけながら転がします。蕗から水分と一緒にアクも出ます。このまま沸騰したお湯で茹でてアク抜きします。二度茹でするので一度目は、再沸騰したら三分ほど茹でて水に放ちます。水蕗の場合はここまでが下処理で、この後出汁で煮て味付けしますが、山蕗を煮物にする場合は、このままでは非常に苦いので、皮剥きしてからもう一度茹でこぼします。
 私が山蕗を煮物にして食べるようになったのは、ここ3~4年のことで、それまでは水蕗ばかりでした。その太い水蕗の皮剥きでさえ昔は、面倒で面倒で仕方ありませんでした。当時、お店でこの細い山蕗を見ると、良くもこんなに細い蕗の皮を剥いて煮物にできるものだと、美味しいよと話してた近所のお婆様の根気の良さに脱帽でした。その私が、こともあろうかこの山蕗の皮を丹念に剥くようになろうとは、その頃は予想だにしていなかったことです。
 昨日も皮剥きをしながら、その昔の自分を思い出していたのですが、何故、今この気の長い作業が平気でできるようになったのかと、改めて自分の変化に驚いたのです。私の母にこの話をすると「あんたも歳取っただけじゃないの」とサラッと言われそうなことです。年取をとったからかとは思い難い事です。自分がそうだと自覚できないので良く分かりません。山から一本一本選んで取っている時のあの茎にナイフを入れた瞬間の香りや、間を縫うように自生する三つ葉に遭遇できるというような嬉しさをもらっているので、愛おしさを蕗に感じているというとちょっと大袈裟に聞こえますが、きっとそうだと思います。山の風景や来年の事などを思いながら皮剥きをしていると、あっという間に終わってしまうのです。どれくらい時間をかけたかも自覚にないようなあっという間なのです。

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 二度茹でこぼしても山の蕗は魅力的な香りがします。そして、実が透き通った感じがなく食感もしっかりしています。鰹出汁とお醤油と味醂だけで味付けしますが、蕗に味を染み込ませるというよりも、高野豆腐にたっぷり染みこませたお汁を一緒に頂くのが美味しいです。コクをつけるのに、油揚げを短冊に切って入れるのも悪くないです。実は、栄養士さんから言わせると、煮物や味噌汁に豆腐と油揚げを組み合わせるのは、同じ豆腐なのでナンセンスなのだそうです。ええ、説明はわかっていますし、道理も良く理解できます。が、美味しく頂こうとするのとは別ですからね。毎度の事ではないので、そこらへんな大目に見て、と。
 さあ、美味しい鰹のお出汁を取って、蕗の煮物を作るとこにしましょうか。

材料

  • 山蕗・・500g(下茹でしたあと皮を剥くと約350g)
  • 高野豆腐・・4枚
  • 薄揚げ・・2枚
  • 鰹出汁・・400cc
  • 淡口醤油・・60cc
  • 味醂・・40cc

作り方

  1. 高野豆腐をボールに置いて、熱湯を300ccまわしかけて蓋をして最低30分、このまま戻す。
  2. 蕗がそのまま入る大きな鍋にたっぷりお湯を沸かす。
  3. 水に浸けてあった蕗を笊に取り、水気を切り、5~6本まな板に並べて粗塩を小さじ1(分量外)振って両手で転がして5~6回擦る。
  4. 蕗から水が出たらそのまま新聞紙などの上に置き、蕗を全部板擦りする。
  5. お湯が沸騰したら4の蕗をそのまま入れて茹でる。再沸騰してから3分ほど茹でたら茹でこぼし、たっぷり溜めた水に放つ。
  6. もう一度同じ鍋にたっぷりお湯を沸かす。その間に、5の蕗の付け根の部分から皮を剥く。(包丁の刃を浅く引っ掛けるとやりやすい)
  7. 沸騰したお湯で皮を剥いた蕗を茹で、再沸騰してから5分茹で(白い泡はアクなので掬い取る)、茹でこぼして水に放つ。
  8. 蕗が冷めたら4cmの長さに切り揃える。
  9. 油揚げを湯通しして余分な油を払う。
  10. 油揚げの長い幅を3mm幅の短冊に切り、高野豆腐も水分を切らずに引き上げたら油揚げと同じように短冊に切る。
  11. 平鍋で鰹出汁、切った蕗、油揚げ、高野豆腐を一緒に、沸騰後5分ほど中火で落し蓋をして煮る。
  12. 鰹出汁が充分染み込んでから、淡口醤油、味醂を加えて落し蓋をして、さらに5分煮て火を消す。
  13. このままでも直ぐに食べられますが、しばらく置いて冷まさすと味が染みこんで美味しくなります♪

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