茎若布の佃煮:春のこの時期ならでは
すっかり春めいてきた諏訪です。一方、東京地方では初夏の陽気だと聞いて、先週息子の大学の入学式で満開だった桜のことを思っていました。
当地の桜はといいますと、とっても開花にばらつきのある土地柄と言いますか、高原での標高差の100mというものがどれほど違うかというのを、花の開花が正直に物語っています。ジョギングで訪れる立石公園では、本当に小さな蕾で、遠目に見ると、枝全体が赤く色づいているだけですが、諏訪湖半の日当たりの良いところでは3分から5分咲きです。まあ、開花の違いを追いかけて歩くのも楽しいものです。
それと、今年は異常なほど「ユスリカ(ウンカ)」が多く発生している感じがします。理由はよくわかりませんが、諏訪湖半の道路や壁の色が変わるほどです。私の住む場所は、湖畔から2kmほど離れた少し高台にあり、例年なら、オオユスリカはさほど飛んでこないのですが、今年はかなり多く見かけます。
昔のことを思い出したのですが、東京から始めてこの土地に来て、ホテルに泊まった時、暑いので窓を開けて外出から戻ったら、部屋に大きな蚊の大群がいて、フロントに緊急電話したところ、逆に「窓は開けないでください。」と注意を受けたことがありましたっけ。窓の横に「解放厳禁」の大きな張り紙があったのに、逆に大き過ぎて目に入らなかった程でしたが、他所から来た人は誰でも驚くのは間違えなしです。こんなところでオオユスリカの自慢をしてもなんですが、来諏の折には、お気をつけくださいね。
さて、この春を待っているのが、若布です。魚屋さんに行くと、必ず「生若布」の出物が目に入ります。青々とした鮮やかな色に釣られて、つい衝動的に買いたくなります。昨日の姫筍と一緒に「若筍煮」もよかったなと、内心、後悔の念が過ぎりましたが、今日は、変わったところで、若布の茎の太い軸の部分だけを買ってきました。お惣菜などに良くある佃煮の再現をしたくて、お醤油で甘辛く煮てみようかと思います。あの独特の甘さは、あれはお砂糖甘い感じですが、毒々しいともいえるほど甘辛く、これがまた憎いほどご飯によく合いますね。あれです。あれを作ってみたくなったのです。以前、煮物を作るのにそう言えば使ったことがあったっけなと、これです☛。
当然、作る前からわかっていることですが、買ったものの色は、食紅の緑を入れているはずです。家で作る時は加えませんから、そこでこの料理の課題になるのは、若布の鮮やかな色を出来るだけ残すにはどうしたらよいかです。長く火にかけなければ残せるのですが、長く煮ないと佃煮になりません。今回の出来栄えも、大して素晴らしい色だとは思えませんが、これでも最小限の加熱に抑えたと思います。
まず、出汁と調味料を合わせて鍋で煮つめます。最終的には、蜂蜜よりも少しゆるい程度の粘りに仕上げました。塩蔵の茎若布は、塩を抜く為にしばらく水に浸して塩抜きします。薄くスライスして味見をして、塩気がなくなっていたら水から上げます。次に、全て1mmの厚さにスライスします。これを最初に作っておいたタレと一緒に煮ます。中火で約10分程で煮汁が無くなってきますが、色を残すためにフーフーと、息を吹きかけながら混ぜて、全体に空気を当てます。煮汁がすっかり無くなったら出来上がりです。
簡単に作れますが、色は期待したほど鮮やかではありませんね。でも、味はというと、鰹出汁の風味と醤油の香りが若布の磯の香りと一緒になって、ご飯が美味しくなりました。できれば、ここに紫蘇の実の塩漬けなどがあれば、塩抜きして加えるとベストです。
昔、私が確か高校生で、お弁当だった頃、この若布の茎の佃煮を入れて欲しくて母に頼んだら、毒々しい色だからと嫌がって買って貰えませんでした。今はその気持ちが分かるのでこうして自分で作る気になるのですが、結構、執着していますよね、私。だって、美味しいんですもの。
材料
- 若布の茎の塩漬け(一番太い部分)・・300g
- 鰹出汁・・大さじ3
- 砂糖・・大さじ4
- 淡口醤油・・大さじ1
- 酒・・大さじ1
作り方
- 茎若布をたっぷりの水に浸して、塩気を抜く。
- 調味料を小鍋に取り中火で煮詰めて(約10分)、蜂蜜よりもやや緩い程度の飴状のタレを作る。
- 1の茎若布の水気をふき取り、1mmのスライスに切ったら2のタレと一緒に中火でかき混ぜながら煮る。
- フーフー息を吹きかけながら空気を当てて、煮汁が無くなるまで煮詰めたら出来上がり♪
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