太い牛蒡(ごぼう)と牛肉の煮物:霧が峰牛蒡の特徴:野菜に「す」が入るということ
どんどん暖かくなってきました。もう少し雨などが降ってくれるといいのに、と思っていた矢先に雪が降り始めて、乾燥気味の空気が爽やかになりそうです。火災やスギ花粉の話題もニュースを賑わしていることですし、幾分か助かります。
乾燥して暖かくなると、冬篭りと思ってたーんと準備しておいた大根や牛蒡にこれでは「す」が入ってしまいますので、どんどん食べます。
ところで、「す」が入るという事、うちの息子あたりは、きっと知らないのではないかと思うので特別に書いておきます。
「酢」じゃないのよ。根菜に多く見られるけど、越冬して春先になると良く起こることで、買うときも、買い置きする時も気をつけてね。中心部分がパサパサになってその部分がスポンジのようになってしまう状態の事を「す」が入るというのです。他には、茶碗蒸しを作る時に火が強過ぎると卵と出汁が分離して、ゴワゴワした状態になったのも「す」が入ると言います。大根にすが入ると、料理のしようがありません。パサついた大根は、水分を含ませれば戻りそうなものだけども、なりません。諦めてね。今までいろいろやってみたけど、いい方法がまだ見つからないのよ。その点、牛蒡は、実はこの辺で採れる特別な太い品種で「霧が峰牛蒡」と地元で呼んでいるものは、完璧に「す」が売りの牛蒡なの。普通の牛蒡でも、牛蒡だけは「す」が入ってもじっくり煮込むなどして、それなりに食べらるのよ。
まさかと思うでしょうけどこの牛蒡を見れば、家で食べた事を思い出すのではないかな。ほくほくした感じだったでしょう。
近くの霧が峰で採れる、太くて短い牛蒡があります。中には5cmの直径の太さもあって、「短足」と、私だけが名付けています。この短足牛蒡の芯の部分は外れることなく「ス」です。大きい割りにふわっと軽く、明らかに「す」が入ったものだとわかるのです。これをわざわざ選んで買う事もないと、ずーと無視してきました。数年前、通いつけの八百屋さんで「知らね~の?」と、馬鹿にされて、初めて興味が出た代物です。ここではよそ者ですから、教えてもらうばかりで得もしています。
さて、牛蒡のあく抜きは「邪道」ですから、始めから最後まで、どんなに煮汁の色が気になろうと、勇気をもって望んでみてください。出来上がりの色はあまりよくないですが、牛蒡の旨味は最高に味わえます。(わざわざこの牛蒡を手に入れなくても、買った牛蒡が「ス」入りだったらチャンスです。)
このお料理は、濃い目で、甘い味付けの方が美味しいです。砂糖甘いというよりも、味醂で甘味をつけたほうが上品な甘さになります。間が抜けた感じの甘さでは牛肉と牛蒡の相性を悪くします。
材料
- 霧が峰牛蒡・・2~3本(なければ普通の2本)
- 牛肉ばらスライス・・200g
- 鰹出汁・・適宜
- 醤油・・大さじ4
- 味醂・・大さじ5
- 酒・大さじ2
作り方
- 牛蒡をタワシで洗って3cmに切るだけ(真っ白になるまでこすらない)。
- 平鍋に牛蒡の切り口を上にして並べる、ひたひた位に鰹出汁を入れる。
- アルミフォイルの落し蓋をして、中火で水が半分位になるまでコトコト煮る。
- 竹串がスッと入るくらいに柔らかくなったら酒、醤油、味醂を入れ、途中上下を箸でひっくり返す。
- 鍋底でプチプチ音がして煮詰まってきたら、牛肉スライスをクルクルッと2~3回巻いて牛蒡の上に乗せ、落し蓋で2分。
- 牛肉の赤みがなくなってきたら火から鍋を下ろし、鍋をあおる。
- 牛蒡と肉が煮汁と混ざり合うように大きく上下させて出来上がり♪
勘所
材料が軟らかく煮えてから味付けする。
牛肉は、色が変わる程度で肉の旨味と、食感が最高点なので、長く煮すぎないようにご注意。
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