かきひき大根「残したい 伝えたい 諏訪の味と食文化」より:大根の素朴な炒り煮
長野県は「教育県」と呼ばれていたというのは戦前の話ではないのかな?という疑念はあるのですが、人は「昔はそうだった」と言って、今でも誇らしげにする部分なのだと感じます。他県から来た私には、生活の中での実感は残念ながらありません。長野県がそうだったのは遠い昔の事で、戦後はその誇りを固持できるような精神もなく、徐々に薄らいでいるにもかかわらず、人が「長野は昔は教育県」と言うのは、古にしがみついた薄っぺらな部分だけのように感じます。腐して申し訳ないのですが。
2002年に田中県政によって、教育に梃入れのような改革を試みたという節もあります(☛信濃毎日新聞)。その辺りを前後して、「箱物」とも言われていますが、市内にも美術館や展示館などが建てられ、温泉地という事もあって、市の財政を活性化させようという向きもあったと思います。そして、問題が出てきて見直しをしようというところで政権交代となり、康夫ちゃんは国会議員を目指したのですが。その後私も、情報から遠ざかってしまった気がします。
この土地の事を知るという意味で、暇を見つけてはぶらりと資料館などを訪ねていますが、先日行ってみた工芸館に付属している食べ物屋さんで、「諏訪の味と食文化」という冊子を見つけました。語り伝えられずに姿を消してしまう、田舎の食文化を残したいという気持ちがこもっているのを感じます。私にとっては嬉しいことに、知らない食べ物が満載です。この土地ならではの呼び方の物や作り方が、なんだか優しく気取らない感じで書いてあります。
その土地の文化や教養を伝承するというのは、このような人目に着くか着かないかのような小さなものにその願いが凝縮されているように思います。
物がなかった時代に、様々な工夫をしておやつにしたという「おかるこ」は、米選機で出たくだけ米で作り、「やこめ」は、苗代の種もみで作るそうです。今では、このような材料さえ手に入りそうもありません。そのことにも触れながら、他のもので代用して作れるようにレシピに書かれています。
沢山紹介されている料理の中から、今日は素朴な「かきひき大根」という、大根の炒り煮を作りました。
祖母が煮てくれた、この大根の味がわすれられなくて、秋になるとこの料理を作ります。※ちくわ。さつま揚げ、油揚げなどをいれるとおいしい。(昔はいれなかったが)。
と、添え書きがあります。大根をピーラーで皮を剥くように削った物を炒めて味付けするだけです。材料にカップ1の水を加えるように記してありますが、結局入れるのをやめました。夏大根と違って冬大根は水分もかなり多いので、その違いだと思いますが、作っている最中、大根から沢山水分が出たので、大根が柔らかく煮えるのに充分な水分量だと判断しました。
他はレシピ通りで、作り方もそのままです。鍋を火にかけてから15分くらいで出来ます。大根だけで作ったせいか、始めの量の半分くらいの嵩になって、その分味も凝縮され、素朴で大変美味しいです。あっという間に1本分の大根を平らげてしまいました。
材料
- 大根・・1本(850g)
- サラダ油・・大さじ1
- 砂糖・・大さじ2
- 醤油・・大さじ2
- 削り節・・1/2カップ
作り方
- 大根は、皮むきでむくように削っていく。
- 鍋に油を入れて大根を炒め、水を加えてから柔らかくなるまで煮る。
- 分量の半分の砂糖を入れ、5分程煮てから残りの砂糖、醤油、削り節を加え汁がなくなるまで弱火で煮る♪
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