ハタハタのから揚げ(秋田県):から揚げの極意の上級編(捌き方)
悲鳴をあげているのは、ハタハタのから揚げ。秋田音頭で知られる有名な下りに『コラ、アギダメイブツェ、ハヂモリハダハダ、オガデオガブリゴ、ノスロスンゲイ、ヒヤマナッドウ、オオダデマゲワッパ♪』というのがあります。正確には、掛け声の部分です。そう、何て歌っているのかわっかりませーん。ですね。実はこう、『コラ秋田名物八森鰰々(ハタハタ) 男鹿で男鹿ブリコ 能代春慶(しゅんけい)桧山納豆 大館曲わっぱ』と、文字にすると地名とその地の名物を歌っているというのが分かります。(八森:はちもり、男鹿:おが、能代:のしろ、桧山:ひやま、大館:おおだて)こんなこと知ってどうなるものでもないのですが、秋田と縁あって、
この3年間で数十回は行ったりきたりを繰り返してきました。その度に、珍しい食べ物をつたない調理でここに紹介してきましたが、ハタハタと言う、ま、雑魚(ざこ)と言われてもいいのではないかと思われる小さくてぬるっとした魚が、驚くほどに美味しいのです。「しょっつる」と呼ばれる漁醤もこのハタハタを塩漬けして発酵させて作ったものですが、非常に塩辛く濃厚で、すごい旨味を湛えた調味料があるくらいです。
このハタハタは淡白な白身ですが、小骨が少なく、焼いても煮ても、揚げてもその身離れのよさが食べやすい魚です。ほろっと中骨から外れた白身は口の中で解けてしまうような柔らかさです。大きな頭と口は上向きに反り返ったような姿で、から揚げにすると、そのまま口をあけて登っていくかと思うような格好になります。体の割りに胸ビレが大きく、海底の砂地に潜ると言われるだけあります。揚げると、この胸ビレが羽根のように広がって、その格好も間が抜けていて、可愛い虫のようです。
せっかくのハタハタを丸ごとゴチになるために、中骨にもしっかり火を通して、カリカリと一緒に丸ごと食べてしまいたいので、下ごしらえに力を入れます。そう、「魚のから揚げの極意」(☛参照)で、話したように、面倒臭がらないってのです。かなり骨が硬いキスでも、この方法なら丸ごと食べられるので以前にも紹介しました(☛レシピへ)。実は、この捌き方は、自分で思いついたので、自分の方法と思っていますが、本当は、このような方法が既にあって、呼び方もあるのではないかと思い、探してみているのですが分かりません。何と呼べばいいのでしょうね。この件は、おいといて、で、背ビレに沿って、中骨より少し深い部分まで包丁を入れ、頭の付け根から尻尾の辺りまで、切込みを入れて開きます。ここで問題なのが、内臓とエラですが、「壷抜き」という方法ですっぽり抜き取ります。やり方は、箸をもつ反対の手でハタハタの腹が見えるように順手で握り、大きく口を開いて(さなかの口、貴方のじゃないよ)、エラの外側を通して、胴体の方まで箸を突っ込みます。
ここでしっかり挟んで魚を回転させます。一周半くらい捻ると、挟んでいる箸がふっと軽くなり、エラが外れたなと、直ぐに直感できます。ここで一気にゆっくり引き抜くと、内臓とエラがすっかり取り出せるという、超カッコイイでしょ。この時に、ちょっと気をつけてほしいのが、護身用にエラ蓋に鋭い棘(とげ)が突き出してきます。これに指先を刺さないように要注意です(左下の画像)。これで、見た目には何の損傷も無くきれいな一匹の魚という風です。この後は「から揚げの極意」のセオリー通りに、3%の塩水で洗ってキッチンペーパーで水気を吸い取り、空気にしばらくさらします。因みにお絵書きで、右手の順手を書きましたが、分かるかな?
軽く小麦粉を振ってと言われる前に、軽くしか付きませんので安心して小麦粉に魚を投じて、口の中、開いた背側の内側にもまぶし、後はサッと払うだけで揚げます。油はたっぷり用意する必要はなく、魚の半身が出ている程度の量で、背側を下にして八割方揚げた後、仕上げに腹側を揚げます。揚げ時間は、全部で7~8分くらいです。これで、中骨までカリカリに揚がるので、かなり短時間で出来上がると思います。
できれば「あぎだのハダハダ、たべでけれ。」なんですが、どうでしょうね、長野のここで入手できるのが奇跡のような話でもあるので、ここより以西では難しいのでしょうか。ここに壷抜きと背中両開きして揚げる方法を書いても無駄でしょうか。この病気が進行している方は、キスや鰯(☛レシピへ)でもできるので、いつかのために練習されてもよろしいかもですね。
材料
- ハタハタ・・5尾(13~14cmサイズ)
- 小麦粉・・大さじ2
- 3%の食塩水・・500cc
- 揚げ油
作り方
- ハタハタの背ビレに沿って中骨の少し置くまで頭から尻尾まで包丁を入れ、切れ目を入れる。
- 箸をもつ手と反対の手にハタハタの腹が見えるように順手で握り、口の中の両側のエラの外側に箸を差し込んでエラと内臓を挟む。
- 魚をもっている手をゆっくり捻って、エラが外れたらそのまま引き抜く。
- 塩水で洗って、キッチンペーパーで水気をふき取り、空気にさらして少し乾燥させる。
- 油を180度まで上げる間に、4のハタハタに小麦粉を振り、余分な粉を払っておく。
- 粉が馴染んだら、背側を下に八割方揚げて、裏返して完全に油が静かになるまで揚げ、引き上げて油を切る。
- 好みで塩・胡椒・カレー粉などをまぶし、野菜などと一緒に盛り合わせて召し上がれ♪
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コメント
初めまして。
昨日、はたはたの唐揚げ作ってみたのですが、料理があまり得意で無いため、丸ごと揚げて失敗したので参考になりました。
このレシピで作ってみます。
二日連続だけど・・・。
投稿: 犬好き建築士 | 2009-08-04 14:39
犬好き建築士さん、はじめまして、こんにちは。
失敗して二日連続でから揚げと聞いて、自分の文章を改めて読みました。大丈夫かなぁ。
祈っています!
ぬるぬるしているので指先を切らないようにお気をつけください。壷抜きが成功すれば六割方できたも同然ですから頑張ってくださいね。美味しいですものね(^^♪楽しみです。
投稿: ゴッドマー | 2009-08-04 15:21
はじめまして。
母の実家が男鹿ので毎年大量におすそ分けされては冷凍庫の主に・・今までは塩焼きかしょっつる鍋に料理するだけでした。から揚げなら子供も喜んで食べてくれそうです。トライしてみますヽ(´▽`)/
投稿: ゆぃチャン | 2009-12-20 09:31
ゆぃチャン、はじめまして。
ああ、それは大変私も嬉しいです。おすそ分けで大量に冷凍庫にあるというのは、よくある光景ですね。早速レシピがお役に立つと嬉しです。
ところで、つい最近ですが男性がこのレシピで作られたようです。リンク先ですが、行ってご覧になったらどうでしょうか。キーワードは「包丁をよく研ぐ」のようです♪
http://plaza.rakuten.co.jp/candge/diary/200912180001/
投稿: ゴッドマー | 2009-12-20 09:42
こんにちわ。
石川産のハタハタが7匹で198円の激安だったので、見た目がチョット怖いですがから揚げにしたらおいしいよ!とのお魚屋さんの言葉を信じて買ってまいりました。
頭と内臓を既に取ってしまったんで、壺抜きはチャレンジしなかったのですが、今からまさにから揚げにするところだったので、中骨もしっかり食べれるようにちょっと背中に包丁入れてみようかなあと思います。
参考になりました!
投稿: ヒロリン | 2010-05-10 12:41
ヒロリンさん、こんにちは。ハタハタは、中骨が以外に硬いので、作ってみると分かると思いますが、捌きにくい事を克服すると、後で食べるときにきっと嬉しさと美味しさもひとしおですよ。
成功をお持しています。
投稿: ゴッドマー | 2010-05-10 14:42