虹鱒のムニエルに松の実の香りの甘いピリ辛ソース:海の魚が品薄の時は山の魚でね
年老いて半身不随になるということは、他人事ではないし、鏡を見て年老いたなどと戯言を言っていても、現実には来る時は来るものです。
実は、ご近所のお婆ちゃんが、数年前に脳梗塞で倒れて、大きな邸宅は長い間留守でしたが、今年の春、娘さんご夫婦と一緒にお帰りになったというご挨拶を頂きました。一時は車椅子で、かつて道端でよく話した元気な頃のお婆ちゃんとは別人のような、その変貌ぶりを受け止めるのがやっとの私でした。今まで触れていませんでしたが、私が結婚した時に、義母は既に半身不随で、言語障害を伴った重度の心身障害を患っていました。私の結婚は、この家庭環境を全て含めて、受け入れるということから始まったのでした。いえ、それが大変だったという話をしたいのではなくて、高齢化が進んで、少子化を伴っている今時では、私が経験してきたような事は益々起こりうると、そう思います。
夕方、このお婆ちゃんが娘さんと外出から戻ったのと丁度鉢合わせになって、お婆ちゃんとご挨拶したのは、これが戻られてから初めてでした。車から降りてみたら、娘さんの苦労話が始まりました。ここで言っている娘さんとは、65歳の方です。夫が幼い頃、よく遊んでもらった近所のお姉ちゃんだったと言います。不随だった足腰を在宅で7年かけて、今では歩くまでに介護し、訓練したと、そのようなお話しでした。太っていたおばさんを、食事療法で痩せさせる苦労があったとか。偉いなぁ。普通に偉いです。
このお話しを聞いて、自宅に戻った私はしばらく泣けました。なんだか、夫の両親に対して親身でなかったような自分を凄く後悔するというか。自分が忙しい事を言い訳にして、単に苦痛から逃げただけじゃないのかとか。自責の念をこのように感じるとは思ってもいませんでした。人間愛の軽薄さを嫌悪する自分が、実は、自分がそうだと思いたくなかっただけなのか。自分の本当の姿に、やはり触れずにはいられないのですね。このように振り返ってみると、見て見ない振りはできない事のようです。多分、自分に誠実に、真面目に生きていられたら恐れる事もなく、過去を懐古できたでしょうに。不誠実な自分を責めてしまうのですよね。後悔先に立たずといいますが、心底、後悔してみて自分の事がよく分かるのだと思います。
さて、話のつながりも全くありませんが、今日は、虹鱒のムニエルです。
最近魚屋さんに入る魚が少なく、鮮度も落ちているような気がして買い控えていましたが、虹鱒はこの辺で養殖されているそうで、かなり鮮度がよく、これから産卵を迎えるのか、そのせいでしょうか、まるまると太っていかにもでした。
虹鱒はもともとあっさりしていますので、塩焼きや甘露煮がこの辺のポピュラーな食べ方のようです。今夜は、内臓を取り除いただけで、丸ごとそのままで小麦粉をまぶしてムニエルにしました。ソースはちょっと変わったところで、スイートチリソースに、炒った松の実と昆布酢醤油を混ぜたソースはぴったりでした。香ばしくカリッと焼いた皮目に、そこにソースが絡むと、食欲がもりもり湧いてきます。酢醤油と松の実の組み合わせは、チヂミの時に使いますが(☛参照)、これにタイ産のスイートチリソースが混ざるとグッと深みと甘味が加わり、あっさりした白身にとても合います。最後に骨が一筋お皿に残るのが、満足印です。
余談ですが、魚の料理をすると夫が良く話すのは、昔は、長野県には海の魚なんて入って来なかった。あったのは塩鮭や味噌漬けの切り身で、それもしょっぱいのだったそうです。それもそうですよね。山に囲まれた長野で、山梨から高速道路がこちらまで抜けたのは、30年以上前の話でしたか。長野の人にとっては、海の魚は憧れだったようです。
魚があまり入らない昨今の燃料問題なども相まって、魚屋さん大変です。比較的入手し易い虹鱒など、如何でしょうか。
材料
- 虹鱒・・2尾
- 塩・・適宜
- 小麦粉・・大さじ2
- 揚げ油・・適宜
ソース
- スイートチリソース・・大さじ1
- 酢昆布醤油・・大さじ2☛レシピへ
- 松の実・・大さじ1
作り方
- 虹鱒の腹びれから切込みを入れて内臓を取り出す。
- 両面に軽く塩をして5分ほど置く。
- 塩気をふき取って、両面と腹の内側にも小麦粉をまぶし、余分な粉を落とす。
- フライパンの底が隠れるくらいの油を注いで、180度に温度を上げる。
- 頭を左に背側を手前にして並べ、色よく焼いたら裏返して火を通す。最初に焼いた側を盛り付ける時に表側にする。
- フライパンの油を切って、ふき取ったら、粗く刻んだ松の実を炒る。
- 香ばしい香りが立ってきたら火を止めて酢昆布醤油を加え、蒸気を飛ばしてからスイートチリソースにう移して混ぜ合わせる。
- 虹鱒にソースをかけて出来上がり♪
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
青島でスィートチリソース発見。スゲー高いけどさ。
年配の方で最近の塩鮭が甘口でどうもいかんという人がいますな。体の為には甘口の方が良いかもしれないけど、舌の記憶として昔の辛口塩鮭の記憶があるんだろうね。ちょっと前の日本ですら流通の関係上生鮮輸送が出来なかったから保存方法として「塩漬け」が主流だったのだから。
だからというわけじゃないけど、中国の田舎料理は妙にしょっぱい物も多いんだぜ。昔からの伝統だな。それで中国の田舎に住んでいる人は濃い味が好きなのかもしれないな。
投稿: QDtank | 2008-09-18 11:54
QDtankのとうちゃま、こんにちは。
へー、スイートチリソースが中国では高価なんですか?なんとなくですけど、タイは近いし、アジア価格というか、安いというイメージなんですけどね。日本でも、買う場所に寄るけど、メコンフーズは超なんでもスーパー安いですよ。1瓶300円代だし。
そう言えば、思い出したのが、「おばさん印の風味豆鼓」だけど、アレ、なかなか減らないです。辛いタレをつけて食べるような中華料理も最近はあまり作らなくなったかな。
あのおばさん印には笑えた。東南さんはどうしている事やら。後で行ってみますか。
そうそう、塩辛いものは寄る年波気をつけないと血管には良くないし、高血圧の元になりますね。タバコを止めたとか、で、太ったとか○| ̄|_
投稿: ゴッドマー | 2008-09-18 15:14