2008-09-20

新蓮根(れんこん)と手羽中の南蛮漬け:手羽中のジューシーで香ばしい揚げ方の特集:作家の澤地久枝と細谷亮太医師の対談から「お母さん力」について

 昨日、ラジオでNHKのテレビ番組を聴いていたら、「お母さん力」と言う言葉に感動を覚えてしまいました。この言葉を発していたのは、作家の澤地久枝さんでした。「何のために書くか」というのが、確かテーマだったように思いましたが、作家さんなどの足元にも及ばない私如きでも、こうして毎日書いているといろいろな事に突きあたるので、それはそれなりに、興味深く聴いていました。Hsawachi05
 彼女の話は、小児科医の細谷亮太との対談から始まっていました。途中をかなり略してしまうのですが、医者の待合室で、薬を飲めない子どもを叱責する母親の姿にいたたまれず、心臓をバクバクさせながら「子どもにそんな言い方をしてはいけない」と母親に忠告した時の話は、耳も痛かったのですが、共感もした話でした。昔はそうだったといいますか、新米ママは、ベテランママに叱ってもらって子育てを学んだものでした。そりゃ確かに、言われた時はカチンどころではない心境になることも良く分かります。だからこそ、心に残るのですね、そういった手痛い言葉というのは。で、どんなに腹が立っても、親として子どもが良い子に育ってくれるのならという思いで、心を入れ替えたものです。子どもの為にと思っていたことでしたが、実は、年月が経つにつれ、それは、自分の為だったのだとじんわり染みこんで、ありがたさに涙するほどです。
 厳しい言葉を受け止めようと努力することは、自分の受容力、つまり器を大きくしてくれる事なのですね。子どもの成長と共に母親というものは、いろいろな試練を子どもから渡され、超えていかなくてはなりません。そして、子どもを丸ごと受け止め、子どもの一番の見方になってあげないといけません。そうでないと、16_hosoya子どもを孤独な子にしてしまいます。家族がいても、姉妹がいても「天涯孤独」だと思い込んで、自らの命を絶ってしまう若い人が後を絶ちません。この澤地さんは、「子どもの一番の見方だということを子どもに伝えなくてはだめ。」と、放送の最後に言っていますが、薬を飲めない子のお母さんに「警察に行きましょう」と言われたそうです。理由は、人の事情に土足で踏み込んできたので、不法侵入だからだそうです。その薬が、子どもにとって必要な薬であるならこそ、お母さんは、それを愛情で子どもに伝えなくてはいけません。予防注射もそうですね。あれは、「痛くない」と子どもに嘘を言ったり、「ご褒美」で釣る問題ではないです。
 一方、この話を小児科医の細谷さんは、医者という立場は、お母さん達がもっとも言う事を聞いてくれる職業だとも言っていて、現場でも気になるお母さんというのは、それなりにいるそうです。作家は、街ではただのおばさんでしかない、と嘆く澤地さんをまるで労うかのように「もっとも言う事を聞いてくれる立場の僕が、その役目を引き受けます」と、話したことで、澤地さんはバトンを渡した安堵感を味わったかのようでした。
 良い大人になりたいものです。子育てが終わっても、それぞれの立場で、できることはあるのです。冒頭に話した「お母さん力」とは、母親はもっと心豊かになることでしょうか。この言葉は、もっと咀嚼していく必要のある、重みがある言葉だと感じました。

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 で、で、今日のレシピはですね。新蓮根と手羽中の南蛮漬けです。とにかくさっぱりします。特に蓮根のシャキシャキした歯ごたえと、下茹でした手羽中の裏技的テクで、短時間にジューシーで香ばしい色に揚げてしまいます。スーパー・ハイテクニックです。実は、前にご紹介した方法ですが(☛参照)、きっとこんな事は忘れているでしょうから、引き出しから出してきました。時々ローテーションしないといけませんね。(このような料理を作ることだって、実は、お母さん力に磨きをかけることだと思いますが。)
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 つまり、揚げる前に砂糖と味醂の入ったお湯でサッと茹でます。余分な油と水分が抜けて、表面に砂糖の味が残ります。茹で上げた後は、ゆっくり中に火が通って行きますので、大変ジューシーな状態になります。いいですか、これが大事なポイントなんです。皮に砂糖の糖分が残っていますから、直ぐに香ばしい色がつくのです。加えて、芯の方には幾分か火が通っていますから、短時間で揚げることが可能になり、ヘタに鶏肉の旨味を抜いてしまわないうちに揚がります。片栗粉をまぶす理由は、南蛮漬けのタレが染み込む様にするためですから、ほんのり軽く付いているだけで充分です。付けすぎると油がしつこくなります。ね、お分かりですか。
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 蓮根も手羽中も、揚げてよし酸味によしの食材であることは、言うまでもなく、南蛮漬けをここで思いついたのが運のつきと言いますか。とにかくつい、次への手が伸びてしまいます。手羽中の皮が香ばしく、そこに甘酢が染みこんで、あとでピリッと来る。ここでちょっとビールなどで喉を潤して、蓮根をシャキシャキいわせて摘んだら、やっぱり次は手羽中へ。この繰り返しですよ。お酒に関して私はあまり書かないのですが、って、そこまでお節介しなくてもいいと思っているのですが、今回はちょっと黙っていられなくなりました。日本酒でも、冷酒がいいかななどと思っています。我が家での次の宴会には、このお料理を登場させますよ。

因みに本家の「鯵の南蛮漬け」はこちらです☛

材料

  • 手羽中・・10本
  • 蓮根・・250g
  • 片栗粉・・大さじ2
  • 揚げ油

手羽先の茹で汁

  • 水・・500cc
  • 砂糖・・大さじ1
  • みりん・・大さじ1

南蛮漬け漬け汁

  • 米酢・・100cc
  • 鰹出汁・・30cc
  • 砂糖・・大さじ4(60g)
  • 塩・・小さじ1/2(2.5g)
  • 醤油・・大さじ1
  • 赤唐辛子・・2本


作り方

  1. 蓮根は皮を剥いて8mmの幅にスライスし、水にさらして直ぐに笊に上げ、キッチンペパーで水分を吸い取っておく。
  2. 小さなボールに熱湯を注ぎ、鷹の爪を軟らかくなるまで戻す。
  3. 鍋に手羽中の茹で汁を強火で沸騰させ、一気に手羽中を入れて再沸騰したら笊に上げ、キッチンペパーで水分を吸い取る。
  4. 南蛮漬けのタレをボールで作って、種を取り出して細く切った鷹の爪を漬け込む。
  5. 蓮根と、手羽中に片栗粉をまぶし、余分な粉は刷毛で落としておく。
  6. 鍋に揚げ油を注いで、170度に温度を上げ、蓮根は表面に色がつく程度に軽く揚げ、軽く油を切ってからタレに移し、両面に味付けしたら皿に盛り付ける。(あまり長く漬け込まない)
  7. 続けて、手羽先の表面の皮目を下にして揚げ、色づいたら裏返して両面を狐色に揚げ、蓮根と同じようにタレに通して皿に移す♪

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コメント

ヾ(@⌒ー⌒@)ノおはよう~ねえさん。
お母さん力!なるほど~。そういえば、日本のお母さん像というかイメージも希薄になってきたような気がします。ちょいと前までは「サザエさん」ちのフネさんだったりしたのですがwww。割ぽう着を着ている方も見かけなくなりましたね~。そうでした、手羽中の茹で方(汁)でしたね。うっかりしておりました。何度も見て、繰り返して作らねば!(*^-^)ゞ 敬礼♪

投稿: まるちゃん | 2008-09-20 07:27

まるちゃん、おはよう。
イメージも見た目のイメージを言うなら、今や20歳くらいの娘と一緒に歩いているお方は、お姉さん?って、聞いてあげると喜ぶようなお母さんばかりですよ。(大きな声じゃ言えませんけどね。言っていますが)
娘とお友達感覚って言うのが理解できませんけど、外見に表れるという事もありますね。子どもがいるとかいないとかには関係の無い、大人目線の話ですね、これは。

手羽中のから揚げはクリアーして、絡めるタレの工夫が楽しいですよ。実は。あまり凝っていなくて、超美味しいスーパータレの開発をしないとです。よろしく。

投稿: ゴッドマー | 2008-09-20 10:09

数年前、お風呂屋さんでの事。赤ちゃん連れの若い女性ふたりが、湯上りの赤ちゃんを扇風機の前に干すようにおいたまんまお喋りに花を咲かせてました。赤ちゃんは泣かなくなって青ざめてきたのですが、私がためらっていると傍のお婆さん数人があざやかな連携プレイでその子を再び風呂場に連れて行き、足元からじんわり温めて見事に赤ちゃんの血色をもとにもどしました。茫然とそれを見ている若いふたりに別の
お婆さんが目で注意していました。ただのおばさんも大したものです。ちょっと思い出したので...。

投稿: TOTON | 2008-09-20 15:43

TOTONさん、こんにちは。
あのー、びつくり。TOTONさんて、女性だったのですね^^;女風呂っつことは。失礼しましたー。

で、件の対談ですが、お医者様の言う事もきかなくなったらこの世は終わりかと。実は従兄弟に医者が二人います。最近は訴訟を起されるのでびくつく若い医者が多いと言っていますし、若い医者は、気づかない事ばかりだそうです。私は、澤地さんと同じような心境で、子ども達が少しでも救われることを望みますし、全く諦めの境地でもないのです。

それにしても、ただのおばさんだって、ただの通行人だって、我を忘れて人を助けるシーンと言うのはあります。とっさの場合だと多分私も海にだったら飛び込みますね。
よい場面に遭遇しましたね。貴重な体験ですよ、それは。

投稿: ゴッドマー | 2008-09-20 16:55

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