2008-08-03

とっておきのお箸を下ろす時には「ほやとキューリの酢の物」:斧折れ樺の箸について

 数日間、所用で埼玉辺りにいましたが、せっかくの遠出なので「斧折れ樺」で作ったお箸を捜し求めに行ってきました。
 秩父の駅から数キロ離れた人里に、昔のたたずまいの香りがする普通のお宅が、このお箸を作っている文字通り「はしや」さんでした。玄関先の土間の小上がりに箸が並べてあって、その土間との続きの奥の部屋や、隣の部屋は開け放たれていて涼しい風がよく通るお宅でした。奥からご主人が出てこられて、奥様が用意してくれた麦茶を頂きながらしばらくそのお話を伺うことができました。

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 この名前の通り、硬い樺材で作ったお箸なのでたとえ斧でも、その斧が折れてしまうほど硬いというたとえでこの名前が付いたそうです。実際に切り出したばかりの状態の木片を手にしたら、見た目の感じよりずっしりと重くて驚きました。20cmの角材でしたが、片手では持てないほど重かったです。で、疑問に思ったのは、こんなに硬い木をどうやって加工するかです。しかも、硬い木だからできるというこのお箸の先端の細いことです。この細い先端がざらつかずにどうしてここまでも滑らかな仕上がりになるのかです。言うまでもなく、先端が細いお箸は、実は大変使い心地がよく、ある程度重さがあると小さなものも掴み易いのです。作業場を見せて頂いて、またびっくりしたのが、大した機械を使っていないということです。機械で切り出した木はその後、殆ど手作業で鑢(やすり)かけで仕上げるそうです。高校を卒業してから40年間、このお箸作り一筋でやってこられたそうです。残念なことに、このお宅では後継者がいないそうです。
 手にしてみると分かるのですが、お箸というのは持ちやすい場所があって、その場所はお箸の重心で決まります。使い易い場所というのは、自分が決めるのではなく、お箸が決めてくれます。それが、名工の元で作られたきちんとしたお箸です。「あなたの思うままにうごきます」と、添えて書いてある通り、意のままに動きます。大切に長く使いたいので、一人一膳だけ買い求めました。

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 このお箸を下ろすのに相応しい、ストイックな食生活を打ち破る・・・というか、その反対か。食べたいわけではないけど、食べたことも料理したことも、触れたことも無い「ほや」(☛参照)の酢の物です。楽しみとは言えない代物で、お箸を下ろす時に相応しいとは、特に思いもしなかったのですが、印象付けとしては、抜群です。とにかくほやはなんとなく怖くて、手が出せずにいたことと、言い訳としては、「あんなもの別に食べなくてもどーっつことないわ」です。ただ、好きな人にはたまらないものらしいので、興味はありました。遂に、これに手を染めたかー。「魚料理いろは」(P104)を既にチェックして有りましたので、準備はOKよー。捌き方ですが、これまた可愛いのですけど、プラスとマイナスの口を持っているんですよ。この海水の取り込み口と吐き出し口の突起した部分のどちらかを切り取り、そこに包丁かキッチン鋏(はさみ)で切り込みを入れます。この殻の中には海水を含んでいて、その海水がまた、切った身を浸しておくと、一流のお味がするそうですから、必ずボールなどの上で捌き、決して海水を流してしまわないようにします。取り出した身を切り開いて内臓を取り出し、適当な大きさに切って、海水に浸します。スライスしたキューリを塩水に10分ほど浸して、よく絞り二倍酢で和えます。
 作ってしまえば、どうということもなくスムーズでした。いえ、ほんとうですてば。お味は、特にないのが「ほや」かしら?ちょっと鶏肉のような食感にも似ていて、味はないのですけど、海の香りが大変します。
 今回は、大変な取り組みになったものだと思いますが、絶対に忘れないことでしょう。

材料

  • ほや・・1個
  • キューリ・・1本
  •   塩水・・水200cc塩大さじ1
  • 二倍酢・・醤油大さじ1+酢大さじ1
  • 白煎り胡麻・・適宜

作り方

  1. キューリをスライスして、食塩水に浸しておく。
  2. ボールを用意し、その上でほやの突起している部分のどちらかを切り取り、そこを起点に包丁か✄を入れて切り開く。
  3. 指を奥へはわせて、中身をえぐり出し、剥ぎ取る。
  4. 身に切り込みを入れて開き、内臓をずべて取り出し、適当に小さく切ってボールに取った海水に浸す。
  5. 二倍酢を作る。
  6. キューリの水気を絞ってボールでキューリとほやを混ぜ、二倍酢で和えてから器に盛り付けて胡麻を振りかけて出来上がり♪

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コメント

ほや、手に入るかな~ヘ(゜▽、゜*)ノ ジュル♪
ねえさん、(*^o^*)オ(*^O^*)カ(*^e^*)エ(*^ー^*)リーー!素晴らしいお箸職人さんとお箸と出会われましたね。
海水で洗った貝はとっても美味しいですね。数年前、採れたてのナガレコをその場で洗って頂いたことがあります。感動しました。貝のあつかいも不慣れなもんで、勉強しなきゃ。
松花堂弁当の記事は届いたでしょうか?あいかわらず、トラバがよくわかってないまるちゃんです。(キ▼д▼;)トホホ・・BYまる

投稿: まるちゃん | 2008-08-03 11:02

まるちゃん、こんにちは。
ほやは、ほんとうに今の時期だけですよ。ってか、北陸の地域だから、もう既に遅いかな?調べてみてね。お箸もこれまた珍しいのです。全国に数名いるそうですよ。ほやといい、お箸といい。いい日でした!
お弁当のTBは届いています。きれいにお弁当ができていましたね。形って大事かもですね。箱を埋めるためでも何でもいいから、いろいろ詰めているうちに栄養も満点になるし。ちょっと目先が変わると嬉しいですね(ToT)/~~~

投稿: ゴッドマー | 2008-08-03 11:35

こんにちわ。そのお箸使ってみたいですね。
ただ、書いて良いか躊躇しつつ、お箸の筆おろしというのは
ことばとして奇妙に思うので指摘させてください。新しい箸をおろす、たぶんおろすだけでいいのでは...

投稿: TOTON | 2008-08-03 16:37

TOTONさん、こんにちは。
やっぱり変かしら?私もちょっと躊躇したのですよ、しかもタイトルなので。「筆を下ろす」という言葉の語源は正に筆から来ていますけど、辞書では「初めて物事を行うこと」と有るように、間違った使い方ということでもなく、何にたいしても始めての時は筆下ろしと言って、間違いではないともいます。ただ、この場合は、「箸」を「筆」と表現しているかのようで奇妙で紛らわしいですよね。タイトル変えますかー。

投稿: ゴッドマー | 2008-08-03 16:54

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