鰻の押し寿司
土用の丑の日(☛参照)に鰻を食べて、それをブログのエントリーにはしないよ。と、ずっと思ってきた私が、遂に今年は書く気になりました。と、言うのはですね、他所様で昨日、北 杜夫の小説「楡家の人々」を紹介していて、昔私が北を読みあさっていた頃の時代が懐かしくて一時的にタイムスリップしてしまいました。北はペンネームで、斉藤茂吉という歌人の次男に生まれ、自身は医者でもあり、昆虫をこよなく愛した青年のような純粋な人物です。と、私は思っています(☛参照)。
この北が書いた「楡家の人々」からは確かに日本の近代史というものが窺われ、昭和を生きてきた私から見える歴史がかなり新鮮に映る作品です。で、「読むのは難儀かもしれないけど、傑作だよ」と、添え書きしてあるのが奇異に思われました。とにかく自分が中心な考えですから、この一言は一体誰に向けた言葉なのかと思うのと、まさかに自分自信が感覚的に捉えられていない、何かの思い違いのような指摘にも感じてしまいました。そう、私の世代では疑いもなく、北が書くその時代なのです。それが、小説の中から飛び出してきて現実化してもおかしくないようなリアルさを浮き彫りにしてくれるはずです。この北の親父さんの斉藤茂吉が無類の鰻好きだったという話しで、何故か私が土用の丑の日に鰻食べ、そのエントリーをここに書くという普通の流れになってしまったのですね。昨日は、半日、北を読んだ頃のその昔の自分の、高校時代からの青春を思い出していました。
さて、その鰻ですが、酢飯に乗せてさっぱり頂こうと、押し寿司にしてみました。で、今回は手製の実山椒の佃煮(☛参照)を潰して、細かく刻んだ紫蘇の葉といっしょに酢飯に混ぜ込んでみました。普通鰻には山椒の粉をかけて頂きますが、実はこれまで山椒の粉が山椒のそれらしくなくて、「粉をまぶす意味が知れない」と半分無駄なことをしていると思いながらも、振りかけては不満でした。嗚呼、やっぱりいいなあ、おれっちの山椒。舌にくるあの独特の痺れ。それとあの香り。これが山椒というものですよ。
鰻がすっぽり寝かせてもじゅんぶんな大きさのパウンドケーキ型にラップを敷き詰めて、鰻の身のほうを底に当てて寝かせ、酢飯を均一にかぶせてラップで包みます。冷たく冷めた鰻は人肌に温めて、酢飯も人肌というのが基本です。温度差を作らないようにするのが美味しさの秘訣です。酢飯が少し茶色なのは、コクのある「玉砂糖」を使用しているからです。このお砂糖のよさは料理に直ぐに表れます。今年から使い始めていますが、黒砂糖にかなり近い状態の砂糖で、香りも大変黒砂糖似。この砂糖を混ぜたたパン生地は、一段と膨らみ、多分酵母と相性がいいのだと思います。
土用の丑の日の翌日に鰻のエントリーを見て、あららと思われたら、近いうちに鰻の押し寿司でも作ってみてくださいね。
材料
- 鰻の蒲焼・・大1枚
- 米・・2合
- 昆布・・5cm
- シャリ酢・・80cc(☛レシピ)
- 実山椒の佃煮・・大さじ2
- 紫蘇の葉・・5~6枚
- パウンドケーキの型
- ラップ
作り方
- 米は炊く30分前に洗って笊に上げておく。
- 普通に炊くご飯より一割ほど水を減らしてやや硬めに米を炊く(炊飯器の場合)。
- 実山椒は擂鉢で大まかに擂り潰し、紫蘇の葉は微塵切りにする。
- 炊き上がったらスイッチを切り、内釜にシャリ酢を一気に入れて、手早く混ぜ合わせる。
- 混ざったら飯台に移して人肌に冷ます。
- 3の山椒と紫蘇の葉を混ぜる。
- パウンド型にラップを敷いて、温めた鰻の身を下に敷き、酢飯を乗せてラップで包み、そのまま手の平で均一にしっかり押す。
- 鰻と酢飯が馴染むようにしばらく寝かしてから取り出し、ラップの上から2cm幅に切って皿に盛り付ける♪
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