新潟の「灰汁巻き(あくまき)」:粽(ちまき)
ここ2~3年、所用で秋田へ行くとことが多くなったせいか、当初のような軽いノリの旅行気分という感じは無くなってきて、むしろ、長野から新潟、山形、秋田県と移動する中でそれぞれの土地のことをもっと知りたいという興味が湧いてきました。そして、その土地の食べ物に出会えるのが、格別の楽しみになっているのは言うまでもありません。地元の人から情報を得て、目当ての物を絞って探したりもします。また、年配の方に尋ねると、昔の作り方など詳しく教えてくれたり、かえってそういう語りの中に興味深いことが沢山発見できるのです。因みに、今までの経験で培われたことは、「物怖じしないで話しかける」「知ったかぶりしない」という旅人に徹することです。
これまでにここでもいろいろな食べ物を紹介してきたかと思います(興味のある方は、カテゴリーの「郷土の特産品」や「郷土の料理」でどうぞ)。「遠くまで大変ね」とよく言われたりしますが、とにかくうちで、地方色豊かな食材を使った料理が食卓に上がるという極上の楽しみと、究極の食いしん坊だということが、遠出を厭(いと)わない理由なのです。
実は、今日のこの「灰汁巻き(あくまき)」は、この時期の限定というべきでしょうか、本当にタイムリーでした。と言うのも、軟らかい笹の葉が今、正に旬だからです。新潟の伝統保存食であるこの粽(ちまき)は、秋田でも見る粽と同様に、米の産地では笹や竹の皮でもち米を包んだ粽(ちまき)を保存食という形で引き継いできたようです。アルカリ性の灰汁で雑菌を抑えて、笹の防腐作用が見事に長期保存に耐えるという昔からの知恵です。このことが未だに残っているということは、現代でも充分それが通用する方法だという証明になっていると思います。感動しました。
形はだいたい三角すいで、包み方は土地によって微妙に違うのですが、どの包み方も中身が出ないようにきっちりと整った包み方で、手先の精巧さがうかがえます。黄色い色は、木を燃やした後の灰を水に溶かして、その灰汁(あく)に餅米を浸けて充分吸い込ませたあと笹で包み、更に灰汁を溶かした水で2時間ほど茹でるからだそうです。この工程を経た餅米は、米粒の原型が無くなり、光沢のある艶がついてつるっとした感じになって、食感はぷりんと、もっちりになります(ちょっとうまく言い当てられません。難しい!)。灰汁と笹の葉の香りがほんのりして、なんだか心癒されます。「これ一つに一体どれ程時間をかけて作ったんだろうか」と、作る場面を創造しながらゆっくり噛みしめて頂きました。
実は、自分で一度作りたいと思っています。いつか機会があったら必ずやここにレシピのエントリーとして戻って参りますので、それまでお楽しみに。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
お久しぶりです。忙しかったのと精神的に情緒不安定でずっとブログを小休止しておりました。やっとブログめぐりでもしようかなという気になって伺ったら、移転の記事が出ていたのでびっくりしてこっちに飛んできました。
ずっとご訪問できず、不義理をしてしまっていましたが、これからもよろしくお願いいたします。
この記事見てまた新潟に行きたくなってしまいました。とはいえ甘いものは苦手なんですけどね^^;
投稿: tomo | 2008-06-19 14:19
tomoちゃん》 久しぶりですね。
元気を取り戻したそうでよかったね。生きているといろいろありますよ。私も引越しがこんなにはやく決まって、さっさと動いたことに正直驚きでした。これも周囲の方の助けがあってもことと、感謝しています。ここが最後の墓場になると思います。Yahooからの記事ももう少し手を加えて綺麗に整理しながら編集作業を進めています。お気づきの際は何なりとご指摘くださいね。
また、元気を出して一緒にやっていようね(正直、tomoちゃんのブログ閉鎖するのかと思ったこともありましたよ。)
因みにこの粽は全く味がついていませんよ。餅米そのものです!
投稿: godmother | 2008-06-19 15:39
godmother様、思わずコメントしてしまいました!
先日、この新潟の粽を始めて食する機会がありました。「黄な粉&お砂糖をつけながら食べる」という説明書が入っていたのですが、godmother様はどのようにして召し上がりましたか?
(私はお醤油をつけて食べてしまったのですが・・・もちもちして美味しかったです♪)
私は関西出身なので、ほんのり甘~い細長い粽しか知りませんでした。。
投稿: 迷える三十路 | 2008-06-19 21:50
迷える三十路さん》 あああ、それはどうも。(思わず叫び!)そ、そうです。お砂糖の入った黄粉です。それも「青黄粉」といって、青大豆で作ったのが上品そうです。お醤油でも、砂糖醤油でもいいのかもしれませんね。何もつけなくてもそのままでも、味わい深いと思いましたよ。細長い粽は食べたことが無いので、それもちょっと興味ありです^^;
そう言えば、はてなでもコメントを下さった「迷える三十路」さんですか。もしそうなら、ここへも来て貰えて嬉しいです。これから、ここが楽しいサローンのような楽しいたまり場のような感じなるといいなと思っています。忌憚無くコメントしてくださいね。
投稿: ゴッドマー | 2008-06-20 08:34
あっ粽だ(・∀・)福島でももち米だけの粽です〜でも灰汁は使わないな!笹の殺菌力頼み?です。形も三角錐ではなく三角おにぎり形、粒々感も残る感じ。
夫に初めて食べさせたときビックリしてましたよ。東京人の夫にとっては「中華ちまき」が端午の節句の粽だったらしく…。
先日、田舎の友人母から届いた粽を息子がガブガブ食べてました!田舎では「青きな粉+砂糖」「マヨネーズ+醤油」が主流でした。
そうそう、転居おハガキ出しますね〜いろいろあり遅れてました(T-T)
投稿: ヘビメタ母 | 2008-06-20 09:48
ヘビメタちゃん》 以前、秋田の粽の件で、マヨネーズ醤油のお話していましたね。なんと、本日のレシピは(次ページ)、そのマヨネーズです。粽を食べている時に、思い出していましたよ!
ゆっくりでいいですよ。催促したというわけでも無くて、なんか新宿って聞いてどこら辺かしらと想像していました。
投稿: ゴッドマー | 2008-06-20 12:28
Godmotherさん、覚えて下さっていて嬉しいです。はてなブログから楽しく拝見していました。
こちらに移られる経緯も拝見しました。心無いことをする人がいるものですよね・・。
あまり気になさることなく、どうか、このブログを続けてくださいね!
これからもこちらのブログに遊びに来させていただきます。素敵なSalonのように、楽しくも、とても勉強になります
投稿: 迷える三十路 | 2008-06-23 11:19
迷える三十路さん、あったりー!でしたね(^^)v
いろいろお見苦しい部分を晒してすみませんでしたね。ここは快適です。殆ど問題が発生しませんから伸び伸びします。
ええ、こちらこそよろしくお願いいたしますね。
投稿: ゴッドマー | 2008-06-23 12:44