蕗と高野豆腐の炊き合わせ:諏訪の山蕗
【マーガレット】
ちょっと肌寒いなと、連日の雨でいいお湿りとは思いますが如何せん寒さが舞い戻ってしまったここ数日です。この恵みの雨がくるちょっと前に、あまりにも乾燥が続いたので、畑に蒔いた種のために大きな如雨露(じょうろ)で水を4回くみ上げました。畑から下の道に下りて、そこからまた少し道を下ったところから角間川まで降りて水を汲むので約70mくらいの落差です。この往復でひどい筋肉痛に見舞われてしまって、寄る年波、先の不安を感じました。近くの畑のおば様達は、「雨に任せて水などは運ばない。ダメならダメでまた蒔けばいい。」と、仰るんですが、それも自分に無理をしない生き方ということでしょうね。これに抵抗というほどの感情は湧きませんが、ひたすら自分に、「あんたはこれを何歳までやるの?」と自問自答をしているという、とほほな話です。
この畑の土手に山蕗が毎年採れます。春先に蕗の薹を頂いた場所です。実家の両親が蕗の佃煮を楽しみにしているので、先日、真っ先に採れたてを送りました。葉も佃煮にするというのですから、私にしたらちょっと、えっ?な感じです。葉まで食べちゃうのー!なのですが、身近にないとついそうなるのは私も同じなのでよく分かります。見方によってはセコクなるといいますか。でも、そうやって、自然の恵みをありがたく、無駄をしないで頂くというのが礼儀だと思います。
うちで食べるのは、蕗の佃煮(伽羅蕗=きゃらぶき)か、薄い下地の出汁で炊き合わせにします。山の蕗はあくが強いので苦いですが、この苦味がそもそも旨味という、大人の味ですね。水蕗と違って、細胞が細かいというか、非常に目の詰まった食感で、シャキシャキというものとはちょっと違います。サクッとほろ苦い山の蕗と、とびっきり美味しい鰹出汁で煮浸し風に作ります。
山蕗の赤ちゃん茎は産毛(うぶげ)で覆われていますので、まな板の上で塩をまぶして板擦りをします。そのままたっぷりのお湯で10分茹でて、茹でこぼしてから水に取り、硬い皮を剥きます。水を取り替えて1時間ほどあく抜きしてから味付けをします。味付けはあっという間で、熱湯で戻した高野豆腐と一緒に出汁で一煮立ちしたら、醤油と味醂で味付けします。味加減は好みですが、今回はおひたしの割合で作りました(☛レシピ参照)。出汁10に対して醤油と味醂がそれぞれ1です。5分ほど中火で煮たらそのままでも食べられますが、ゆっくり冷ますと味が染み込んで、いい感じの田舎の山菜料理と言えます。水蕗しか知らない人にとっては、苦味の点でびっくりするでしょうけど、もしもこのような味付けの蕗に遭遇するようなことでもありましたら、よく褒めることですよ。私が自分の蕗の煮物を褒められたら、この人は「通」だなと、多分もっと通好みのものが出てきますよ。
参考料理⇒☛蕗とお麩の炊き合わせ
材料
- 山蕗・・400g
- 高野豆腐・・4枚
- 鰹出汁・・500cc
- 醤油・・50cc
- 味醂・・50cc
- 塩・大さじ3
- 大きな鍋にたっぷりのお湯を沸かしながら、大体蕗を3回に分けて板擦りする。
- 葉を取り除いた蕗の1/3に塩大さじ1をまぶしてまな板の上で水気が染み出てくるまで板擦りする。
- 板擦りが終わった蕗を沸騰したお湯に入れて、再沸騰してから10分茹でて水に取る。
- 根元の方から包丁と指先で皮を挟んで筋を引き、たっぷりの水に浸して1時間あく抜きをする。途中一度水を替える。
- 高野豆腐をボールなどの器で、すっかりかぶるくらいの熱湯を注いで蓋をして蒸らしながら軟らかく戻す。
- あく抜きが終わった蕗を5cmに切り揃えて、高野豆腐も半分に切る。
- 鍋に分量の鰹出汁を取り、高野豆腐を5分煮込む。
- 次に切り揃えた蕗を加えて沸騰したら醤油と味醂を加え5~6分中火で煮て火を止める。
- このまま自然に冷まして、頂く時に温めると味が染みこんで大変美味しくなります♪
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