牡蠣のポワレ:焼き色が付くまでフライパンで焼く
フランス語の解説をするつもりはないですけど、紛らわしいのが「ソテー」「ポワレ」「ムニエル」です。一つ一つの語源から話すと長い話になるので簡単に、ここでの私との共通理解のために違いだけを端折って書きます。肉、魚、野菜を「焼く」という広い意味でソテーといいます。「フライパン」の意味を持っていて、多めの油で焼く方法(今ではその意味で)をポワレと称しているようです。ではムニエルって?これは粉屋の娘という語源からきているもので素材に「粉をまぶして焼く」方法の総称です。で、今日のこの牡蠣のポワレですが、パン粉を細かくしてまぶした牡蛎をフライパンで多めの油で焼いた(揚げた)料理だという意味で使っています。欧米や東洋の料理をレシピのタイトルにする時にこれでも割と気を使っています。料理そのものは自分流になったりしているものが殆どですから、本場のようにはできませんし、そのような呼び方も相応しくないと思っています。また、和製英語で定着している言葉が日本語には沢山あるので、それらに逆らうでもなく、言葉の使われ方のように呼ぶようにしています。英語圏での言葉の意味と和製英語の意味がまったく違う時に少し抵抗がありますが、私が本来の意味を捻じ曲げて間違った情報としてここから流すのだけは極力避けたいと考えています。時々変なタイトルの時がありますが、しっくりこないような時はいいネーミングを考えてくださいね。
さてと、牡蛎をたっぷりの油でフライにしなかった理由、つまりポワレにした理由ですが、片面ずつ強火でポワレするので牡蠣の風味がしっかり残ります。かといってムニエルほど生っぽくはなく、フライだとどうしても揚げ上がる時に水分と一緒に旨味が出てしまいます。例えばうちの息子がかつて牡蠣が嫌いだったような場合に、臭みなどを残さない方法としては成功でした。牡蠣の通様ならきっと殻ごと焼いたのや、レモンで生でつるっと頂くのもいいですね。私はまだアレルギーが強いので生はやめています。
下処理ですが、塩水で「振り洗い」します。牡蠣の身は繊細ですから乱暴に扱わずに、特にひだの間などに塩水が通って汚れやぬめりが落ちれば十分臭みが取れます。こうして振り洗いした牡蠣を冷水で締めて水気を吸い取ればOK。後は小麦粉をはけで軽くまぶして溶き卵液に通してパン粉をまぶします。フライとは違いますので、パン粉は揉んで細かくします。できれば最後にバーターで仕上げの焼きを入れると一層風味豊かで美味しく出来上がります。軽くカリッと仕上げるコツは、始めに小麦粉の付け過ぎをしなことです。これをやっちゃうと、分量の卵がまず足りません。ここで失敗に気づいてもやり直せませんので(ぁ、水で洗い流す手もあるか!)、はけで余分な粉を落とすことです。お化粧のチークをまぶす刷毛に¥5000掛ける資金力があるのなら、キッチン用の刷毛に¥1000もお願いしますよー。皮肉です。
追記: 焼き方の勘所として、フライパンの面積に対して、2/3までがポワレをするぎりぎりの線です。これ以上、例えば敷き詰めてしまうような量ですと、基本的に少ない油ですから温度が下がって、パン粉に油を吸引されてしまいます。パン粉が含んだ水分が、油と反発し合うように焼くのが、カラッと仕上がるコツです。コメントを頂いたulalaさん、失敗されて本当にお気の毒(だって、「死ぬほどカキフライ計画」で死ぬ前に食べ残しちゃったし)。
- 大粒牡蠣・・8個(300g)宮城産
- 溶き卵・・大さじ2(同量の水)
- 強力粉(なければ薄力粉)・・大さじ1
- ドライパン粉・・適宜
- 揚げ油・・適宜
- バター・・20g
- レモン・・適宜
- 付け合せ野菜・・細ねぎ
作り方
- ボールに水を張り3~5%になるように塩を加えて塩水を作る。例)水500ccに対して塩小さじ3~4杯
- 牡蠣を塩水に入れてひだの間などのぬめりや汚れを振り洗いしたあと冷水で締め、キッチンペーパーで水分を吸い取る。
- 溶き卵と水を混ぜて卵液を作り、パン粉は手で揉んで細かくする。
- 牡蠣に小麦粉をまぶし余分な粉をはけで落としたら、卵液に通してパン粉をまぶす。
- パン粉を落ち着かせるために冷蔵庫で2~30分寝かす。
- フライパンの底がかぶるくらいの揚げ油を注いで中火で温度を180度くらいまで上げる(パン粉を落としてパッと散るくらい)。
- 牡蠣を静かに並べて香ばしい色が付いたら裏返して同じように焼き、油を一度切る(鍋から取り出して油を切り、フライパンの汚れをふき取る)。
- 牡蠣をフライパンに戻して中火にし、バターを落として全体にバターを絡めて油を切る。
- 付け合せの野菜と一緒に皿に盛り付け、レモンを添えて出来上がり♪
交互性の不備でトラックバックが届かなかったというulalaさんの豪快な牡蠣のポワレです。 画像をクリックしてください。ulalaさんのブログへご案内します。
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コメント
そうか~、刷毛の使い方でそういう方法もあるんですな!最後にバター、(^。、^)ジュルジュル。美味しそう!まるはよくカキフライで水分と旨みを抜けさせてしまい、カキが小さくなってしまいます。この方法だと良いですね。d(*⌒▽⌒*)b ニコニコッ
投稿: まるちゃん | 2008-03-14 10:24
シリコンの刷毛、買ってこなきゃ!
投稿: まるちゃん | 2008-03-14 10:25
まるちゃん》 こんちは。
そうこの刷毛は使い始めていろいろ試しています。
良いと思うのは、何に使っても洗剤で洗うこともできます。手軽です。パンに仕上げの卵を塗るのもこれを使っています。パンに関してはそれほど使用していないので、も少し様子を見て紹介しようかと思っています。粉を払うのなんかにはとってもいいです(^_^)v
シリコンでないとだめですね。見つかると良いけど、市販化に時間がかかるかもです。
理由はメーカーがのろいからΣΣ(゜д゜lll)ガガーン!!
投稿: godmother | 2008-03-14 10:40
牡蠣は大好き。カキフライが多いのですが、ポワレというのもあるのですね。簡単そうなので牡蠣の旬が終わるまでに作ってみます。これにあうのは、白ワインでしょうか?
投稿: フロンティア | 2008-03-14 21:26
フロンティアさん》 おはよう!
牡蠣が好きな人は旬を味わう順番を知っていますので下手なこと言えませんが、ポワレは繊細な牡蠣にはもってこいです。フライとの違いを楽しんでみてくださいね。
飲み物は、ビールだってこれからの季節にはいいですよ!!キーンと冷やして。ワインなら白で、私は泡盛でもOK。
夢ですけど、船で魚を釣ってその場でペロンと食べて冷たい飲み物でも頂きたいですよ”^_^”
投稿: godmother | 2008-03-15 04:40
おはようございます。
こちらも寒いです。
カキのポアレを作りましたが、多分欲張って作りすぎたせいでしょう。ちょっとびしゃびしゃになってしまいました。バターがポイントですね。
例のごとくTB不可能でしたので、リンク先を張っておきます。よろしくお願いいたします。
http://ulalaulala.jugem.jp/?eid=651
投稿: ulala | 2009-01-10 11:05
ulalaさん、こんにちは。
やはり牡蠣がお好きなようで、この時期に牡蠣料理一年分食べるくらいの覚悟というのは伝わってくるものがド迫力にあります。
早速ですが、今回のポワレとフライ(過去記事)の両方を拝見しました。見た感じが全く違いますね(あぁ、それはお皿でした^^;)。
ちょっとびしゃびしゃ>作り過ぎたというのは、フライパンの面積に対して多かったという意味なら、温度が下がって油を吸ってしまう原因になります。そういう意味でしょうか。大事なポイントでしたね。一応、追記しておきました。
あと、画像の角度などの為かどうか分かりませんが、パン粉が粗い感じがします。手で揉んで細かくするとうっすらと付きます。かくいう私の画像もかなり白く見えますね(パン粉が厚いように見えますね。さーせん)。斜めの角度だからだと思います。この画像はあまりお役に立っていませんね。
もう少し丁寧な説明や、抑えるべき勘所という事に気を置いて書く必要を感じました。誰にでも作れるようなレシピを目指しているとは言え、細部が飛んでしまいます。今後の参考になりました。エントリーとコメントありがとう。
投稿: ゴッドマー | 2009-01-10 12:13
そうですね。自分の過去のブログのカキフライの写真、比較してみると、確かに見た感じも全然違いますね。
今回は大きめのパン粉しかあいにくなかったのでそれを使ったのがまずは敗因でした。くっつき悪し。細かいパン粉にするべきだったです。
フライパンにどんどんカキを埋め尽くすぐらい入れて、哀れなぐらい油が吸収されて、全然揚げ焼きにならんじゃないの・・というのが敗因その2でした。
レシピには大粒ガキ8個と書かれてますもんね。
まずイメージありきで、細かく検討しないで作り出すのですが、こうやって反省点を見出すと、また、作るのかな?まあ料理というのは作ってみて初めてわかるもんってとこもありますからね。
ありがとうございます。
投稿: ulala | 2009-01-10 16:08
ulalaさん、
レシピを書くのは非常に難しいです。その難しい事に軽く挑戦しているおっちょこちょいがこうやって出てくるのですね。ulalaさんに監修してもらっているという感じなので、救われます。
ところで、森末 慎二さんという、体操のオリンピックメダリストのこと、ご存知?ずっと前から誰かと似ていると思ったら、森末さんはulalaさんにそっくりです。空見してしまいました。http://www.sato-kikaku.co.jp/profile/morisue.html
さーせん。
投稿: ゴッドマー | 2009-01-10 17:04
TBありがとうございました。
森末さんといえば、昔、吉野川でラフティングしたときに取材で何艘か向こうのボートに乗り込んでおられました。ラフトですから急流くだりで、朝から午後3時くらいまでのコースで、最後にはどっちみちみんな船からほおりだされて身一つで急流を下ることになるのです。
いやあ、それが面白いんだけど。
ここ数年、誘っても誰も行ってくれないのでおあずけです。
森末さんは川に身は投げていませんが、さっそうと漕いでおられました。似てるとか言われると恐縮ですね。
投稿: ulala | 2009-01-19 18:52
ulalaさん、こんばんは。
トラックバックが遅くなって、ごめんなさい。
ラフティングってかなーり楽しめますよね。スリリングだし。緊張感の連続の後の疲労は、ある意味すっきりリラックスできてストレス発散運動だと、私は思います。あの、実はヨットもかなり疲労感を味わえます。船内の動きがかなり忙しいし、アレは私はこれからやりたいのですよ。(諏訪湖でもできるし。)
森末さんと似ているって言われません?そっくりですが。
投稿: ゴッドマー | 2009-01-19 19:18