小鹿田(おんた)焼き:大分県

☛小鹿田焼
諫早から高速で約1時間、日田ICを降りて福岡県方面にどんどん山道を登っていく。日本にこんな県道があったのかよ!っと、思わせるような狭くて蛇行した山道がそれ。険しい山を切るようにひたすら40分も登ると、その険しい山の奥から「カッタ~ン」と重厚な音が響いてくる。この音の正体を知ったのは、小鹿田焼の里に着いて、それもしばらくたってから。
登り詰めるといきなり大木の間を縫うように急な下り坂になり、数軒の民家がひっそりと点在している。着いたのが昼時のせいか、人の気配が全く無い。車を止めて、最初の家まで下ってみると、開け放された土間に焼き物が綺麗に並べてある。お店のようだから、多分勝手に見させてもらってもいいのかな?と、チョッと躊躇するほどシーンとした空気だけが漂っている。聞こえるのは、小川の水の音、セミの泣く声、さっきのカッタ~ン。このカタ~ンという音は、不規則なリズムで、あっちこっちから聞こえてくる。下調べもしないで、来ると想像もへったくれもないな!
実は、この音「唐臼」といって、陶器の材料を山から切り出した土のかたまりを砕く音で、川の水を天秤(シーソーのように)の応用で、2週間から1ヶ月かけて細かく砕く始業をしている音。これに気付いたのは、少し下った窯元の裏手に見えてからで、幾つかの丸い臼のうえで杵のような木が上下していた。
その丸い臼が、4つほど並んでいて、それぞれの工程によって、臼を突くリズムが違っていた。車でいう、マニュアル車です。時計でいう、ぜんまい仕掛け。とにかく自然を生かしたメカニズム。音の正体を知った時は、ジーとそこにしばらく立ちんぼになってしまった。
道を下りながら川を挟んで建ち並ぶ10件の窯元を訪ねたが、人影はなく、どの窯元の店も軒下に売り物の陶器を並べていた。 買い物の段になって、初めて母屋の方へ声をかけたら、奥で横になってTVでもみていたのか、顔にしわを作ったおばちゃんが、愛想よく出てきてくれた。なんとものんびりした暮らしかと、羨ましく思った。
このような背景で、昔ながらの技法を守り続け、300年以上登り窯の火を絶やすことなく今に至っている『小鹿田焼』。惚れ込んだな。心あらわれるというのは、こいう場所に実際に来て、触れてみなければわからないよ。自分の感性に疑問を持つ方、是非この秘境の焼き物の里を体感してみてほしい(焼き物の事を褒めると値上がりするので、しないよ)。
ここで紹介する我が家のご飯で、ひっそりと小鹿田を感じてください。
【使用例】
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コメント
料理が好きだと、器にも気を使うのでしょうね。
最後は自分で、窯を持つ?
投稿: Pちゃん | 2007-08-11 04:54
Pちゃん>> 早い!あぁ、今日はこれからお出かけね。しばらく料理から解放されるのかな?
あのね、絶対に窯を持つまではいきませんから・・前にもう考えたし!料理が好きでなくても(趣味程度でも)器に気を置くと見た目もその心配りも料理に反映されると思います。これも、趣味の域かっ。
投稿: godmother | 2007-08-11 05:38
食べる事より、お料理する事より実は、器に興味があります。勿論美味しいのは何よりですが、基本私は目で味わう方が好き(何て言ったら、叱られそぉぉ~~!)もっと近い所に有るんだっらら、絶対行ってみたいぃぃ!残念、遠過ぎます(>_<)!
投稿: mimi | 2007-08-11 07:03
mimiちゃん>> そうなんだ!いや、別に叱るなんてありえないよ。これからの人生でいつかチャンスがあるといいですね。小鹿田焼のような昔ながらをずっとそのまま維持しながらの窯元はもう少ないと思います。嬉しいことに、後継者が(多分息子さんや、その他の男性)いて、長い人は16年くらい先代と共に轆轤を回しているみたいです。私も、もう一度いけたらいいなぁーと思っています。この間行ってきたばかりなのにネ。
投稿: godmother | 2007-08-11 07:29